第213話 王国の異変
3人は情報を集め終え、再び集まる。
すると、巨人族たちからお礼をしたいとの申し出があり、部屋で休憩しつつお菓子をつまんでいた。
「さすが巨人族って感じだよね、サイズ感がアテナイとかテーベよりも2倍近くある!」
「この国の料理は、アーシェさんにとっては1番いいかもしれませんね!」
「彼女の場合、問題なく食べすすめて気づいたらなくなってそうだけどね。」
そして、話は町で手に入れた情報に移る。
「リィンちゃんが聞いたようなことは、サリアも聞いたよ。」
「僕も似た話が多かったな。ただ、追加できるとしたら。」
現時点で分かっていることは、
血のホワイトデイ以降、町の平穏が崩れ始めたこと。
その原因として、国が執拗に干渉してくるようになり町ごとに統治されていた環境が、崩れてしまった。
それに抗議をしにいった者たちは、町には戻らず。
王国に捜索の依頼を出しても、見つからないとしか報告は来ない。
それに恐怖を覚えた国民たちは、自分の身を守ることに専念、外界からの介入を拒むようになってきた。
そこに、元々高い好戦的な性格が作用し、町が荒れるところも出てきた。
そこで新たに生まれたもう1つの事象。
仮面をつけた者の存在。
仮面の者に命を取られた人は数え切れない、そして総じて仮面をつけてた者はすでに皆死んでいる。
唯一可能性が残っていること、それは、
ミラが仮面をつけても生きていられること。
それが幸か不幸か、国民に影響を与えている。
ある地域では、巨人族を助けてくれる唯一の存在と崇められ、また別の地域では仮面を付けてる者のリーダーとして懸賞金すら賭けられてるほど。
それだけ、情報が錯綜しているのだ。
こんな状態にも関わらず、一切関与しようとせず、王国のことしか考えないようなエリュシオンの体制。
もはや、外の住人が見てもおかしいというのは分かってしまう。
気になることは3つ。
1つ目は、なぜ仮面を外したら死んでしまう者と、ミラさんであろう存在のように生きてる人がいるのか。
2つ目、王国の異変。
王国が町を統治することは、何も不思議ではない。
しかし、税を多く取り、町の人を苦しめるような政治はなんのメリットもない。
何故こんなことをしているのか、理解ができていない。
最後に、エリュシオンの歴史について。
エリュシオンには過去に何が起きたのか調べたくても、歴史書だけはどこにもない。
あったとしても、断片的なものばかり。
真実を知る方法はただ1つ、王国に向かうこと。
エリュシオンの王国、カバラまではここから丸1日はかかる。
だが、この国を救うためには行くしかない。
「それじゃあ、サリアたちの目標は。」
「カバラまで行って、真実を暴くってことですね。それにはまず、クロウさん達と合流しないと。」
「クロウガルト達がミラさんと出会えてたら、話はもっと進む、コリントスの方に向かおうか。」
「そうだね、ここにいる人たちにお別れしてくるね!」
スタタタタッ。
サリアは巨人族たちの方に走る。
ノエルのリィンが2人、少し話をしていた。
「それにしてもすごいね、リィンさんは。いくら戦士をしていたからって、クロウガルトと同じオールドタイプの技を身につけるなんて。」
「まだ完璧に身につけ終えた訳ではないんですが、あたしも驚いてます。けど、これはジュールさんとミラさんのおかげです。」
「1ヶ月くらいかい?修行をつけてもらったのは。」
「そうですね、優しい修行ではありませんでしたが理にかなってる動き、あたしの特徴を理解してくれての修行、とても充実してました。お2人には、感謝しかありません。」
ノエルはその言葉に少し引っ掛かりを感じた。
「確かに、2人はとても素晴らしい人かもね。けど、1番褒められるべきなのはリィンさんだよ。」
「え?あたしはお2人に言われたことをやってただけで、それ以外は何にもーー。」
「それがすごいんだよ。一般論だが、誰かに言われたことをそのまま実行できるスキルを皆が持ち合わせてるとは思えない、ましてやオールドタイプの技なんて特にだ。」
「ノエルさん。」
「だから、君は努力と柔軟性に特筆した天才だ。それは他の誰でもない、リィンさんだから出来たこと。だから、自分を褒めてあげるんだ、その力は皆に誇れるものに間違いない。頭から1秒たりとも消さないでくれよ。」
リィンは衝撃を受けていた。
自分には当たり前と思えていたことが、周りの人には違うように評価されていたことに。
周りに心配をかけたくない、レイヴァーに追いつきたい一心で頑張り続けてたことが、しっかり受け止められてることにとても喜びを感じていた。
「ありがとうございます、ノエルさん。なんか、すごくテンション上がってきました!」
「それは良かった、じゃあ外に出ようかーー。」
「ノエルさんも、辛い時は頼ってくださいね。あたしは柔軟性に特筆してるんです、あなたのどんな事も受け入れますから。」
「っ!?」
ノエルは怯んだ。
リィンにも、クロウやサリアと同じようにバレていたからだ。
スタッ、スタッ、スタッ。
2人はそこから何も話さずサリアと合流した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます