13話目 出会い

「ふぉぉぉぉー!こんなに平原って気持ちの良い場所だったんだな!……スゲー開放感!最初に居た草原は何だか鬱々した雰囲気だったけど、ここは良いぞ!しかも、出てくる魔物が弱くて超安心!」



 まあ、魔物ゼロが一番安心だけど、森にいた個体より軒並みサイズダウンしてる。それに弱い!


 あ!あとスライムが居たんだ!


 傍から見たら、透明なサッカーボールが一人でポンポン跳ねてる様に見えてしまい、思わずキックからのゴーーール!って感じで、初見では、鑑定したあと蹴って討伐しちゃった。


 俺のタイガーシ○ットのパワーが恐ろしい。


 その時、スライムの中央に見えた石ころが、平原の先へ飛んで行くのが見えた。うっかり、蹴った弾みで誰かに当たったら大変だな。今後は気を付けよう。


 どこかに飛んで行ったその石ころが魔石かも?と後になって気付き、次はちゃんと?討伐して残った石ころとゼリーを確認した。


 結果、魔石とスライムゼリーだと分かった。


 『等価交換』価格は、合計で75ゼル………魔石50、ゼリー25ゼルと言う値段に『安っ!!』と愚痴が出た。



「やべぇ……これじゃ『大介』の増築計画が頓挫する……」



 次元扉内を拡張する為の価格、990万/坪と言う単価は今の所は変動していない。


 これは、良くも悪くも残念な結果だった。


 もし、坪単価が増減する様なら、安くなる時を待って交換しようと狙っていたけど…。



「せめて一坪交換して、トイレとシャワー室を

造りたかったんだけどな…」



 一人暮らしにしても今の『大介』は狭すぎる。俺の暮らしていたアパートだって、1Kで6帖+キッチンにユニットバスがあり、収納が無い代わりにロフトが付いていた。



 面積としては22.5㎡(約6.8坪)。今の『大介』の倍はあった。



「家賃がゼロってのは利点だけど、これじゃ、知り合いが出来ても部屋に呼べない……ってか、秘密にした方が良いのか?」



 その辺も知らないんで、とりあえずは街に行って情報収集と一般常識を確認する所からだな。



「安全と引き換えに、実入りが悪いぞと……?あれ?……何か聴こえたな??」



 草原を渡る風に乗って、小さな音が聴こえて来た。耳を澄まして音を辿ってみる。



 ぴ………ぴ………ぴ………と、鳥の鳴き声らしき声だ。



「……?どこから……?」



 小さ過ぎて周りの音に消されてしまい、中々音の発生源が………あ!超微弱な反応が索敵に出た!



 索敵にあった反応の場所まで行くと、足元からは、ぴ………ぴ………と断続的に鳴き声が聴こえて来る。


 草を分け、探って行くと一匹の羽根の生えていない裸の鳥が小さくくちばしを開けて鳴いていた。



「………え?裸族の鳥……じゃなくて雛鳥か。目も開いてねえや。」



 雀サイズの雛鳥は、頭と毛のない翼をチョコチョコ動かして、上に向かって口を開けていた。


 これって餌待ち?近くに親鳥らしき鳥は……いないな。鳥の雛って何を食うんだ??



「う〜〜〜〜〜ん…。とりあえず『大介』カモン!」



 次元扉『大介』を出し、中へ入ってテーブルに茶碗を置き、そこにうずらの羽根を敷き詰め雛鳥の巣としてから、餌をどうするか考える。



「持ってる物の中には餌になりそうなのが無いよな…。あとは〜〜『等価交換』で鳥の餌とか出るのかな??やってみるか…」



 銀貨を1枚入れ、雛鳥の餌セットを交換希望する。出てきたのは粉末の餌で、先の細くなったスプーンと説明書が付いていた。



「ん〜〜?お湯で餌を溶いて人肌で与える。育成状態が進んだら、水分の調整が必要だぞ…と。まだ卵から換えってそんなに経ってなさそう……あ!鑑定し忘れた!!」



【おしゃべりインコ】

ペットとして飼育可能な魔物。戦闘には向いていないが、知能が高く人の言語を理解し、会話を楽しむ事が出来る。羽根の色が個体によって異なり、それに伴い売却価格も変わる。



「へ〜〜。会話が成り立つレベルになるのか。でも『おしゃべり』って所が引っ掛かるな。うるさくなりそうな予感もするぞ。もし、四六時中喋り掛けられたら………誰かに引き取って貰おう!」



 ペットとしてって事は、需要も有りそうだな。それに、飼うなら俺は犬がいいな〜。シェパードとかハスキーとか……いればいいな。





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