51話目 清流物語
サラサラと流れる川。その穏やかな川面に反射する陽光が俺達にも注いでいた。その透明な水は当に清流と呼ぶに相応しい清らかさ。
川に垂れる釣り糸は『製糸』の魔法で造った。
釣り場には俺以外の探索者はおらず、糸を垂らせば直ぐにかかる入れ食い魚釣りだった。ワッショイ。
食い意地が張った魚が多いのか、バレる事も無くガッツリ食付き釣り上げられる。
ここまで釣れると、流れがあるのに初心者用の釣堀にでも来た気分になった。釣り堀行った事ないけどね。
それにしても川の側は、マイナスイオンを感じられて良いな………己の汚れ(アルコール)を清めてくれる気がする。
「ツーーぴ!」
「ん~~…よし!また釣れた。種類も豊富だし良い釣り場だな。その内ヌシを釣り上げるかもしれないぞ?何と言っても、清流には物語があるからな。もし、ヌシが来たらアプローチを仕掛ける。そしてバトルに勝利してST継続を物にするぞ!ジャンジャン釣っちゃるわ!」
川のお魚さん達は、食って良し・交換して良しの優良獲物だった。
目指すは、酒代として消えた約10万ゼル分のお魚さんを釣り上げる事。等価交換で交換したら、良いお値段になると分かったんで、ここで補填しようと目論んでいる。
「……本当、ダンジョンって不思議だよな。釣って〆ると三枚下ろしの切り身に変わるんだもん。……あ!イクラだイクラ!マジか!!」
「マージーぴ?」
「マジだよ!うわーー俺、イクラ好きなんだよ〜!これは売れない……確保だな!」
炙りとろサーモンとイクラ丼を作って食おう!
実は、昨日の酒盛り中に保留していた『醤油』も等価交換していたらしく(記憶無し)、朝起きた時に何とも言えない気持ちになった。
でもきっと『醤油』の交換は、日本人として抗う事が出来なかっただろう。だからしょうが無い事だ。いつかは交換したはず。俺、目玉焼きに掛ける調味料は醤油だからさ。ケチャップでも良いんだけど、主食が米なら絶対に醤油だ。交換して出たのは一升瓶に入った醤油だったから、醤油差しも一緒に交換した様で(記憶無し)、ちゃんと移し替えられていた所は、酔っ払っていても自分を褒めたいと思ったね。
「……む!アレは!!」
「カーニーぴーー!」
「イエス!!モズクガニ!!ゲットだぜ!」
「ゲトーダぴーー!」
この釣り場でハッスルした俺が連呼した言葉をピー助がいくつか覚えた。
ただ促音の発音が難しいのか『ゲット』と言えず『ゲトー』になってしまう。早く覚えて貰わないと、闇落ちメロンパンの元を呼んでるみたいで困るなと思ったけど、ここ魔法はあっても呪術は無いから平気だよな?それにどうせ会うなら俺は女の子が良いぞ。
しかし、異世界ダンジョンの蟹は素晴らしいな…だって『蟹の身』になってドロップするんだから!剥く手間が掛からない!!今回は内子と鋏の身がドロップした。
ヤベーなんてもんじゃねぇよコレは!オイ!熱燗持って来い!!(反省なし)
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