20話目 組合への納品とメガ盛り再び

 結局、初日は『洞窟ダンジョン』を2往復して、日が暮れる前に街へ帰って来た。


 『麻痺』の魔導書をゲット出来た後は特に目新しい物は出ず、魔法レベル上げの作業と化して、ただひたすら討伐を頑張った。


 途中、初めて魔力切れを起こしてしまい、フラフラしながら慌てて『大介』の中へ避難したり。


 調子に乗った……と言うか、明らかな確認不足だ。ボッ……ソロなんだから気を付けよう。



 そして、まだ人も少なめの探索者組合で、早速納品をしようと思う。


 納品は、専用の『納品器』に納める品を置けば、自動で鑑定・精算をしてくれる。

 所謂いわゆるセルフレジですね、分かります。


 混雑してる時にチマチマやってたらクレームが来そうだけど、空いてる今ならチャンスだ!


 『等価交換』と『納品器』、どちらで交換した方が得か今後の為にも確認しないと。


 魔石から順番に『納品器』に入れ、次の様な結果になった。


 ・魔石→等価交換の方が高い

 ・スライムゼリー等の魔物素材→交換器の方が高い(今の所)

 ・精力剤→交換器の方が高い


 魔石以外は組合の『交換器』に納品した方が査定額が高かったので、全て納めて現金化した。交換後の金は『探索者プレート』に入金または現金化を選んで受け取れる。


 なんてシステマチックな世界なんでしょうか!しかもキャッシュレスが可能!


 ついでに、組合でも魔導書が買えないかを聞いたら買えたよ!


 値段は、ボール系が20ゼル、アロー系が50ゼルだった。ミフ爺め……しっかり俺から稼いでるじゃねぇか!


 ……ま、俺もこのあと『等価交換』して、それ以上稼ぐから良いけどさ。




 そして、今日こそは宿屋に泊まってみようと、早めに宿屋に行ってみた。

 空いてますように!



□ □ □ □




「すみませーん」

「はい、いらっしゃい!泊まりかい?」

「そうです。一人部屋一泊空いてますか?」

「大丈夫だよ!ご飯はどうする?2食付きなら2800ゼル、泊まりだけなら1800ゼルだよ!」

「なら、2食付きでお願いします!あ!あと、コイツ一緒でも平気ですか?おしゃべりインコの雛を拾って育ててるんですよ」

「……あら!まだ生まれて間もないじゃない!その子くらいなら、特に問題無いから一緒で大丈夫よ!じゃあ先払いで2800ゼルね」


 無事空いてたな……良かった。

 支払いを済ませ、部屋の鍵を受け取って、早速部屋にレッツゴー!


「…ふ〜〜ん。シンプルな部屋だな………トイレは、あ、良かった…浄化の機能付きだ。ベットは……え?草?藁?え??…俺、アルプスの少女じゃないんだけど……」


 宿屋のベットは使わず『大介』で使用中のベットを使う事にした。しょうが無い……これが異世界クウォリティのベットなんだ。


 暗くなる前に、外に出て『大介』からベットを収納に移して、買い物をしながら宿屋に戻った。


 買物では、木の実が数種売られていたのを見つけたんで、味見をさせて貰いつつ、栗、胡桃とヘーゼルナッツを買った。マンゴーもデカかったけど、木の実もでかくて良いな!



 夕食前にピー助に餌やりをしていたら、目が半眼開いて、俺が動くのを追う様に見ていた。羽根は綿埃みたいなのがフヨフヨと薄っすら見え始めている。 


「やっと、裸族脱却の兆しが見えて来たな。」

「ぴ!」

「今はまた産毛程度だけど、羽根が生え揃えたら飛べる様になるんだよな……鳥籠とかいるんだろうか?」

「ぴぃ!ぴぴっ!」

「またその時に考えるか……っと、いい匂いがして来たな。そろそろ俺も夕飯にしよ」


 食堂に行くと、既に宿泊客たちが思い思いに夕食を楽しんでいた。


 俺はボッ……お一人様なんで、カウンターで良いか。

 宿のおかみさんは、俺が腰掛けたのを見て、直ぐに夕食を持って来てくれた。どうやら選ぶ程のバリエーションは無いみたいだな。


「お待たせ!お代わり自由だから、足りなかったら言ってね!それと、別料金になるけど何か飲むかい?エールやフルーツジュースもあるよ!」

「……そうですね。じゃあ、フルーツジュースお願いします」

「ありがとうよ!200ゼルだ。ちょっとお待ちな」



 夕食のプレートには、ブラウンシチュー(特盛)、パン(4枚切り食パン×3枚)、野菜炒め(大盛り)が乗っていた………。

 え……?物凄いデジャヴュ……。



「はい!フルーツジュースお待ち!お前さん、まだ細っこいから、沢山食べて大きくなるんだよ!」

「あ…ありがとう……ございます………」



 特大ジョッキのフルーツジュースを前に、俺は固まった……。

 うわっ!重っ!!!



 料理は全て美味かった。

 ジュースも濃厚フレッシュで美味しかった。

 ただ、その量は適量を超えていた……。


 パンは2枚、そっと収納して何とか食べ切ったが、途中、おかみさんにパンのお代わりを何度も勧められて、仕方なく1枚追加して貰った……。


 残したパンはスタッフ(俺)が、後日美味しく頂きました。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る