43話目 ダラダラ2階層②

 2階層の採取ポイントを教えて貰いつつ、討伐を繰り返して進んでいる……進んではいるんだけど…………。


 俺にもマイペースで自由な印象が強いソルス以外の2人は、まともだと思っていた時期も少しだけありました……ええ、半日位は。



「ヨッシャー、ポクチー発見!今日のメイン食材はお前だ!ねえ、カイ!うちの店で出してるステーキの材料がコイツだよ!クセがなくて色々なソースとも相性バッチリ……あっ!そこに生えてる『ローズマリー』を採取して!肉を焼く時に使いたい!!」

「………了解」



 セディールは、ポクチーと呼ばれている見た目が子豚の魔物を見つけると、あっという間に討伐に走ってしまった。


 スコットが注意するかな?と、思っていたのにスコットはスコットで『待てーー!俺のコンビーフ!!』と叫びながら、チイカウ(小型の牛)と格闘中だし。


 どうせお前もだろ?とソルスの方を見ると、案の定、ポツポツと生えている木の皮を剥き匂いを嗅ぐと、収納から小型の斧を出して次々枝を切っては小分けにして仕舞っている。


 そうか、スモーク用のチップにするんだな。


 その木の種類を鑑定したら『ヒッコリー』と出た。



「……ヒッコリー………しっかり穴に隠せ……隠した実は…………美味しいぞ!!」



 ソルスの採ってる木の根元には、そこかしこに4つに割れ目の入った青い木の実が落ちている。

 その実を一つ拾い、外殻を外して中身を出すとツルンとしたラグビーボール型の殻が現れた。


 その殻を割れば、ピーカンナッツのお出ましだ!やったー!乾燥させる必要があるけど、そうと分かればゲットしない手はない!



「『収拾』!」



 そして魔法一発で全て集めて収納しておく。

 楽ち〜ん!あれ?マジか……木に生ってるのも採ったみたいだ。


 この魔法があれば、農家さん(居るかは知らんが)大助かりだな!



「あ!カイ!!昨日渡した燻製は、この木で燻して作ったんだよ!」

「そうか……でも生木のままじゃ使えないだろ?街に持って帰って乾燥させるのか?」

「フフフ〜〜〜♪実は俺『乾燥』の魔法が使えるんだ!だから、木も肉も魔法でサッと乾燥させられるんだぞ?良いだろ〜!」

「ええ?!凄えいいな!羨ましいぞ!その魔法ってどの魔物がドロップするか知ってる?」



 ソルスの自慢気な様子も頷ける。

 燻製屋にすれば、その魔法があるのと無いのじゃ雲泥の差だもんな。


 いつも日中は伐採と採取、狩猟をして、セイフティーエリアに戻ってから、乾燥・調理をしているらしい。そうか……木材も乾燥させれば軽くなるもんな。



「ああ……この魔法はね、4階層に行けば取れるよ。でも、行くなら覚悟をした方が良いよ」

「覚悟?どんな覚悟がいるんだよ……?」



 俺がそう聞くと、ソルスはあからさまに遠い目をして話しだした。



「そのフロアはね、通称『死の階層』って呼ばれてるんだ。出て来るのがスケルトンやゾンビ、グールの死霊系統の魔物ばっかりでさ…。もう……とにかくゾンビがめっちゃ臭いんだよ!暫く、鼻がおかしくなったし、二度と行きたくないフロアだった!!でも『乾燥』が欲しかったから、みんなで我慢して行ったんだ。しかもゾンビがドロップするのが『腐敗』の魔導書。それを見た時、思わず自分で自分を腐敗させてんのかよ?!って叫んじゃったよ!」

「な、なるほどね……」



 『乾燥』と『腐敗』か………。『腐敗』って、人体に有用なら『発酵』となるよな。


 発酵……発酵………味噌、醤油、酢、納豆、チーズ、酒、漬物、ザワークラウト、ヨーグルト、鰹節もそうだな。待て待て!パンの酵母があれば、今よりふっくしたパンが食えるんじゃ?!



 貧乏生活改善は、自給自足からだよな?


 これは追々、試してみないとならぬ!


 成功すれば、酒が飲める!飲めるぞーーー!






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



hisui様 ギフトありがとうございます!

お礼が遅れてすみません!(@_@;)!



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