21話目 新たなスキルと怖い想像
「おはよございます!こちら朝ごはんです!…あれ……?あーー!!この前お昼ごはんを食べに来てくれた少食のお客様!ウチの宿もご利用頂いてたんですね!!」
「ん……あ!『まんぷく亭』の!!」
「そうです!宿屋の姉妹店が『まんぷく亭』なんですよ!私は、朝だけ宿の手伝いに来てます!どちらも、ご利用頂きありがとうございます!」
「……姉妹店…………なるほどね。デジャヴュの合点がいったよ……」
そして、やはりと言うべきか、朝食も安定のメガ盛りよ………。
俺が回避したはずの全卵を使ったスクランブルエッグ、厚切りベーコン(ステーキ並)、パン(4枚切り食パン×3枚)、フルーツ入りフレッシュサラダ(丼いっぱい)。
このままだと、パンが不良債権の如く溜まってしまいそうだ。収納に入れてるなら、気にしなければ良いんだけど………気になる!!
「……お客様、まだまだ育ち盛りなんですから遠慮しないでドンドン食べて下さいね!」
「ありがとう…ございます。充分……頂いてます……はい。」
「母から聞いてますよ?夕食の時はパンのお代わりをされたって……………はい、どうぞ!」
「(ギャア)!!!あ、ありがとうぅぅっ……」
元気っ子はニッコリ笑って、他のお客にもお代わりのパンを配りに行った。
あの娘もこのメニューをペロリと完食するんだろうか………恐ろしい……。
俺はまたパンの残りを隠蔽(収納)し、部屋に戻ってベットを片付けてから宿屋を後にした。
「……苦しい…………。こんな時でも勿体無い精神が発動して、残せないのが辛い……次は、持ち帰り用の容れ物でも用意しておこう」
今日は次の『草原ダンジョン』へ行こうと思う。サボりたいけど行くよ?
だって、昨日の売上が4万ゼルくらいだったのを考えると『大介』の増坪は夢のまた夢。だが、俺は夢のマイホームを夢で終わらせる気はない!
更に宿屋を実際に体験して『あ、俺これ無理だわ』って、改めて思った。『クリーン』を使ったけど、宿のベットは使う気になれなかった。
なので、安定した収入源が出来るまでは、適度に頑張ろうと思う。それに魔法使うのも育てるのも結構面白いし。
今日目指す『草原ダンジョン』は、街から約1時間ほど離れた場所にある。
本当は、ダンジョン行きの乗り合い馬車に乗りたかったんだ。だけど、朝飯食うのに苦戦している内に出発してしまった…。
「いいさ、ゆっくり行こう草原ダンジョン…それに今日はダンジョン付近に泊まって、また明日改めて潜ってもいいんだしな」
馬車道から少し外れて平原を歩けば、たまにスライムやミニウサギにも遭遇する。
スライムは、魔石が50ゼル(等価交換)、ゼリーが35ゼル(交換器)で、85ゼルと100円にも満たない金額だけど、道端に約100円落ちてたから拾ってる……そんな感覚でスライムは討伐してる。
ついでに魔法の訓練だな。
それと、知らない内にスキルが増えてた事。
何が切っ掛けでゲット出来たのか、全く分からない。しかも【体力変換28/100】。
この発達途中っぽい状態だったのが、とてつも無く不安…。
あと気になったのが、相変わらず失礼な種族の次に括弧書きで表されている一言。
ゴブリン討伐後に見たら【人族(ボッチの転生者)】だった……ほっとけ!!
…でも、これはまぁ良くないけど放っといていい。
以前、森から平原に出た時に確認したら【人族(生き残れた転生者)】と出ていた、こっちの方が良くない……。
そこで、ちょっと怖い事を考えてしまった……もしかして『生き残れなかった転生者』がいるんじゃないかって。
そいつの持ってたスキルが、発達途中の【体力変換28/100】だったのでは?と……。
また、探索者組合にあった便利な『交換器』。先に来た先輩転生者が作ったとか、アイデア出したとか……あるかもしれない。
だって、交換した時に探索者プレートへ入金を選んだら『ニャオン!』って、擬音が鳴ったんだ……これ明らかに『ワ○ン』パクってるよな?!
これに付いては、“かもしれない”って想像しただけで今の所、確信は無い。
無いけど、他の転生者が“いた”または“いる”って思ってた方が良さそうだ。
いくら同じ様な境遇でも、考え方や行動は異なる可能性が高い。それに、助け合えるならともかく、合わないヤツとは関わらないに限る。
あと『体力変換』は、まだ使う事は出来なかった。
この辺についても『草原ダンジョン』に潜ってから検証しよう。
「……やっと着いた。腹もこなれて来たな」
「ぴ!ぴ!ぴ!」
「はいよ〜。お前は、ダンジョン入る前に飯食ってもらった方が良いな」
「ぴーーー!」
さて、ピー助に飯を食わせたら、草原ダンジョンに潜りますか。
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