第301話 龍の目覚め

「へぇ、レイヴァー最弱のやつも、力を持っていたんだね!」


ライラの目にも、リィンの強さが見てとれた。



体に魔力を覆い、魔力の流れはまるで龍の様。


「最高だぜ、リィン!それとな、ライラ、お前は勘違いしてるぞ、俺たちの心臓はリィンだ、力だけが強さの基準だと考えてるなら、気をつけないとこの先火傷じゃ済まないぞ!」

「ふんっ、心臓なんて関係ないさ、全て破壊しつくすんだがら!全てを殺せ、オーガ!!」

「命令、するな!」


ズザッ!

さらに加速したオーガが、リィンに突っ込む。


(体の動き、先ほどまでの癖、肉体の構成、あなたの次出してくる攻撃は、右脚の回し蹴り。)


リィンの予測通り、オーガの右脚回し蹴りが迫る。


白龍ハクリュウ修羅龍シュラノリュウ!」


スッ!

ズシャン!

槍を引き、全身の力を槍に乗せて突きを放つ。


その一撃は、回し蹴りの足を貫いていた。


「っ!?」

「どんな生き物でも、完璧な存在はいない。あなたも同じ、弱点は存在する!」

「この女、生意気ーー。」

「敵は1人じゃねえぞ! 雨の音アメノオト四式シシキ叢雨ムラクモ!」


ザシュンッ!

クロウの折りたたみ式剣の突きも、右足を貫く。


「ちっ!」


バフンッ!

足から風を起こし、突き刺さった槍と剣を弾き距離を取る。


「やはりそういうことですね、あなたは確かに硬い体をしてますが、さらに硬さを出しているのは風圧ですね。攻撃が迫る部分に対して、風魔法を使うことで勢いを相殺してる。」

「なるほどな、この一瞬で見極めるなんて、最高の心臓だ!その力、後で詳しく教えてくれよ!」

「はい、いくらでもお話しします!皆さん!」

「ええ! 中堅の力セカンドギア入力オン!」


バヒューンッ!

アーシェの魔力がさらに増加する。


「俺たちもいくぞ、ミラ!」

「ああ、任せてもらおう!」


シュインッ!

その手には、半分の仮面が。


白狼リュコス、私と来い。」

白烏レイヴン、俺に力を貸せ。」


ドゴンッ!

2人も仮面を付け、戦闘能力が4人とも格段に上昇した。


「やっぱりそうくると思っていたよ!!オーが、力を解放して全員屠れ!!」

「うるせぇ、俺が殺し方を決める!」


シュンッ!

オーガの怪我が瞬時に治り、次はミラに迫る。


「私なら倒せると思っているのか、舐めてくれるなよ! 始の光イチノヒカリ金剛の一撃アルデバラン!」


バギーンッ!

右の拳と大斧の振り攻撃が、ぶつかり合う。



その破壊力は、ほぼ互角。


「さあ、どちらを避けるのかしら!」

「まあ、避けれるかは知らねえけどよ!」


クロウとアーシェは対角線上に位置取りをし、



「私たちの風の刃に!」

「ご注意を!風刃フウジン!」」


バヒューンッ!

大剣の斬撃と、大きな風の刃が挟み込む。


「ぐっ!」


ガギーンッ!

左手と右足で斬撃を受け止める。



その隙を、リィンは見逃さなかった。


「くっ!」


オーガは唯一攻撃されていない左足に力を溜める。



(定石は、左足を狙うのがいいのでしょうが、それはあなたも予測済みですよね。それに、心臓を狙う可能性と気づいているはず、ならあたしがやるべきことは!!)


黒龍コクリュウ天龍動乱テンリュウドウラン!」


ザッ!

ズザザザザッ!

槍を構え空に飛び上がり、顔面目掛け複数の槍の突き攻撃が浴びせられる。


そこからは、人の赤い血とは違う、紫色の液体が。


「うぐっ、こいつ何個先を読んでやがる。」

「脳力勝負と行きますか、オーガさん!どっちがより早く、より正確な判断ができるか!!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

4人の攻撃がオーガを遅い、着実にダメージを与えていく。


「くっ、何やっているんだ!オーガ!!あんたの力で、こいつらを抹殺しないと面倒なんだよ、早く倒しちまいな!!」

「なんだと。」

「よそ見厳禁だぜ! 拳の響ケンノヒビキ十式ジュウシキ豪雷ゴウライ!」


ガガガガガッ!

ドゴーンッ!

クロウの空から浴びせられる連続蹴りが、オーガを吹き飛ばす。


「はぁ、はぁ、少しキツくなってきたな。あいつタフすぎるだろ。」

「でも、着実にダメージは入っているわ。着実に、私たちらしく無茶しない戦い方でいくわよ!」


さらに4人が追撃しようとすると、




誰も予想できなかった事態が。


オーガは吹き飛ばされた衝撃を活かし、ライラの前にまで迫る。


「な、なんだい、早くあいつらを殺すんだよ!」

「ああ、俺が殺す、だから、お前も死ね。」


ズシャン!

オーガの拳が、ライラの腹を貫く。


そのまま、ライラから魔力を吸収しているのが見て取れる。


「あいつ、まさか。」

「げほっ、オーガ、なぜだ。」

「お前が望んだんだろ、レイヴァーを殺せと。なら、お前の力を奪って確実に殺してやるよ、だからお前も贄になれ。」

「っ、ハーデン、さま。」



バタンッ。

ライラはその場に倒れ、オーガの魔力が回復する。



「蠢く会、どれだけの人を殺したら気が済むの。しかも、仲間を仲間と思わない連中同士で揉めて殺しあうなんて。」

「こいつらを救う道はねえのかもな。あのオーガは、必ず俺たちが止めないといけない、さらにギアを上げるぞ!」

「了解!!」


レイヴァーとオーガの第2ラウンドが開始された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る