9話目 牛歩

 俺は今、地図を睨みながら進む方向を確認している。


 アイテムバックに入っていたあの巻物の地図は、草原を抜けたら表示がキチンと出て、自分の現在地と向いている方向を教えてくれる優れ物だった!



 しかし、その現在地はかなり問題ありだ。



 なんせ魔の森(俺 命名)のほぼ中央。街らしき場所からは、かなりの距離があった。


 加えて、元からアイテムバックに入っていた食料では間違い無く足りないのが確定していたので、今は蜘蛛の巣エリアから少しずつ移動し、食えそうな魔物を確保する為に頑張っている。



 だって、異世界と言えば魔物の肉だろ?



 俺は、ラノベで魔物の肉は美味いとインプット済の日本人だ。物凄〜〜く期待しているからな?よろしく頼むぞ!!



 そんな訳で、使わず貯めた金は140万ゼルになったが、まだまだ一坪買うには足りない状態。


 キッチンも風呂もまだ手が届かない。なので、先に『調理器具セット』と『カセットコンロ』を購入。


 しめて15,800ゼル也。


 そして『等価交換』で、野菜類と交換を希望したら、ちゃんとメジャー所の各種野菜をゲット出来た。

 ただ、アリンコ一匹分の野菜(約18万円分)だったんで、その量と種類には若干引いたが……。


 まあ、アイテムバックに入れておけば腐らないらしいから別に良いか。


 今は索敵を使いつつ、極力静かに街を目指して移動し、討伐可能な魔物をせっせと狩っている。


 新しく魔法を覚えてもいないんで、相変わらず生活魔法頼りの攻撃方法。その魔法は、ちょっと強く?デカく?なった程度で威力に変わりはないしな……。


 でも『水玉』がサイズアップして、熊ぐらいならすっぽり覆える成長を遂げていた。


 右手には鞘から抜いた剣を持っている。


 剣の重さは問題無いが、敵に間合いを詰められたら、ぶっつけ本番でブン回す。牽制になればラッキー程度の軽い気持ちで行こう!



「お、またいたなアリンコ……。お前等は俺の糧(経験値・ゼル)になる運命だ。」



 3匹のアリンコを見付けた。こいつ等は『水玉』で捉えて、剣でザックリコースが確定してる。


 飛んでる蝶も同じ方法で倒せる様になったが、どうしてだか、此処らは虫率が高くて、食える・または食う気になれる魔物は皆無だった。


 討伐したアリンコを素早くアイテムバックの右手に入れ、金に変えて先へ進む。

 


「はぁ…。定番のうさぎはどこに行ったんだよ?」



 まだ見ぬ魔物肉………小振りなヤツが来ないかな?



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