第4話 ファーストコンタクト

アダマスと別れてから1週間が経過した。俺は人と会うために森を歩き続けていた。不思議なことに全然疲れない。なんならどんどん元気が湧いてくるような感じだ。ここ1週間ただ歩いていただけではない。アダマスがくれたスキルについて調べていた。このスキルは俺の要望通り、向こうのものをこっちでも具現化できる。だから現在俺は素っ裸ではなく、向こうの世界のいわゆるスポーツウェアを着ている。他にも色々作ってみた。武器として、AKMというアサルトライフルを作ってみた。ちゃんと稼働するのか心配だったのでテストとしてスライムを撃ってみたが当たった瞬間に体が粉砕した。正確には魔物の”核”を撃ち抜いた。アダマスの話では魔物には”核”がありそれを破壊すればいいらしい。いい情報を聞けてよかった。AKMの反動が心配だったが、体が強くなったのか分からないが、あんまり感じることなく撃てた。アダマスに感謝である。

話を変えてスキルについて話しておこうと思う。俺のスキルは簡単に言ってしまえば"創造"である。今着ている服も、武器も全て創造して創り出したもので全て稼働するようになっている。他にもそのモノの設計図も出すこともできる。その場合資源などが必要なので1人のときはできるだけ創造でモノを出す方が良いだろう。


その時は突然やってきた。

ギィィンという鉄と鉄が強くぶつかる音がしたのだ。もしかしたら人かもしれない。でもこの音から察するに戦闘中の可能性が非常に高いか…いや行こう。行くしかないと思った俺は、恐怖半分興味半分でその音の方向に走っていったのである。


そこはまさに地獄だった。

「クギャャャ!!!!」

肌緑色の生き物と女騎士とが死闘を繰り広げていたのである。

「嫌ァァーーー!!!!やめてーーー!!!!」

と1人の女騎士が叫んでいるのが見えた。みぐるみを剥がされほとんど裸の状態のその女性は泣きながら助けを求めていた。

「クギ」

と生き物は不適切な笑みを浮かべて刃物のようなモノを突き出していた。もう片方の手には女の首を持っており、叫んでいる女騎士を見ると泪で顔はぐしゃぐしゃになっております、漏らしてもいた。そんな光景を見ていると怒りが腹の底からせい上がって来るのを感じた。気づいたら右手にいつ創ったのか分からない刀を手に持っていた。恐らく無意識にあの生き物を殺したいと考えており、それが具現化したのだろう。これが初陣かと思い俺はその生き物に斬りかかった。


(くっ!コイツら多い。)

アルバニア王国騎士団団長アリス・ダイアナはゴブリンとの戦闘中に考えていた。

(なぜこんなにもいる?こんなにいるなんて報告書には書いていなかった。それにこいつらの強さは...)

本来ゴブリンはそこまで強くはない。アルバニア王国の騎士であれば1人で10体を相手しても何も問題ないレベルであった。なので今回の討伐人数は訓練と新人への指導を兼ねて新米騎士10名できたのだか、

(このままでは私まで。なぜ……)

するとアリスはある可能性を考える。

(まさかダンジョンの変動!?そんなだとしたら我々だけでは)

考えていると助けを求める声が聞こえた。

「団長…助け、て」

今にも消えかかりそうな声で助けを求めていた。そこには満面の笑みでその騎士の胸を揉みながら首をはねようとするゴブリンがいた。

「お前…そのものから離れろぉぉぉぉ!!!!」

「”氷結の剣"!」

そうアリスが叫ぶとアリスの剣は氷を纏いゴブリンの首を落とした。

「大丈夫か!」

駆け寄ろうとしたその時

「クギャ」

と2体のゴブリンに足止めをされ拘束された。

「貴様ら離せ!その汚い手を離せ!!!!」

しかしゴブリンたちは不気味な笑みを浮かべてアリスのスボンを破いた。

「い、いやァーーー!!」

アリスは必死に抵抗するが今にも一体のゴブリンに犯されそうになっていた。

(誰か…助けて)

心の中で助けを求めるも周りには死体と犯されているもの奴隷のように痛めつけられ気絶しているものしかいなかった。

(あぁー。私はもう…)

諦めて目を瞑った瞬間に

グジャという鈍い音と共に拘束していた手の力が弱まった。

(な、なんだ)と目を開けて見るとそこには鈍く光る見たことの無い形の剣と筒を持った男が立っていた。

「もう大丈夫だ。後はやっておく。」

と男はよく通る低い声でアリスに話しかけた。アリスはそのまま気を失ってしまった。 

「さて。行くぞカス共。俺が相手をしてやろう。」

その男龍宮寺雅人は刀を再度構え、ゴブリンとの戦闘に望むのであった。

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