第7話 事業の始まり1
宮殿の中に一際豪華に装飾された廊下がある。その廊下の先には女王の寝室である”薔薇の園”がある。薔薇の園には門兵がおりその全員が、王国で精鋭と呼ばれるものだ。しかし、そんな薔薇の園にいとも簡単に侵入したものがいた。
(リュボラさん本当にこれ大丈夫なんですよね。)
彼の名はヘルモルブ・カイン。彼は”隠密"のスキルを持つ暗殺のプロ中のプロであった。
(まぁいいこれミスったら”組織”に消されちまうかもしれねーし、真面目にやりましすか。)
そうして彼は薔薇の園に侵入した。
(後はこいつを…)
彼が手に持っているのはリュボラより与えられた毒である。
(こいつを全部飲ませりゃ〜相手は3秒足らずで逝っちまう。肌にかかっただけでも逝くっていう代物だって言ってたよなぁー。)
と恐怖に震えながら、慎重に歩いていると、女王の寝具の横まで来ていた。
(まぁ今回は薄めたやつだから衰弱するだけ。後はりゅボラさんがやってくれるっしょ。)
そうしてカインは毒薬を女王にかけた。しかし、女王はそのことを自分が夢から覚めてから気づくのだった。
あれからやく2日後、決議の結果が出たとの事だったので、俺は急ぎ、宮殿に向かった。ちなみに滞在してわかったがあの宮殿の名前は、バルゲン宮殿というらしい。
バルゲン宮殿には王の間があり、初日に色々話をしたのはそこらしい。今日もそこで話を聞くそうだが、王の間に先客がいたらしい。何やら話し合っている。なんなら一方は怒鳴りもう一方は冷静にこれを対処している。と言った感じだ。そんなこんなでそれを扉の前で終わるのを待っている。数分後、ようやく終わったらしく静かになった。扉の前の兵士さんに案内され、目に飛び込んできたのは跪き、肩を落としているアリスと、何故かいかにも玉座という場所に座る昨日のおっさん。リュ、リュ、リュボなんたらさんだった。
「来ましたか。すみません。決議に時間が掛かりまして…」
とリュボなんたらさんが言ったので、
「いえ、とんでもない。寧ろ考えてくださり感謝しています。」
と俺が100お世辞のことを言った。とここで聞くのは、マナー上良くないが気になるので聞いておく。
「貴殿はアリス殿となにかお話をなさっていたので?」
そう聞くと、リュボなんたらさんは嘘を塗り固めたような笑顔で、
「いえ、少しばかり。」
と答えた。俺は確信した。絶対このおっさんなんか隠していると。この感じだとおそらく女王は絡みか…と俺が思案していると、
「昨日の件ですが話し合いの結果、あなたにはひとつテストを受けて貰いたいと思います。」
と言い出した。めんど臭そうだがやるしかないので、
「それはどのような内容でしょうか。」
と俺が聞くと、おっさんはなにかを絶対に企んでいる笑みで、
「あなたには、これより、シャルアイル平野で、なんでもいいので、事業を起こし、利益を上げて貰いましょう。」
とおっさんが言った瞬間、周りがザワついた。
やはりこいつはなにか企んでいる。ここで俺はNOとは言えない。言ったらここで商いが出来なくなる。そうするとろくな給料も入らない職業に就くことになりかねない。ここは従っておくか。
「はい喜んで。」
そういうと、周りからはあいつもダメかもな。などネガティブ発言が聞こえて来たような気がするが気にしない。するとまたおっさんは言った。
「そうですね。アリス。あなたが補佐につきなさい。あなたはもう団長ではないんだから。」
と言い、アリスは
「はい。わかりました。」
と悔しそうに唇を噛みながら答えた。
その後俺とアリスは一旦俺が宿泊している宿へ戻った。座るように勧め座らせるとアリスはポツポツと喋りだした。
アリスが言うには、女王陛下が急に衰弱なされ、全権限をリュボラに移したそうだ。そして、アリスは団長を辞任させられ、それについて抗議していたらしい。
「私は剣だけが生きがいでした。剣を奪われ、女王陛下より与ったお役職まで失ってしまいました。私はもう…」
と言って涙を流した。ここは男の俺が慰めるべきだと考え、俺はアリスに対し、
「まだ剣をふるう場所を奪われたわけではありません。今回は私のために剣をふってください。そしていつかまた女王陛下の元で剣をふるえばいい。私はそう思いました。」
決まった。前世で見まくったル〇ン3世の知識が発揮された。ありがとうル〇ン。と心の中でやっていると、
「わかりました。今回からしばらくのあいだ、私はあなたにの剣としてあなたの身を守ります。」
と言ってくれた。そこに俺は今考えいることを話した。
「おそらくですがあのリュボラっていう人が裏で糸を操り、この国を都合のいいようにしたんだと思います。そこで障害があなたです。あなたは常に女王陛下と行動を共にしていると聞きました。なんであなたにリュボラは自分の計画がバレる前にどこか遠くへ追いやって置きたかった。そこで現れたのが私です。建前では私の護衛兼補佐ですが、裏では、計画を邪魔されないようにされるために追いやった、と僕は推測しました。」
と一通り話終えると、急に殺意が現れた。その出処は案の定アリスだった。
「許さない。リュボラのやつは私が必ず殺す!!!!!!」
と殺意マシマシの感じだったので、
「僕は言い渡された業務をこなしながら奴の闇を太陽に晒すつもりです。」
そういうとアリスは目を見開いた。そしてもう一度見つめ直し、
「これからよろしくお願いします。必ずリュボラの闇を暴きましょう!!」
と言って手を出してきたので、
「はい。頑張りましょう!!」
と俺も手を取りアリスと俺は握手をし共に戦っていこうと決意を固くした。
「クフフ。」
リュボラは豪華に彩られた部屋で、満足そうに笑っていた。
(一時はどうなるかとおもったが万事上手くいった。これであのお方も……)
「クフフ」
(おっと。笑みがこぼれてしまう。あの小娘もあのバカ商人かぶれについて行かせたから当分は手を出してこまい。これで"組織”として私も動ける。)
と、リュボラは考えた。これまでリュボラは裏で動くだけだった。しかし、この状況を創り出したおかげでリュボラも表で堂々と動けるようになったのだ。
「これからは組織も私を認めてくれる。そしていつか組織の幹部までのし上がってやる。」
と月に手を伸ばし、リュボラは意志を固めたのであった。
シャルアイル平野。北を龍が住まう山、”オリュンピアス山"に、西を神々が支配する"カルマイル森林"に、東を海の荒ぶる魔物で満たされた"スルナンブ湾"に囲まれたまたの名を、地獄と呼ばれる地がここ、シャルアイル平野らしい。そう考えると無理ゲー感漂ってくる。なんでもアリスの話では、カルアイル森林にいる神々の魔力や呪力、神力により平野では作物がそだたず、海で漁業を行うにしても、魔物がいるからそれどころではなく、仮になにか商品をそこで量産できたとしても、運ぶのに海を使うのはシを意味し、森林を通るものなら、神々の逆鱗に触れる可能性があるし、これまで通ってきた街道だって100%無事で通れる訳でもない。やまを通るのは論外出そうだ。
「どうしたもんか。」
俺がこの地に足を踏み込んで第一声がこれだ。
「これからどうしましょうね。」
と途方にくれたような声で話すアリス。うんどうしよう。作物は育たないから農業もできない。じゃあ龍狩りをして鱗を採集するか。いや、危険が大きい。今アリスの部下10人を引き連れているが、もう言う討伐系の産業は人員の無駄だよなぁ〜。と考えていると、アリスが、
「ひとまず、テントを張りましょう。話はそこからにして。」
というのを聞いて日を見てみると、沈みかけていた。まずい。夜は魔物が来るかもしれないから早めにテントを張って拠点となる場所を作らないと。そうしてテントを張り出した俺らは各自作業に取り掛かった。するとある1人の騎士が、
「ここは全体が言わなのか。テントが貼りずらい。」
と言っていた。確かにここは全体的に岩が多い。しかし、この岩どこかで見たことがあるどこだろうと俺は考えるとハッと思い出した。そうだオーストラリアだ。オーストラリアの採鉄場で見た岩だと気がついた。仕事柄、色々な国野産業と触れ合ってきたから分かる。特にオーストラリアは忘れもしない。先輩に、オーストラリア野土地感と産業の特色はしっかりと見ておけ。と耳にタコができるんじゃないかというほど聞いたから自然に覚わる。間違いないこの平野全体が、鉄の鉱床なのだ。つまり俺たちがやる産業は、農業でもなければ、漁業でもない。討伐業でもない。そう製鉄業だと俺は考えた。鉄はあればあるほどいいし、これから俺の能力を使うんだったら必ず腐るほど鉄が必要になるその下地となればいい。そう思った俺の身体派自然と震えた。そして俺はここにいる全ての人に聞こえるような大声でこう叫んだ。
「私たちがこれからする仕事が決まりました!!!!!!」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます