第263話 彼の言葉
ボォォォ!!
バリバリバリッ!
右手には炎の剣、左手には雷の槍が作られていた。
「そんなもので、俺に勝てると思うな!」
「やってみないと分からないわよ!」
ガギーンッ!
炎の剣が斧とぶつかり合う。
「ふんっ、やはりその程度ーー。」
ジュワァ。
斧を持つ王の手が熱により黒く火傷する。
「なにっ!?」
「よそ見したら危険よ!」
バゴーンッ!
雷の槍が王の横腹を突き刺す。
「えはっ!」
ドスンッ!
先ほどまでびくともしなかった王の体が、壁に叩きつけられる。
これは、アーシェの力だけではない、体力を削りに削った3人の功績があったからこそ成しえたものだ。
「なんなんだ、お前たちは、なぜ俺の邪魔をする!」
ズンッ!
王は再度アーシェに突撃する。
「なぜかですって、そんなの簡単よ!」
ガギーンッ!
1発1発のぶつかり合う衝撃は、吹き飛ばされそうなほどの威力だ。
「あなたは、自分のことだけしか考えていない、そんな人が王として国をまとめられると思うの!」
「エリュシオンは俺の国だ、どうしようが勝手だろう!」
「それでは、国民が離れていってしまう、国民がいなかったら王国は存在することができないのよ!そうなったら、あなたは一生孤独に生きる羽目になってしまう!」
「そんなことはない!国民は今のエリュシオンから消えていない、闘技会がいい例だ!」
「今の闘技会は、本当のそれじゃないと感じているのは、他の誰でもない!あなたでしょ!」
ボァァ!
更にアーシェの火力が増していく。
「あかん、アーの姉さん、あのスピードで魔力を使っていったらすぐに枯渇してしまう。アーちゃんを止めなきゃ!」
ガシッ。
サリアの手を、リィンが握る。
「どうしたのリィンちゃん、早くアーちゃんを助けないと!」
「今あそこに介入したら、アーシェさんは助けられるかもしれません。けど、王様は孤独に死ぬことになります。」
「だからって、このまま静観しろっていうのかい?リィンさんらしくないと思うが。」
「あたしも普段のあたしならすぐに止めに入ります。……ですが、今のアーシェさんからは心から王を助けようとする意志が感じられるんです。まるで、クロウさんのように。」
3人は離れた位置から、アーシェと王の戦闘を見守った。
「今までの闘技会に戻してしまえば、俺のように最愛の者を失うことがあるかもしれない、そんなこと誰が望む!」
「なぜ過去に戻すことしか考えられないの!あなたも私も、生きているのは今よ、生きるのは未来なのよ!だったら、新しい形を作ることがあなたのやるべきことじゃないの!」
「なぜ俺だけがそんなことをしなくてはならない!苦しみ、悲しみ、辛い思いだけをしてなぜ国を作る必要がある!」
「それが、国を統治する者の責務なのよ!……でも、あなたは1つ間違えている、国を作ることを1人でしないといけないって誰が決めたの?」
バゴーンッ!
2人は弾きあい、体中傷だらけになりながら息を荒げる。
「何を言っている、何かをするとき人はいつも1人だ!だからこそ、王が存在する!」
「それは違うわ!決断をするのは、私たちのような権利を持っている人かもしれない、だけど!相談できる、弱音を吐ける、自分の心を支えてくれる人は誰であっても必要よ!」
「そんな奴どこにいる、この世界どこ探してもそんな奴はいないーー。」
「いないなら作ればいい!!何でもかんでも、あるものを手に入れようとするんじゃない、自分で作ることが大切なのよ!だから、今の私はここに存在する!」
アーシェの頭の中には、レイヴァーのみんなが、ひいてはクロウの顔が大きく浮かび上がる。
「魔族が笑わせるな!助け合いなど、子供のしているごっこ遊びと変わらないのだ!そんなことで、国が作れるか!」
「私がその第一人者になる!他の誰でもない、私が私の意思で、アーシェ・ヴァン・アフロディテがスパルタ国の統治者になる!」
「なれるものか!お前では、ハデスには勝てない!」
「っ!?ハデスのこと詳しそうね、でも私は成し遂げる!どんなに高い壁があっても、ぶっ壊して先に進む、それが私の覇道よ!」
シュイーンッ!
炎の剣と雷の槍を重ね、橙色の翼とする。
「貴様に、できるものか!」
シュンッ!
王も最速でアーシェに迫る。
「見てなさい、あなたのその目に私の道を刻んで見せるから!
バギーンッ!
アーシェの最大火力が、王に直撃。
「ぐっ、くそがーー。」
「あなたは孤独に慣れすぎた、少しは頼ることの大切さを思い出しなさい。」
「……俺も、あと少し、お前に会えていたら、変われ……かな。」
バゴーンッ!
爆風が部屋中を包む。
その先には、
アーシェが立ち、王は仮面をつけたまま倒れている。
「仮面が割れて死んでしまうなら、割らないで気絶させればいい、さすがシンプルで分かりやすい作戦だったわ、リィン……。」
ガクッ。
アーシェは途端に力が入らなくなり、その場に倒れそうになる。
ズザーッ。
その彼女を助けたのは、リィンであった。
「ありがとうございます、アーシェさん。そして、すみません、こんなに無理をさせてしまって。」
「いいの、目的は達成できたんだし、無茶はしていないわ。あとは、あっちがどうするかね、頼んだわよ、クロウ、ミラ。」
王は、レイヴァーの4人にって止めることに成功した
。
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