38話目 同世代(異世界年齢)との交流

 袖すり合うも多生の縁……ってところで、3人組のセディール、スコット、ソルスと飯を食いながら情報交換をしていた。


 作るのが好きな奴って食うのも好きだよな。味の感想や調理方法を考えてしゃべってるのに、食うのが止まらない。


 それに同年代(見た目)と言う事で、敬語は無しで気軽に行こうとなって話を続けていた。



「へ〜〜。じゃあ、2階層は色んな食材が手に入るんだな〜」

「そうなんだよ!川も流れてて、調味料に使える植物もたくさんあるんだ。だから俺達は2階層で材料を調達しながら、料理修行をしてたって訳」

「ここなら他の探索者もいるし、今回みたいに料理を交換したり、食べた感想を聞いて一人前になる為の特訓が出来て丁度良いんだ!」

「魔物もそんなに強くないから比較的安全だよね。ツノウサギとコッココとポクチーそれにチイカウが出て来るんだよ。……それにしても、カイが作ったこの“コロッケ”って美味い!中身も全部違った!」



 何個目かのコロッケを食いながら、ソルスがそう言うと、2人もモグモグとしながら頷いてる。


 2個目からは、ロシアンコロッケを止めて、被らない様に鑑定してから渡していたからな。


 聞いたところ、スコットは組合前に出ている屋台のサンドイッチ屋、ソルスは燻製屋の息子だった。通りで既視感のあるメニューのはずだ。


 同じ食い物屋繋がりの幼馴染3人は、成人してから一緒にダンジョンに潜っては、採取と料理を繰り返して腕を磨いてるそうだ。


 こんな歳から偉いよね〜。だって15歳ならまだ中坊だよな?

 俺なんか、ご多分に漏れずゲームの合間にちょっと勉強するくらいのただのガキんちょだったし。


 しかも、小さな収納鞄を持って来て、店で使う食材の調達もしてるって話だ。



「あのさ…カイは明日の予定ってもう決まってる?」

「明日?1階層は一通り回ったからボス部屋抜けて2階層へ行くつもりだよ」

「じゃあ、俺達と一緒に回らない?採れる食材の場所を教えるから、もし可能ならカイの料理の作り方を教えて欲しいんだ!」

「ああ、別に良いよ。もし店で出してくれるなら、作る手間も省けるし俺も助かるよ」



 セディールに聞かれて答えると、2人も期待に目を輝かせて見返して来た。


 お?これは屋台とまんぷく亭のメニュー充実に一役買えるかも……。レシピが採用されれば、コンビニ感覚でコロッケが食える様になってWIN-WINだぞ!



「俺から聞いておいてなんだけど……本当にいいのか?作り方ってのは、商売に使えるから秘匿されている事が多いんだぞ?」

「ああ、勿論知ってるよ。もし、作り方を登録して売れるなら簡単に教えられないけど、確かそう言うのは無いよな?だったら俺は商売で料理を作る気は無いから、色んな場所で気軽に食える様になった方が助かるんだ」



 異世界での不労所得確保の為に、既に街でレシピの買い取りをしていないか確認済だ。


 結果は、ありませんでした。誠に残念です。


 それならいっそ、作り方を教えてファストフードを異世界にばら撒き、食生活を充実させたい。


 ただ、保存技術も保存料も無いから、その街ごとになるとは思った。もし、俺が知らない手軽な保存方法があったら、是非、この街から広めて欲しいぞ。


 それが君達の使命だ!


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