#6

 翌朝先に目覚めたのは紘香だった。

 朝食は六時半から適宜とる。礼拝堂れいはいどうで朝の礼拝らいはいを済ませてからとることになっているので早い生徒はまだ真っ暗の五時過ぎから動き出していた。

 しかしステイシーの朝は遅いようだ。七時になってようやくベッドに身を起こした。

「おはようございます、姫様ひめさま」紘香は冗談混じりに言った。

香炉峰こうろほうの雪いかならむ」中宮定子ちゅうぐうていしの設定のようだ。

 ハイハイ。紘香は心の中で返事をし、黙って窓のカーテンを開き、ブラインドを上げた。

「うわ、やっぱり綺麗やん」

 凍えそうな雪の森。ステイシーが飛び起きた。

「グラウンド状態は?」

「知らないよ」

「なあ……雪合戦しよ」

 見目麗みめうるわしい公爵令嬢の口から子どもみたいな言葉が飛び出した。

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