17話目 魔導書で魔法を覚えよう!
俺は30ゼルを出し、ミフ爺さんに渡してから魔導書を手にした。
早く開きたい欲求が強いけど、ここは我慢我慢。
「ありがとうございます。それで……これは何の魔導書ですか?」
「うむ、これは無属性の『魔弾』の魔導書じゃ。子供等はこの魔法から覚える事が多いな」
なるほど……俺は下手すりゃ異世界キッズにも敵わなかったと言う事か。これは早々に覚えてレベル上げしないとな!
「因みに、この魔法なら5歳くらいには取得しておる魔法じゃの」
「………5歳……」
くそっ!魔法については、だいぶ異世界キッズにアドバンテージがあるってことか……。
ただ、27歳の俺でも異世界ではまだまだ、来たてホヤホヤのある意味キッズだ。
ここは何とか、勢いと会社で培われた忍耐(Lv.MAX)で育てて行こう!過労死経験済の社畜魂みせちゃるわ!!
「そう悲観するな。お主は見た所、成人したばかりの様じゃ。これから覚えてもまだ間に合うじゃろ」
「へ……?……成人…?あの、成人って何歳の事を言ってるんですか?」
「15歳じゃ。そうか……孤児では成人の祝をしてくれる者がおらんかったんじゃな……」
そう言って、しんみりするミフ爺さんを他所に、俺は驚愕していた。
日本人って若く見られがちだけど、流石に15歳は無いよ……無い………けどアル!ここに来て異世界あるあるなのか?!もしかして、若返ってるかもしれない!
「す、すみません!何か姿を確認出来るものありませんか?」
「どうしたんじゃ行き成り……ほれ、そこに姿見があるじゃろ。好きに見るといい」
ミフ爺さんに教えてもらい、姿見の前まで行く。
恐る恐る確認したその姿は、若かりし中坊時代の俺だった…。
……古いアルバムの中を見てる様だ。隠れた想い出がいっぱい溢れて来る……。あの無邪気だった頃の俺だ。若干、可愛いく異世界デフォルメされてるが、ベースは間違い無く俺だ。
あれから15年……我武者羅に大人の階段を登って、妖精さんのまま死んじまったんだと思ったが、まだシンデレラタイムは続いてた!俺はまだシンデレラだ!
よーし、
「大丈夫かの?なんぞあったか?」
「……いえ、自分でもはっきりした年齢が分からなかったんです。だけど、成人に見えるんだと思ったら、それを確認してみたくなってしまいました」
「……そうか。お主は孤児の割には話も流暢で丁寧じゃ。若干、生意気に見えたのは、孤児故の防衛策なんやもしれんな…」
ミフ爺さんの勝手な思い違いは訂正せずにおこう。この爺さん、俺が孤児と言っても、しっかり金を払わせようとする商売人だからな。
「話が逸れてすいません。じゃあ、魔導書を開いてみますね?」
「そうじゃな。先ずはそれをしないと始まらんからの」
そして『魔弾』の魔導書をゆっくり開いた。すると、一瞬ピカッと光り、手に持っていた魔導書は跡かたもなく消え去ってしまった。
「……習得出来た様じゃの。しかし…本当にこんな初期魔法さえ覚えておらんかったとは…」
「大丈夫です!これからガンガン覚えて使って行きますから!他にも覚えられそうな初期魔法はありますか?」
「あとは、各属性のボール系とアロー系じゃな。属性は知っておるか?」
「詳しくは知りません…良かったら教えて下さい!」
そこでミフ爺さんに属性を教えて貰う事が出来た。
魔法は、無属性・火属性・水属性・土属性・風属性が基本の属性だそう。
更に、氷属性・雷属性・闇属性・光属性と続く。
魔法屋にある魔導書は、先に上がった5つの属性がほとんどで、後の4つの属性はレアリティが高い為、売りに出されても高額で、中にはオークションに掛けられる物まであるそうだ。
そしてその魔導書は、ダンジョンにいる魔物を討伐した時やダンジョン内の宝箱から入手が可能らしい。
来たよダンジョン……魔物を討伐した時って事はランダムドロップか?
少なくとも、俺はあまり“引き”は良くない。
そうすると、自力で手に入れようとした場合、他の奴らがホイホイ手に入れられる魔導書も取得するのに苦労する可能性があるな。
その後もミフ爺さんと話をし、ボール系とアロー系の魔導書を購入し、その日は店をあとにした。
総合して、今日一日で10個の魔法を覚える事が出来た!
ボール系……30ゼル×5冊
アロー系……80ゼル×5冊
覚えたとしても全て初期レベル。威力・飛距離・発動数はレベルアップをして強化するしか無い。
でも、ちゃんと攻撃出来る魔法だ。これは育てるっきゃないでしょ!
早速、効率良く修行出来る場所を探さないとな!
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