41話目 分配どうする?
「この辺で落ち着くか……」
「賛成!……それにしてもカイって同い年なのにスルッと違和感無く纏めるて来るよな?」
「そうだね、つい、言う事聞いてついて来ちゃった」
「丁度良かったんじゃないの?俺たちだけだと、きっとあの場所でモタモタしてたよ」
それはね〜俺が君達よりも実質10歳年上だからねー。偉そうにしてごめんねー。
それに3人の中ではセディールがリーダーっぽかったけど、騒ぎ出すとただの中坊になってしまうので、もう少し落ち着きましょう。
じゃあ、お待ちかねのお宝山分けターイム!
「1個づつ分けられるのは、『魔力回復薬』と『ゼリー軟膏』だな。あとは欲しい物をそれぞれ上げてみないか?因みに俺はもう『収拾』の魔導書を貰ったから先に3人で好きなのを取ってよ。それと『散弾』と『隠蔽テント』はもう持ってるから欲しかったら気にしないで良いぞ!」
俺がそう言うと、物凄く驚いた顔でセディールが“マジか?!”って叫んだ。
「本当に良いのか?!きっと『隠蔽テント』が一番高価なアイテムだと思うよ?」
「そうだよな……だって効果が薄くなっても隠蔽されるなら、野営の時に凄く助かるし」
「良いよ。3人で使えば今後も便利だろ?試しに開いてみたらどうだ?」
セディールは本当に良いのか?と、テントを手にしながら何度もしつこく聞いて来た。
俺には『大介』があるからな。あの魔の森を耐えたアイテムに優る物は無い!
そんな話し合いをしている最中、ソルスだけはマイペースに『安眠毛布』の手触りを確認して頬擦りしていた。
そうか、お前はそれが良いんだな?
その様子を見ていると、まるでライ○スみたいだな。因みに毛布の色は明るいクリーム色だ。水色じゃなくて残念!
「よし!じゃあ開くぞ!!」
掛け声と共にセディールがテントに魔力を通すと、フワッと光りそのままポンっと勢い良くテントが開いた。
手にしていた時よりも明らかにサイズアップしてる…。これが異世界スタンダード。
そして、開いたテントは『ゲル』の様な頂点が少し尖った円形で、直径7mはありそうだ。
毛布に夢中のソルスを置いて、セディールとスコットが中に入ったので、続いて俺もお邪魔しまーす。
「うわ〜〜!!広い!それに天井も高いよ!」
「3人で寝ても全然余裕だな……あ!セディール見ろよ!ここに調理場がある!」
「本当だ!これならセイフティーエリア以外の野営時でも匂いを気にせず調理が出来るんじゃないか?」
調理ファーストなセディールとスコットは、テントの中央にあった煙突付きストーブ釜と調理台に寄って、今にも何かを作りそうな様子だった。
だいぶ広いな………俺の『大介』より。
いや!別に羨ましいとか無いよ?『大介』だって金を掛ければその分広く出来るし!調理スペースだって、金を掛ければ立派なシステムキッチンを入れられるんだから!
…………金を掛ければな。クッ!!
「……あれ?ちょっとー!みんなどこー?!セディール!スコット!カイーー!!!」
テントの中でそれぞれ見て回っていたら、外からソルスの叫ぶ声が聴こえて来た。
そうか…ソルスはセディールよりもレベルが低いから、隠蔽の効果でテントに気付けないのかも。
名前を呼ぶ声にセディールがテントの入口に行って、ソルスを迎え入れた。
「凄いよ!外からは全然分からなかったのに、セディールが入口を開けたらちゃんと見えた!」
「ソルス……お前ちゃんと着いて来いよ」
「その調子だと話を聞いてなかったろ?カイが譲ってくれたから、このテントが俺たちの野営時の“家”になるんだぞ?」
「そうなの?!ありがとうーカイ!」
安眠毛布を肩に掛けたまま、ソルスは感謝のハグを俺にして来た。
ソルスはマイペースだねぇ…。
この緩めな性格は、付き合いが浅くても変な気を使わなくて済むから楽だけどな。
残りのお宝も配分したら、2階層巡りへレッツゴーだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます