49話目 ウサウサコウサ

「………………………は?」

「ピェ?」



 ボス部屋のデカウサギ………には違いない。確かにウサギだし。長い耳もある。ポチッと丸い尻尾もな。


 間違い無いがよぉ…………………………。



「…………お前等ボス部屋でナニしとんじゃーーー!!!この腐れウサギが!今すぐ止めろ!!巫山戯んじゃねぇぇぇーーーー!!!」


「ピキャッ!!!」



 ボス部屋の中には、サイの様などデカい白いウサギと黒いウサギがおりました。


 おい!なんで1羽じゃないんだ?!


 しかも。何が?ってナニですよ。しかも俺がこれだけ騒いでるのに無視してヤッてるって、どう言う了見だゴルァ。



「………………………そうか……良ーーく分かった。誘ってるんだな?らないか?って!!ってやろうじゃないか!!」

「ヤ……ぴー?」

「ピー助、コレは覚えなくて良い言葉だからね?さっさと終わらして俺達は宴会しよう!メシだメシ!絶対にビールを飲むぞ俺は!」

「メシ!ピェー!!」



 先ずはに乗ってる方からろう。2兎追う者は1兎をも得ずって言うしな。


 運動して呼気が上がってらっしゃいますね?でしたら水攻めしましょうか。2羽入っても大丈夫な水玉を上の黒ウサギを中心に生成して、丸っと包んだ。

 


「?!」

「ギュゴッ!」



 水を飲んで慌てたウサギ共の合体が解除され、バシャバシャと前足で水を掻き分け藻掻いている。魔の森に居たウサギもデカかったけど、まだダンジョン内のウサギの方が顔に可愛気があるせいで、サイ並みのサイズなのに再び罪悪感が少し沸き起こる。


 ……いや、同情の余地は無い!これは当然の帰依だ。滅ぶがいいバカップルウサギ!


 そのまま2羽共倒せれば良かったが、上に乗っていた黒ウサギが倒れた拍子に白ウサギが水玉から外れてしまった。


 ただ、白ウサギの方も立ち上がれずその場でピクピクと痙攣を繰り返すのみ。

 これで決着が着いたと安心しきっていたら、白ウサギが断末魔の様な叫び声を上げた。



「………ギィーーーーー!!!!」


「……え……何だ?!」



 その声と共に、飛び散る白と黒の塊。

 俺を目掛け、物凄い勢いで飛んできた!


 こっちに来るのが判っても、避けられずに身体のあちこちにぶつかり、足や肩、腹に衝撃が走る。



「ぐぁっ!!!いでっ!!クソっ!!!」



 うっ……何だよ?!何が当たったんだよ?!


 俺に一撃食らわせ、距離を取った5つの白黒の塊。そいつ等はデカウサギ(白)の居た辺まで戻ると、その場でピョンピョン跳ねていた。



「ま、まさか………う……産まれた………?」



 そこで飛び跳ねていたのは、ソフトボール大の白と黒の子兎たち。真っ赤な目で、狙いを絞る様に俺を見つめている。


 勢いを付ける為なのか、高く、低く、早く、ゆっくり、其々が異なるリズムで絶えず跳ねていた。

 

 あのスピードを出すヤツ等が相手では、散弾以外では当てるのが難しいだろう……。


 魔力は……まだ十分残ってる。


 ピー助のポーチを背中側に回し、自分の両側に水玉を展開してから、ウサギ共へ向けて散弾を連発していった。


 先手必勝だクソウサ戦隊が!



「ほら、俺のお返しを食らえよ!」


「キュゥ!」「ブゥ!」



 初撃で2羽にヒットし、あと3羽。近づかれる前に倒したかったけど、あっという間に距離を詰められた。


 同じ散弾では至近距離の広がりが悪いと思ったので、拡散範囲の幅をより広くなる様にイメージして追加の散弾を即座に連射する。



「魔法って……『ブプゥ!』……イメージが大切って……『ギュゥ!』………本当だな!……『グゥッ!!』」



 集弾率があるライオットから、拡散性能が高いストライカーに変わったかの様な攻撃範囲。


 魔法は使い分けも大事だと勉強になったよ。


 そして、散弾の前に倒れたクソウサ戦隊がドロップアイテムへと代わりホッと息をつく。



「……本当、どう言う事だ?スライムに続いてウサギまで予定外の出現をしやがって!」



 子兎のドロップは、白と黒の光沢のあるピンポン玉みたいな球状のなにか。


 鑑定さん、これは何でしょうか?



【子兎の魔石(レア)……番の魔物から産まれた魔物から出る魔石。通常の魔石より高値で取引される】



「へえ…魔石なのか……。真珠みたいで綺麗だな」



 白魔石3個、黒い魔石2個の計5個が手に入った。デカウサギは魔石と毛皮。勿論、白と黒の2色が落ちていた。



「……この毛皮……そのまま着ぐるみっぽく着込めるけど……。俺が着た所で誰得よ?!」

 


 どうせなら将来、何方か(女性限定)に着て貰いたい……でも大き過ぎるか?


 とりあえず今は仕舞っておこう。きっとこの毛皮が輝く時がいつか来るはずだからな!


 最後に宝箱だ……頼む〜よ!良いの出してくれよ?!


 罠も無かったので、いざオープン!


 …うわぁ……また瓶だ。でも魔導書も2冊ある!さっきウサボールが当たった所が痛いから、せめて回復薬が良いな……来い来い回復薬!



【強精剤……長時間精力を増強させる薬】



「………だだぎわりだい(叩き割りたい)……」

 


 クソ!マジでクソ!!俺がハーレム系転生者にでも見えるのか?!見えねぇだろが!!


 ……いや待て落ち着け俺。

 これは金だこれは金だこれは金なんだ!!


 ゴブリンの精力剤(小)で2000ゼルもしたんだ!きっと、良い値で売れるはずだ!!


 気を取り直して魔導書をチェックしよう。

 さあ、何かな?俺はまた新たな魔法を覚えてしまうのか?!



【子宝の魔導書……子宝に恵まれる魔法。レベルにより受精率が上がる】


【育児の魔導書……適切な育児が出来る魔導書。レベルにより出来る事が増え、よりスムーズになる】



「………………おい……俺に…俺に恨みでもあるのかよぉぉぉぉぉーーーー!!!!何でこんな魔導書を出すんだボケがぁぁぁ!!!」



 鑑定結果り膝から崩れ落ちる…………。


 なに?この中身は?!子宝に育児だと?!

 その前にモテる魔導書でも寄越せや!!



「ックソ…!宝箱に宝が入って無いぞ?!出し直せアホ!」



 がっかりしつつも宝箱の中を覗くと、もう一つアイテムが残っていた。ゼリー軟膏みたいな容れ物だな。



【潤滑ゼリー……身体に優しい潤滑ゼリー。どこに使っても良い。無害】



「…………………お待たせピー助。さあ、3階層に行って飯を食おうな?俺は飲むよ。沢山飲むよ?!飲まずにはいられないよ!!だってそうだろ?!何だよこのラインナップは?!!」

「メ〜〜シ〜〜ぴぃ!!」



 明日は休もう。そうしよう!


 よーーし、終わったぞ!ビールと日本酒と焼酎も交換しよう!






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ライオットとストライカーはバイオre4に出て来るショットガンです。




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