第302話 オーガとレイヴァー

クロウ達は、オーガとの激闘を繰り広げていた。


雨の音アメノオト十式ジュウシキ大嵐オオアラシ!」


バヒューンッ!

折りたたみ式剣を振りぬき、鋭利な竜巻がオーガを覆う。


重ねて、


最後の力ファイナルギア入力オン! 塵も残さない!荒れ狂う神の槌ボルティスハンマー!」


バリバリバリッ!

ガゴーンッ!

巨大な雷のハンマーが、オーガを叩き潰す。


「うぐっ、ウザイなお前ら!」

「あなたもそろそろ限界が近いんじゃないかしら!」

「舐めるな、魔族!」


シュンッ!

弾丸のような速さで、アーシェに迫る。


「行かせるかよ! 獣の声ケモノノコエ九式キュウシキ牛人の守護ケンタウロス!」


ゴスッ!

ドゴンッ!

クロウが大剣を地面に突き刺し、地面を盛り上げ壁にして道を塞ぐ。


「お前から死にたいか、烏!」

「嫌だね、俺はまだ死にたくねえ、いや、死んだら仲間に殺されそうだからな、そうだろ、ミラ!」

「当たり前だ、私より先に死なれては約束が守れないのでな、生きてもらうぞ! 終の光オワリノヒカリ煌然の斗搔き星アンドロメダ!」


バゴーンッ!

覇気で大斧を倍加させ、全てをなぎ倒す一撃を背後から打ち込む。


ガギーンッ!

それを、オーガは振り返りざまに両手で受け止める。


「狼もその程度か、弱いなーー。」

「あたしも、忘れないでくださいね! 白龍ハクリュウ修羅龍シュラノリュウ!」


ガギーンッ!

続けてリィンの全力の1撃が、背中を突き刺す。



しかし、


魔力の障壁が攻撃を受け止める。


「背中も防御できるなんて、厄介ですね。」

「邪魔をするな……っ!?」


オーガがリィンを狙おうとした瞬間、その目にクロウが構えてる姿が映る。


(ちっ、あの男の1撃を受けるよりは女のをもらった方が軽いか!この技は、知っている!)


ズシャンッ!

弾かれかけたはずの槍が、オーガに突き刺さる。


「いきなり入った、まさか!」

「狼、烏、てめえらが最初に死ね!」


ヒュイーンッ!

口を開き、そこから闇の魔力が蓄えられてるのが見える。


「ちっ、私たちを吹き飛ばすつもりか。」

「離れてください!ミラさん!クロウさん!」


リィンの声が届くや否や、口から魔力が発射される寸前に。




だが、


「魔力勝負といきましょうか、オーガ!」


ミラが避けると同時に、アーシェがクロウの前に入る。


「はっ!ならお前が死ぬだけだ!」

「前魔王の娘の魔力、なめないでほしいわね! 逃げ場はないわ!黒龍包囲網アルブラストオムニア!」


ヒュンッ!

バゴーンッ!

オーガの闇魔法のビームと、アーシェの闇魔法で作られた7匹の竜が正面からぶつかり合う。


「その程度の魔力で、魔王の娘なんて笑わせるな!」

「あら、私は魔力勝負を挑んだのよ、これだけとは言ってないわ!」

「あっ?」


ボフッ!

オーガの頭上に、突如炎でできた桜の花びらが無数に現れる。


「なっ、いつの間にーー。」

「力であなたは勝っていても、使い方がなってないわ! 欠片も残さない!灼熱の桜舞インフェルノブロッサム!」


ボアァ!!

そのままオーガの全身を焼き尽くす。



しかし、


シュインッ!

体の火傷や傷が、一瞬で元に戻る。


「はははっ!俺はこの体を持つ限り、死なないんだよ!お前たちがやっていることは、無意味ってことそろそろ自覚しろ!」

「へぇ、あなた不死身ってことでいいのかしら、なら、遠慮なく力を使えるってものよね、ミラ!」

「任せてもらおう!」


シュンッ!

オーガの背後から、ミラが迫る。


「だから、無駄だとーー。」

「無駄かどうかは、私たちが決めることだ、貴様が勝手に決めるな!」


大斧を構えると、そこには蒼い炎が。


そして、



「これが私たちの最大火力よ!」

「灰になるがいい!灰への道アッシュロード!」


ジャギンッ!

炎を纏った大斧の1撃が、オーガを切り裂く。


共鳴術技リンクアーツの発動だ。


「くっ、くそかすが!」

「次は俺たちだ!リィン!」

「はいっ!」


リィンとクロウが挟み込む形で、オーガに迫る。


「来いよ、無駄だってことをその身に刻んでやるよ!」

「じゃあ、ぜひお願いしようか! 大剣の総集奥義タイケンノソウシュウオウギ神龍の天鱗ラードーン!」


ギュインッ!

ジャギンッ!ジャギンッ!ジャギンッ!

クロウの覇気で、刀身が2倍ほどに伸び、切り口が五芒星を型取る。


そのダメージは、確実に入っている。


「なんだ、さっきからこいつらデータにないことをしてきやがるーー。」

「データ?なるほど、そういうことですか! 黒龍コクリュウ天龍動乱テンリュウドウラン!」


ザザザザザッ!

空からの槍の連続刺しが、オーガを襲う。


「くっ、全員吹き飛べ!」


バゴーンッ!

オーガが風圧で4人を吹き飛ばす。


壁にぶつかった衝撃で、壁にヒビが入る。


「えほっ、まだピンピンしてるな。」

「でも、リィンが何か見つけ出したみたいよ。」

「はいっ、あたし不思議だったんです。確実にダメージを入れられているものと、弾かれているものがあることに。その理由が分かりました。」

「なんだったんだ?」

「単純です、あたし達がこれまでに蠢く会の前で披露しているかどうかの違いです。今の戦いで初めて使った技は、確実にダメージに繋がって治療に時間と魔力がかかっています。なら解決方法は、4人で一気に初めての技を繰り出せば。」

「オーガを倒せるってことか。いいぜ、なら見せてやろうぜ、即興の共鳴術技リンクアーツを4人で作りあげればいい、そういうことだな!」


ズザッ。

4人は体から血を流しながらも立ち上がる。


「即興で作り上げるだけで難題なのに、この力の維持もしながらなんて、次の合わせまで持たせるのがギリギリよ、成功確率はどれくらいかしら?」

「10%も今はないだろう。けど、俺たちならこれから100%に近づけられる、そうだろ?」

「全く、うちのリーダーは無理な注文が多いわね。」

「だけど、無茶ではありません、やりましょう!」


この戦いにも、終わりが近づいていた。

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