48話目 酒呑みの言い訳

 香草や豆類、イモ類と色々採取し、やっと2階層のボス部屋到着。


 ボスはビッグラビットが1匹出ると聞いている。デカウサギか………ドロップには、切実に性欲が増す系統の物は出さないで欲しい。


 そんなに供給されても需要が無いんだ。

 いい加減、空気読めよ空気をよぉ!!



「それでは参りますか。ピー助は危ないからポーチにしっかり入ってろな?」

「ピピッ!」



 さっさと倒して終わろう。里芋をたくさん見付けたから『きぬかつぎ』にしてツルンと食いたいんだ。……あ………酒がねぇ……………。


 クソっ!飲みの気分だったのに!!


 我慢してたけどやっちまうか……?『等価交換』で酒と交換を。

 清酒でも良いから飲みたい。いや、ここは寧ろ日本酒とアテでキュっと行きたい!きぬかつぎ、出汁巻き…は無理だからチーズオムレツでも良いか。ソルスに貰った燻製もあるし。あと、刺し身だな。


『多産』でマグロを……………あれ……あぁ!出せ………ない!!出せるのは『単一の動物以外の生物』だったぁぁぁぁ!



「……ああ……………俺のうっかりさん…」

「ピェ?」

 


 欲が先走った………。肉ばっかりだから魚が食いたくなってたのに………。



「……………ビールにしよう。そうだビールなら多少油ギッシュなつまみでも、全てを洗い流してくれる。あれは正にミラクル飲料だからな。それに俺、異世界こっちでも頑張ってるし、そろそろご褒美が必要だと思ってたんだ。明日を考えずに飲もう……そうしよう!」


「ピィ〜ェ〜?」


「いいかい?ピー助。大人にはな『息抜き』ってヤツが必要なんだ。俺は以前は疲れが酷かったから、お姉ちゃん系は色々地雷だったんだけど、酒や美味い飯はそんな状態の俺でも別け隔てなく癒やし、そして満たしてくれるスペシャルアイテムなんだ。スペシャルな海よりもスペシャルなんだ。それにどうせ目指すならこっちの海だよ。きっとそこには、型は古くても時化シケに強い船があるはずだ!そいつには飲めば乗れる……。ハズレ無しのデッカイ揺り籠行き、よし決まりだ!」


「……プゥーー?ピィーーー!」



 ピー助から意味不明な返しが来たが、俺も大概意味不明だからお相子だな。


 良いんだ……ちょっとお人好しで、口説かれ上手なお姉さんが居なくても。酒が飲めれば。


 お姉さんのお酌で、付加価値が付くことは無いんだよ!どうせ慣れたら減価償却するんだ!良いのは最初だけ!!酒皆一緒!


 ボス戦終わったら飲むぞーー!!おーーー!









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




長ったらしい言い訳部分は、演歌をご存知だと分かります。






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