第303話 白き世界
「やることは決まったな、いくぞ!」
「了解!」
傷だらけの体を背負い、4人はオーガに突っ込む。
「何度やっても無駄だ、早く諦めろ!」
「そう簡単に諦めるほど、私たちはぬるくないぞ!」
ガギーンッ!
ミラが真正面からオーガの拳と鍔競り合う。
「ほう、お前もまだ力を残していたか!」
「力を残していた?違うな、貴様の力が衰えてきているのさ、オーガ!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
ミラの全力が、オーガの攻撃を捌く。
その隙を、まずはリィンが攻める。
気配を完全に殺し、瞬時にオーガの左後方から、
「
スッ!
ザザザザザッ!
一瞬のことで見逃しそうになるほど、素早く無数の突きがオーガの全身に傷を生む。
「くっ、ちょこまかと!」
「あなたは、多くの人間から生みだされた存在、できればあなたをもとの姿に解放してあげたい。」
「解放?この姿こそが俺だ、最強の姿であることが俺の幸福、お前たちを殺すことが快楽なんだよ!」
「その歪んだ思想、ハーデンが植え付けんですよね、もはや止める術はないのでしょうか……。」
ズザーッ。
ガギーンッ!
ミラとリィン2人でオーガの攻撃を捌いていく。
1撃1撃が弱まっているものの、ぶつかり合うごとに体の芯に重たい衝撃が響き渡ることは間違いない威力。
それでも、2人は決して臆することはなかった。
理由は簡単、心から信じられる2人がいるからだ。
「準備完了、2人とも離れて!」
「ん?」
スサッ!
アーシェの声と共に、ミラとリィンは距離を取る。
そして、
「極限の世界よ!
オーガの体を水魔法が覆い、動きを止める。
さらに、頭上には氷魔法で作られた5mほどのハンマーが。
「極限の世界で、砕けなさい!」
バゴーンッ!
オーガにハンマーが降り注ぐ。
だが、
「うっ、ぐああ!!」
バゴンッ!
2つの魔法を弾き飛ばし、耐える。
ただ、リィンの予想通り、着実にダメージは稼げている。
「はぁ、はぁ、やっぱり命の削りあいは楽しいな!お前らも所詮は生きるために力をつけ、相手を殺すことで力を証明する存在!不殺の掟がどうとかほざいてるけどよ、結局は殺すことでしかお前たちは役に立てない!」
「あなたにそう見えているのなら、そうなのかもしれないわね。確かに、力は誰かに見せる、何かを為すことで認められる。だけど、命を奪うことに快楽を得ているあなたとは分かり合えそうにないわ!」
「偽善者が調子に乗るなって話をしてるんだよ!その力は、邪魔してくる者を殺すために使うだけの自己満足の塊だろうが!」
「私達の力は、殺すためじゃない、守るために使うわ。力があるからこそ、守りたい者が守れるのだから!そうでしょう、クロウ!」
シュンッ!
オーガの頭上にクロウが大剣を持って現れる。
「はっ!偽善者のリーダー、てめぇの考えがこいつらを狂わしてることが分からねえか!」
「俺の行動が、判断が、皆の人生を狂わしているなら、俺が責任をもって解決しねえとな!レイヴァーの命は、俺が預かってる、だったらまずは仲間の命を守って、ついでにこの世界の真層を暴くだけだ!」
パキンッ!
クロウは仮面をつけた状態で、さらに力を上げた。
そう、
「
筋力を増幅させる鎖をちぎり、これまでの限界をさらに超えたのだ。
「そんじゃあ、守るための力と殺すための力、どっちが強いか試してみようじゃねえか!」
「来いよ、無様に散る烏!」
オーガは拳を、クロウは大剣を構える。
「
カッ!
クロウの覇気がオーガに集中し、動きを止める。
その力は、ベテラン戦士でも意識を保つのが困難なほど。
さらに、
「
「こいつ、上位の技を2重で発動だと!?」
「クロウさんそれは無茶です……けど、これが最善の選択になってしまう。」
「クロを信じよう、私たちのリーダーの強さを!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
覇気で刀身が3倍ほどに伸び、五芒星を型取り切り裂く。
すると、
パリーンッ!
オーガから何かが割れる音が。
「まさか、こんな奴に!?」
「なるほど、最後の守りが割れたって所か!」
「だが、今のお前にもう動ける力はない、限界を迎えたその体ではな!!」
「人の限界を、勝手に決めつけるんじゃねえよ!アーシェ!」
シュイーンッ!!
アーシェの掌には、炎と雷の魔力が込められていた。
「本命はこっちか、なら!」
「本命?そんなの、両方に決まっているでしょ!クロウ!」
クロウは覇気で伸ばした大剣を構える。
そして、
「天まで轟け、地を開け!」
「これが俺たちの作る世界!
ビリリッ!
ボアァ!
大剣に炎と雷が纏い、巨大な烏の様相になる。
「くそぉ、お前らなんかに!!」
「うおぉぉ!!」
ガギーンッ!
大剣と拳が火花を散らす。
辺りの柱や壁がぼろぼろと砕け始める。
「やりなさい、クロウ!私たちの未来を作るために!」
「当たり前だ!!」
ジャギンッ!
クロウの大剣が、オーガを真一文字に斬り伏せる。
「ごはっ、なんで、人間ごときに負けるんだ。」
「この世界は人間が作り上げたものだ、人間の底力をなめるな、ここ、重要、上書きしたか?」
「くそ、が。」
シュインッ。
オーガは灰になり地面に落ちる。
「はぁ、はぁ、さすがにきついな。」
クラッ。
力を解除し、クロウが倒れそうになる。
ガシッ。
それをアーシェが何とか支える。
「さすが、うちのクロウね、お疲れ様。」
「ああ、俺たちの勝利だ。」
オーガとの戦いを終え、蠢く会はハーデン1人となった。
その頃、城の外では何やら騒がしい声が聞こえた。
第59章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第59章まで読んで頂きありがとうございました。
クロウ達は、キルシャスとドート、ラスト王が融合させられたオーガと死闘を繰り広げた。
その勝利の先に、彼らを待ち受けるものとは。
ハーデンが動く!?
蠢く会の真の目的が!?
これからもレイヴァー応援しているぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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