追放された者達、旅をしてたら世界を救っちゃった件

第215話 嫌な予感

「ぐぁぁ！！」

ドスンッ！ドスンッ！

複数体のゴーレムがレイヴァーに迫る。

「リィン、早速だけど俺たちに指示をくれ！俺たちの誰よりも判断力に優れてるのはお前だ、どう攻める？」

「いきなりですね、クロウさんは。けど、予想はしてましたよ！」

「さすがリィンね、私たちのことを理解してくれてる。」

「では、クロウさんとミラさんで正面から迫るゴーレムを足止め、サリアさんは後方のゴーレムが出てこないように魔法を、あたしとノエルさんで確実にダメージを入れます、アーシェさんはトドメを！」

「了解した、キヒの修行の成果も楽しみにさせてもらおうか！」

ズザッ！

クロウとミラが真っ向からゴーレムを迎え打つ。

「さあて、ミラ！後ろに迷惑かけないように、しっかり押さえ込まないとな！」

「私が力負けするとでも思うか？」

「正直、1ミリも思わねえよ。だからこそ、信頼できる！　獣の声（ケモノノコエ）、 七式（ナナシキ）！ 海人の舞（セイレーン）！」

「では、期待に応えるとしようか。　始の光（イチノヒカリ）！金剛の一撃（アルデバラン）！」

グルンッ！

ガギーンッ！

バギーンッ！

大剣の回転斬りと、斧の一振りが2体のゴーレムの動きを止める。

「ぐぅ、がぁ！！」

「なんでここにゴーレムがいるのかわからねえけど、放っておくわけにはいかねえ。すまない、安らかに眠ってくれ。」

「アレス、町の人を守るためだ、近くのどこかに避難してるに違いない。その人達のためにも、しっかりやり遂げるぞ！」

「ああ、分かってる！」

ズザッ！

追加で2体のゴーレムがクロウたちに迫る。

ヒュイーンッ！！

すると、クロウたちの背後から魔力をチャージする音が。

「そこは、通行止めだよ！　降り注げ！光の雨（ライトシャワー）！」

バヒューンッ！

ザッザッザッザッザッ。

魔銃から放たれた無属性魔法が、矢のように降り注ぐ。

「ぐがぁ！」

空からの攻撃で、ゴーレムの動きが止まった。

「ノエルさん！側面からいきます！」

「了解した！」

タタタタタッ。

2人はクロウとミラが押さえ込んでるゴーレムに接近する。

「剛（ゴウ）、三の型（サンノカタ）！鎌（サイス）！」

「橙龍（トウリュウ）！破龍槍（ハリュウソウ）！」

ガゴーンッ！

ザッザッザッ！

鎌のように振り抜かれた足蹴りと、槍の連撃が各ゴーレムに直撃。

「ふがぁ！？」

「アーシェさん！」

「準備万端よ！　斬り落とせ！烈風の翼（ゲイルウィング）！」

バヒューンッ！バヒューンッ！

全てを切り裂かんとする風の刃が、2体のゴーレムを切り裂く。

「ぐぎゃぁ！！」

「よしっ、押し切る！」

ザシュンッ！

クロウとミラにのしかかる力が弱まり、そのまま斬り捨てる。

完璧な連携で、2体のゴーレムを無傷で倒した。

「さすがだな、リィン！」

「すごい！最小限の動きで戦えてる気がするよ！サリア達、6人がいいんじゃない！？」

「そこはおいおい話すべきだよ、僕たちの敵はまだ残ってるんだから。」

「ぐがぁ！」

ドスンッ！ドスンッ！

さらにゴーレムが突き進んでくる。

「今のあいつらを救い出す方法は見つかってない、やるしかねえな。」

「ええ、覚悟を決めましょう。彼らの十字架は、私たちみんなで背負っていく、それが今できる最善のこと。」

「はい、今の流れでクロウさんとミラさんは前線をお願いします！相手も学習するはずです、次はアーシェさんとサリアさんの役割を交代で！」

「OK！サリアに任せて！」

ジャギンッ！ジャギンッ！

ドゴーンッ！

確実にレイヴァーの動きは良くなっている。

元々強いメンバーではあったが、指示を得意とする人間がいなかったため、苦手な部分を担当することも少なくなかった。

しかし、本人が力を発揮しやすいポジション、戦い方、それを熟知したリィンがレイヴァーの脳となり100%以上の力を発揮していた。

「爆ぜなさい！爆焔華（アマリリス）！」

ボァァ！！

バゴーンッ！

大きな火の玉がゴブリンを覆ったかと思うと、

「ここでサリアの番！　伍の舞（ゴノマイ）！眠りの小夜曲（スリープセレナーデ）！」

グルンッ！

ジャギンッ！ジャギンッ！

縦回転しながら、ダガーで全身を切り刻む。

近距離を専門とするクロウとミラ、そこに遠距離を得意とする中で比較的臨機応変に動けるアーシェとサリア、そして、身のこなしが上手いノエルとリィンが隙をつく。

この6人が戦う姿は、まるでショーを見てるかのように軽やかかつ美しかった。

「終わりにするぞ！　空の光（ソラノヒカリ）、四式（シシキ）！月光（ゲッコウ）！」

ズザッ！

ジャギンッ！

2刀のジャンプ斬りが、最後のゴーレムを倒す。

6人は、無傷の勝利を得た。

「よしっ、なんとかなったね！」

「ああ、リィンさんの的確な指示のおかげだね。」

「そうだな、私の修行も乗り越えてこれだけの指示する力も持っている、もしかしたら誰よりも頼りになる存在がキヒかもしれんな。」

「そんな、おだてないでくださいよ！」

6人は辺りを見渡し、人がいないか確認する。

「なあ、なんで誰1人気配を感じないんだ。ここは、普通の町だよな？」

「そうだな、私も詳しくは覚えていないが、少なからず人は住んでいた。何かおかしいなーー。」

ズンッ！

辺りを警戒していた6人の前に、突如1人の黒服を着た者が。

「っ！？蠢く会、やっぱりお前らか！」

「そうだよ、クロウガルト！これまでのは余興さ、そしてこれからが本番！あたしが、ライラがお送りするわ！最高のショーを！」

ズザッ！

現れたのは以前アーシェが戦ったライア。

そして、その隣には。

「あれって、巨人族の人達？なんで……。」

「人質って、ところかな。」

「そうさ、こいつらは餌だよ！！」

ライアの放った言葉、それははたして。