第264話 仮面の集い

アーシェ達4人が戦っていた頃、クロウとミラも戦闘を開始していた。


「さあ、俺たちも始めようぜ! 空の光ソラノヒカリ四式シシキ月光ゲッコウ!」

「クロウガルトに合わせる、しっかり頼むぞ! 始の光イチノヒカリ金剛の一撃アルデバラン!」

「くそっ!」


ガギーンッ!

2刀と大斧をダガー2本で受け止める。


だが、


「力自慢の2人じゃ武が悪いか!」


ピシャンッ!

2人の攻撃を捌ききれず、アークは両腕から出血する。



「血、か。そういえば、僕の血もこんな色していたんだったな。」

「ずいぶん余裕そうだな、アーク。俺たちはお前を許すつもりはない、死ぬことより辛いことがあるっていうことを教え込むつもりだぞ。」

「そんなこと、僕にできると思うのかい?僕はただのニューマンだ、蠢く会の人間だからって傷つけて心が痛まないのか?」

「ほざけっ!」


シュンッ!

ガゴーンッ!

ミラの拳が、アークの右頬を捉え吹き飛ばす。


「えほっ、えほっ。なんてひどい人間たちだ、こんなか弱い僕を2人で殺そうとするなんて!」


確実にダメージを負っているはずのアークだが、やはり奇妙なほどに笑顔である。


「お前が人の命のことで言える立場か?ゴーレムを作るために、白き世界だとかほざくために、今まで何人の犠牲を生み出した。」

「ええ?そんなの覚えていないよ、でも彼らは幸福だよ!だって、僕たちの世界に入れてあげられる選ばれた人たちなんだから!」

「それは、犠牲になった人たちが望んだことなのか?貴様らが、いいように道具として命を使ってきただけではないのか!」

「彼らも望んでいたはずだよ!だって、この世界はすでに混乱が蔓延っている、人はみんな疲れているんだ、だったら休憩も必要だろ!」


シュンッ!

アークはダガーを回転射出する。


「てめぇ、ふざけてんじゃねえぞ! 空の光ソラノヒカリ初式ショシキ半月ハンゲツ!」


ガギーンッ!

横回転してダガーを弾き、そのままアークに突進する。


「人はいつか必ず死ぬ、けどな、  拳の響ケンノヒビキ八式ハチシキ雷火ライカ!」


シュボァ!

地面との摩擦で熱を持った拳が、アークの腹を突き刺す。


「うぐっ!」

「命の大切さを知れ、どんな奴にも命は1つ、失くしたら絶対に返ってこないもんなんだよ!!」


バリーンッ!

天井にアークが叩きつけられる。


「やっぱり、レイヴァーは厄介な存在だな。」


スッ。

アークはふらつきながら態勢を整える。


「クロウガルト、何か感じないか。」

「ああ、あいつはさっきから俺たちの攻撃をわざと受けてやがる、確かにパワーじゃ俺たちが上かもしれねぇが、避けようとする動作もない、気味が悪いな。」

「あれれ?もしかして気づいちゃった!?」


ズンッ!

アークは右手を前に伸ばし、闇の空間を生み出したかと思うとその中に手を突っ込む。


「何してやがる、あいつ。」

「下手に動くな、クロウガルト。あの空間は、なんだか嫌な感じがする。」

「そうだね、動いてくれたらこっちの世界に連れて行ってあげたのに、妙に勘が鋭いね!」


スッ!

アークはその手に何かを持つ。



そこには、


「髑髏の仮面?」

「6神の仮面とも、これまで見てきた仮面とも違う異質なものだな、魔力を感じ取れないはずなのに、私の体があれは危険だと反応している。」

「同感だ、何なんだ、あの仮面は。」



スタッ。

アークはゆっくりと前に進む。


気づけば、体の傷が癒えていた。


「この仮面はね、すごいんだよ!傷を吸収して、使用者にパワーをくれるの!なんてすごい発明!」

「ふざけた発明だな……待てよ、傷を吸収するって言ったか、だとしてもお前の傷だけじゃそんな禍々しいものにはならねえよな。」

「うーん!賢い烏!そうだよ、じゃあ何をしたと思う?」

「聞くまでもないな、これまでの人たちの命、苦痛をその仮面に吸わせてこの世から消したということであろう!下衆な集団が!」

「狼さんも賢い!じゃあ、これを僕が付けたら。」



カチャ。

骸骨の仮面を、アークはゆっくりと装着する。




すると、


グラグラグラッ。

城全体が揺れているような感覚が。


「おいおい、あいつこの城事!」

「壊すつもりだな、そしてあわよくば私たち全員を殺すと。」

「あははははっ!楽しくなってきたね!さあさあ!第2回戦スタートだよ!」



スッ。

ミラはそっと前に出て、指輪に力を込める。


パリンッ!

指輪の石が割れ、白い狼の仮面右半分がその手に。


「クロウガルト、ここは私が先陣を行く、後方は任せたーー。」

「何言ってやがる、俺も先陣に決まってんだろ。」

「っ!?だが、まだ仮面の力を使えないのでは。」

「確かに、まだ使ったことはない。けど、使えないとは言ってない!」


シュイーンッ!

パリンッ!

クロウも同じように力を込め、指輪の石を割る。



始めて、自分の意志で指輪の石を割った。



そして、


「へへっ、ぶっつけ本番成功っと。」


スッ。

クロウの手には、右半分の白烏の仮面が。


「……はぁ、まったく。君といると飽きることがなさそうだな。」

「じゃあ、レイヴァーに入るか?飽きさせないのは俺が保証するぜ。」

「それが楽しいかもな、まあ答えは、あいつを止めてからにしよう。」



目の前には髑髏の仮面をつけたアーク。



対して2人も、


白狼リュコス、私と来い。」

白烏レイヴン、俺に力を貸せ。」


シュインッ!

2人も仮面を装着し、この場に3つの仮面がそろった。




第2ラウンド、スタート。

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