クレオとドロテ
クレオとドロテが歩いている。金に続く砂浜はふかふかに熱く、二人は素足。どちらも踊るように跳ね回りながら波打ち際を行く。二人よく似た巻き毛をなびかせ、アイスクリームのように白いそろいの服を膨らませて。ひどく透明なさざ波、その先の、ただ青と呼ぶには青すぎる青。
それまで途切れ目もなく動いていた二人が、ふと立ち止まり、口をつぐんだ。
沖の彼方を見つめる。いまや太陽に代わって、月の銀貨が空を横切り始めていた。
二人の部屋、ベッドの上に腰掛けながらドロテが言った。
「貝を耳に当てると、海の音が聞こえると言うわ」
窓際に頬杖を突いていたクレオが振り返る。ドロテは大きな二枚貝の殻を、一枚ずつ耳へ触れさせていた。
「巻き貝でないとだめなのよ。知らなかった? それに大きくなくてはだめ。そうね、あたしの拾ったこれじゃ、まだ小さいかしら」
ベッドの頭板に飾った戦利品に手を伸ばす。ひとつの、橙と白の筋とでできた、黄色いとげに取り巻かれた貝を取り上げる。
「当ててご覧なさい。どう、何か聞こえて? ……」
クレオとドロテはベッドの上に寝転がり、巻き貝を二人の耳同士で挟んだ。目を閉じる。耳を澄ませた。
そうしてやがておそろいの、波の底で海の囁く、ため息する珊瑚のような夢を見る。
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