第254話 仮面の部屋
スタタタタッ。
クロウたち4人は、城の門を突破し中へと入ることに成功する。
城の中には、兵士は1人もおらず先ほどの騒ぎで大半が城外にいるようだ。
「人の気配は感じないな、アーシェ、魔力はどうだ?」
「……かなり薄いけど、魔力の塵はあるわ。これは、モンスターのものとは違う何か特殊な魔力ね。」
「てことは、考えられるのはサリア達を邪魔ものと認識している蠢く会か。」
「王国で秘密裏に抱え込んでいる魔法近いかだな。私の記憶上、城どころか王国内にすら昔は魔力持ちはいなかったがな。」
スタッ、スタッ。
4人は警戒をしつつ魔力の塵を追う。
エリュシオンの城はやはりとても豪華なつくりであった。
壁は金色に彩られ、入り口にはシャンデリア、3mほどの窓や絵画、ステンドグラスまで高価なものばかりが並んでいる。
これが、戦争が起きた時に最終避難場所となる城とは正直到底思えない。
衣装性に特化しすぎており、どちらかと言えば観光名所として人気が出そうだ。
そんな中を、4人は階段を上がりさらに奥に進んでいく。
「少しずつだけど、魔力の塵が濃くなってきているわ。アークは、この先にいるのは間違いなさそうね。」
「サリアには全く魔力が感じられないんだけど、なんでかな?」
「多分、魔力を消しているか、魔力自体を外部に漏らさない何か道具でも作ったんじゃないかしら。例えば、私の父に使った魔力を無効化させる石とかね。」
「……なぁ、もしそれが本当だとしたら、血のホワイトデイにも蠢く会が関連している可能性が出てこないか?」
クロウの一言に、3人の顔は驚きに包まれる。
「そんなことあり得るかな?だって、あれは魔族ハデスが練った綿密な作戦だって聞いたことがあるよ。そこに、蠢く会が入ってきたらアテナイもグルみたいになるよーー。」
「グルって可能性も0じゃないと俺は思ってる。あいつらが関係してるなら、ニューマンが生まれた理由も分かる気がする。」
「たしかに、オールドタイプしかいなかった血のホワイトデイ以前のことを知っている私たちからしたら、ハデスだけの仕業とは思いにくいな。じゃないと、アテナイの王、ラストの場所に簡単に行けるとは思えない。」
「まさか、俺たちこの世界の神髄にでも辿り着こうとしているのか?ただの追放された多種族チームだけなのに。」
スタッ。
途端に、アーシェは足を止める。
「この先、奥から2番目の部屋にいるわ、魔力がうっすら感じられる、これは塵ではないわ。」
「ようやくご対面か、まずは捕まえて情報を聞き出すところからだ、俺とミラで先行する、後方支援は任せるぞ。」
「うん、2人とも気を付けて。」
「こっちも、準備はできているわ。」
スサッ。
クロウは扉に手をかけ、ミラは斧を構える。
サリアは植物魔法を、アーシェも手に魔力を宿す。
ガゴーンッ。
扉を勢い良く開き、クロウは2刀を構えミラと背中合わせになる。
そして、距離を開けてアーシェとサリアも中に入る。
「……どういうことだ、誰もいない?」
「ぱっと見はそうだが、なんだこの部屋は。他の部屋とはかなり異質なようだが。」
「いえ、いるわ!上よ!」
フワァ。
4人が頭上を見ると、そこには雲のようにふわふわと浮かぶ黒いローブの者が。
「見つけたぜ、てめぇアークだろ!」
「さすが噂に違わない力を持っているね、レイヴァーは。」
「それはあれかしら?私たちのストーカーでもしているってことでいいのかしら?」
「ストーカーなんてひどいな、僕は君たちの大ファンなだけだよ。美しく、そして輝かしい実績を残し続ける君たちには、少しどん底を経験してもらいたくてね。」
バサァ!
アークが両手を開くと、部屋を覆っていた布がはがされる。
そこには、
「なんだ、これ。」
「これって、クロくんとミラさんが付けている仮面と似てるよね?」
「それに、この前戦った猿の仮面もあるわ。」
そう、壁一帯に複数の仮面が飾られていたのだ。
クロウとミラが継承する6体の仮面だけではない、猿や鰐、鼠なども飾られていた。
「これが何を意味するか分かるかい?優秀なレイヴァー、特に仮面を継承しているお2人さん。」
「知ってるぜ、代々アレス家は烏を、アトラース家はオオカミを継承している。だが、他の4つの家系は既に滅んでいる。加えて、どう作ったか知らねえが、新たな仮面も作り出してるみたいだな。」
「この仮面は、この世界を作り出した祖先までつながっている。それを模倣して他の仮面を作るとは、貴様ら何が目的だ。無実な人に仮面をつけさせて、命を奪っておいて!」
「そんなの簡単だよ、これは僕たちのコレクション、云わばおもちゃ見たな感じ。そして、白き世界成就のために絶対に必要になるものなんだよ!」
ここでも出てきた白き世界、はたして何をするつもりなのか?
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