10話目 う…………さ…ぎ?

  移動しては休んでを繰り返し約3日目。

 街っぽい場所までは、まだ半分以上あるな。


 ここに来るまでに俺が討伐出来た魔物は、蝶、アリンコ、イモムシ、ダンゴムシ、蜂、蚊、ナメクジ、カナブン、蜘蛛、ひる……………虫ばっかりで、一向に食える魔物に会えない。


 だが、お陰で金は貯まって来た。チリツモで380万ゼル。3日で貯めた金額としては優秀だと思う。レベルも上がったし。


 きっと『等価交換』で肉もゲット出来るんだろうけど、異世界初の食肉は、自分で討伐した魔物肉を食うんだと、変なスイッチが入っている為、動物性タンパク質は当初バックにはいってたジャーキーを食うのみだった。



 我慢だ我慢……。



 ……あれ?そう言えばあのジャーキー……何の肉だろう?何も考えずに食ってたな……一応鑑定してみるか。





      『ボアの燻製肉』






「……ファ?!…………………ちっ……少しは空気読めよ!」 



 



 …………いや、乾燥して干乾びた塩漬け肉なんか、食った内に入らない。


 そうだよ!俺が目指すのはステーキやバーベキューみたいな、ガッツリした物を食ってこそ達成されるんだ!



 ふぅ……せっかく頑張ってんのに、危うく討伐モチベーションを下げてしまうところだったな。でも、ボア肉がこうして食用に加工されているなら、魔物肉にはやっぱり期待が持てるぞ。うん、そうだそうだ。



 そうして一人で納得して進んで行くと、索敵に反応があった。前方の繁みにいるな……しかも木々の揺れ方から大きな魔物の予感。


 ゆっくりと近付き、静かに木の影に隠れる。


 

 熊か?それとも噂をしていたボアか?



 先ずは目視出来るまでは慎重に……。

 揺れる木の方を注視していると、身体の全体を覆うグレーの毛がちらチラチラ見えて来た!



 やった!とりあえずは虫じゃない魔物だ!



 更に様子を伺っていると、長い耳がピコピコと動き、辺りを探っているのも見える。



(きっとウサギだ!……それにしてもデカイな。まさかあのサイズで角とか…無いよね?)



 大きな『水玉』の用意をして戦闘に備えてタイミングを計っていると、俺の気配を察知したのか、ウサギが不意に後ろ足で立った。



(……え?デカ過ぎね?絶対、熊よりデカいだろ?!それに何だよあの上半身は!まるで胸筋がカンガルーの様だ……殺戮ウサパンチとか打ってきそう……)


 

 見えたウサギの姿に戦慄し、思わず『大介』を出して避難した。



 あれはやべぇ……。



 きっと、拳で語れるヤツしか立ち向かっちゃならない魔物だ。



 どうしよ………とりあえず『水玉』は作ってあるし、何時もの戦法でやるだけやってみようか?



 勿論、俺は武闘派じゃないから、セイフティーエリアから立ち向かう?……ぞ?



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