28話目 2929〜2929〜2918♪

 ドでかい牛との距離も近付いて来た。


 あの巨体とまともにやり合いたくは無いね。



「あの牛には『麻痺』が効くか……な…と」



 よく見たら立派な角を持ってらっしゃる牛(ホーンカウ)。鑑定したら、そのまんまな名前だった。


 呼び名なんて『牛』で十分伝わるから、それでいいだろ。


 馬(因みにバトルホースと言う好戦的な名前だった)に『麻痺』を飛ばした時と同じ位の距離を取っておいた。


 4発の『麻痺』を牛の背後から放った……効かない。続いてもう4発………ピクリともしない。


 クソ〜デカい図体だけあって効きにくいのか?!追加で食らいやがれ!!


 更に『麻痺』を放とうとして、違和感に気付く。



「……あれ?…………動いて……無い?」



 前に回って良く見たら、牛は食いかけの麦を口にしたまま涎を垂らし、白目を剥いていた。



「硬直して倒れずに身体を支えてたのか?!」



 そうと分かれば、麻痺が切れる前に速討伐。


 何だか最近、耐性が付いてきたな……慣れって怖い。マッドがマックスにならない様に気を付けよう。


 そして牛はそのままドロップに変わり、目の前から来て去った。


 お・に・く〜〜〜〜〜!!!


 肉と言えば、やっぱりビーフ、牛肉だよ!!焼肉〜ステーキ〜すき焼き〜ハンバーグ!テーブルロールをバンズにバーガー作っちゃおうかな〜!



「に〜〜…くぅ?」



 肉も確かにあった。だがもう一つ、知っている3割増しサイズの一升瓶が落ちている。

 中身は白色…まさかこれって……。



【牛乳………濃厚で甘みがあり、高タンパク・高脂肪】



「ぎゅ…!!」



 歓喜の雄叫びを上げそうになったところで、遠くにいた他の探索者が、こっちに注目しているのに気付いた。


 俺が牛を倒したのを見たのか、他の奴らにも話してる気がする。



「……こんな時は、現場を離れるに限るぞ〜」



 その探索者達に背を向ける様に、麦を刈りつつその場から離れて行った。


 様子を伺うと、まだこっちに注目して話を続けてるが、雰囲気からすると『アイツが牛を討伐したって?まさか〜!!』な流れに、目撃したヤツが弁明してる、って感じだ。


 態とらしく曲げていた腰を伸ばして、は〜〜疲れた!と腰をトントン。

 麦刈りしてますを装い、せっせと刈り入れ。


 よーーーし!目撃者以外は俺への興味を失くした様で、また麦刈りに戻っている。


 もっと距離を空けて、視界から消えるとするか。


 そうして暫くは麦刈りに集中し、他の探索者の見ていないのを確認し、牛へ『麻痺』を打って討伐する。


 今回は牛の様子が見える位置から魔法を使い、6発目で麻痺が効いて白目を剥いた事が分かった。


 牛乳を期待していたが、2頭目の牛は肉と牛革のドロップだった。

 



□ □ □ □



「ふ〜〜〜っ!疲れた!そろそろ今日の仕事は終了にするか。お疲れ様でーーす!」



 討伐と刈り取りを繰り返し、いい時間(体感)になって来たので、周囲をザッと安全確認してから『大介』を出して、滑り込む様に中へと入った。


 ブーツを脱いで、全身にクリーンを掛ける。

 は〜〜サッパリ!本当は風呂に入りたいけどさ……金ねえしよ。


 そして本日の成果物は……


 牛 5頭:肉×4、魔石×1、牛乳×2、牛革×2、角×1。


 鳥 3羽:風切羽×2、魔石×1、鉤爪×3。


 バッタ 12匹:魔石×12となった。

 

 小麦、大麦は、刈れるだけ刈った。



 ピー助に『メシ!』と催促されて、先に食わせてやってから、自分の分を作り始める。


 最初は、シンプルにステーキを焼く事にした。

 焼肉は、屋外で炭火を用意してからじっくり堪能しようと思う。


 塩・胡椒した厚切りサーロインが、美味しそうな焼き色と共に香り!本当に肉々しい!!

 これは、視覚・嗅覚の暴力だな!!


 牛乳一本は『バター』に交換し、すり下ろしたニンニクと刻んだパセリを合わせて、他の料理にも使えるガーリックバターを作った。


 添え物の野菜とガーリックトーストも用意して…完成!



「頂きまーす!!………………美味しっ!俺、焼いただけでこんな美味い肉食ったの初めてかも…柔らかいし、噛む度に肉汁溢れる……これがナイ○ガラ………」



 肉屋で購入した事の無いレベルの肉だからかもしれない……だけど、素人の俺が焼いただけのこのステーキ……美味すぎる。


 あと、ガーリックバター。

 メッチャ味が濃い!牛乳の濃厚さが半端ないよ。元は同じ牛から取れた素材だからか、付けたら相乗効果で旨味倍増だ。



「うん……これならお代わり出来そう。しないけど」



 牛ゾウ君(愛称)最高です。ドロップの肉量も多く、魔石も他より大きなサイズだった。


 希望としては、牛乳がもっと欲しい。

 今はそのままの牛乳が一本、バターは交換した結果、約500グラム(カルピ○バターよりちょい大きめ)になった。


 バターは、これからパンやパスタでも使う事を考えると、あっという間に無くなりそうだ……美味いし。


 牛ゾウ君の余韻に浸りつつ、ステータスを確認すると、魔法のレベルは順調に上がって来ていた。


 魔力。なんでか基礎値プラス『5』になってる。考えられるのは、あの魔法使い過ぎた欠乏状態が原因だと思う。


 それと魔法の成長が二桁になった時、今まで消費魔力が『10』だったのが『9』に減っていた。

 このまま育てば、最終的に『1』まで持って行けそうだな。 




【草原ダンジョン 4階層途中経過】

名前 周防 海(すおう かい)

性別 男

種族 人族(やせ我慢中の転生者)

レベル  274(保有ポイント0)


体力 600/600

魔力 127/685

精神 570/570

瞬発 570/570

器用 570/570


魔法 

生活魔法 43/100

鑑定 MAX

索敵 35/100


魔弾 19/100

火弾 15/100

土弾 17/100

水弾 17/100

風弾 16/100


魔矢 11/100

火矢 10/100

土矢 11/100

水矢 10/100

風矢 10/100


麻痺 12/100


スキル 等価交換19/100、体力変換28/100


所持品

アイテムバック(所有者限定)

転生者の剣(所有者限定)

次元扉【認識阻害付き】(所有者限定)



所持金 約29万ゼル(初期所有のゼルを除く)


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