第289話 アンノウン
「うぁぁ!!」
ドスンッ!ドスンッ!
目の前のモンスターが2人に迫る。
「なかなか早いな!」
「私が抑える!
スッ!
ガギーンッ!
ミラの大斧と爪が火花を散らす。
「力は相当だ、私でも押し切られかねない。」
「でも、隙は今だ!
グルンッ!
ガギーンッ!
高く飛び、回転しながらの折りたたみ式剣一撃は、背中の硬さに弾かれる。
「ちっ、防御も高めかよーー。」
ブンッ!
ガギーンッ!
尻尾がクロウに迫り、そのまま弾かれる。
ズザーッ!
なんとか受け身をとり、大事には至らない。
「クロ!大丈夫か!」
「このくらい、なんてこともねえ。こいつ、モンスターじゃねえよな、ゴーレムとも見えねえけど中間の存在ってところか?」
「作り出されたのは間違いない、さっき見た3つの存在でこのモンスターを作り上げたのか、それとも別の存在か。」
「こいつの弱点は分からねえ、いろいろ試すぞ!」
ズザッ!
2人は挟み込む形でモンスターに迫る。
「うおお!!」
バシャーッ!
口から、毒であろうか。周りの壁や柱を溶かしていく液体を吐き出す。
「おいおい、危険すぎるっての!」
「背後が空いているぞ!
グルンッ!
ガゴーンッ!
大斧の回転斬りが、モンスターを仰け反らせる。
「腹が空いたぞ!」
「なら俺が!
スッ!
ドゴーンッ!
両手の掌底突きが、モンスターの全身に響き渡る。
「うがぁ!!」
「効いてるな、けど手応えはまだまだだな。」
「この体の大きさだ、そう簡単には倒せなだろう。着実にダメージを稼いでいこう。」
「ああ、早く解放してあげたいけどな。」
ガギーンッ!ガギーンッ!
2人は片方が注意を惹きつけ、空いた方が攻撃を繰り出しさらに隙が生まれれば攻撃を繰り返していった。
着実にダメージをいれて、体の硬い部分が削れていることにミラは気づく。
「クロ!右肩上、防御が弱くなってる部分があるぞ!狙えるか!」
「10cmくらいのところか、注意を惹きつけてくれ!なんとかする!」
ズザーッ!
クロウは加速し、後ろ足を切り裂く。
「ぐぁ!?」
「本命はこっちだ!
ブワンッ!ブワンッ!
大斧からの斬撃が、モンスターを襲う。
「ぐぁぁ!!」
「力比べといこう、どちらが強いか!」
さらに斬撃を放ち続け、ミラに完全に意識が向いている。
(ミラが完全に惹きつけてる、あの狭いところをやるなら、折りたたみ式剣だな。タイミングを見極めろ、バレてミスをしたら体力を無駄にしただけになる。)
クロウは息を潜め、タイミングを図る。
そして、
「がぁぁ!!」
バシャーッ!
モンスターはその口から、金属すら溶かす液体を吐き出す。
「ちっ!」
スタタタタッ!
ミラは全速力でモンスターの周りを走り出す。
「ここだ!」
ズザッ!
その瞬間に、クロウは飛び出し折りたたみ式剣を構える。
「すまねえ、こんなに長い時間苦しめて。必ず、助ける方法を見つけて見せるから、今は休んでくれ。
スッ!
ズシャン!
一点集中した一撃が、防御の薄くなった部分を突き抜く。
「うぎゃぁ!!」
ドダンッ!
痛みに耐えられず、モンスターは暴れ出す。
「よしっ、ダメージは確実に入ってる。仕上げに入るぞ、ミラ!」
「ああ、私に合わせてくれよ!」
ズザッ!
2人が武器を構え突撃すると、
パンッ!パンッ!
拍手のような音が響き、
シュインッ!
目の前のモンスターがその場から完全に消え去る。
「っ!?何が起きた?」
「モンスターが消えた?いや、お前達の仕業か、黒服!」
「全く、俺たちの大切な実験体を壊さないでくれよ。これ作るの、かなり大変だったんだからよ。」
「そういうこと、だから我らがお前達を排除してやろう、苦労を知らんお前らにな!」
「かなり久しぶりに見たぜ、キルシャス!ドート!」
蠢く会の2人が、どうやらモンスターを消したようだ。
「あのモンスター、てめえらが作り出したんだろ!何人も犠牲にして!」
「酷い言い方をしないでくれ、俺たちはこの世界の役に立てるように作り替えてやったんだ!感謝されるべき立場なんだよ!」
「根っからのクズだな、貴様らは。」
「我らとしては、レイヴァーこそこの世界の癌だと思うがな。我々の邪魔をして、世界が良くなることを拒んでいる。それが愚行だと、まだ気付かないとは!」
「てめえらの世界は、自分達だけのために作ろうとしてるエゴの世界だ!そんな世界、作らせてたまるかよ!!」
そして、次の戦いが幕を開けようとしていた。
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