第156話 魔法の開発
スタッ、スタッ、スタッ。
クロウとサリアはセレスの外に出て、さらにモンスターの情報を集めていた。
サイレスホースを倒したが、まだ謎はたくさん残っていた。
「サリア、なんでサイレスホースがエレウシスに現れたと思う?」
「そうだね、正直あの子はエレウシスを襲ったモンスターとは思えない。危険なモンスターなのはもちろんだけど、多分誘い出されたのかもしれないと思うんだよね。」
「誘い出された?何のために?」
「多分、1番の理由はあの魔力の溜池を守ってた……いや、守らせられてたんじゃないかな。」
サリアは苦しそうな顔で話す。
「守らせられてる、それは、ソーマが指示してると思うか?」
「確証はないけど、可能性はあるよね。後は、セレスに潜んでる裏切り者の可能性も0じゃない。」
「どうにかして、はっきりさせないとな。ソーマが原因か、裏切り者が本当にいるのか。そういや、隣の町もそろそろだよな?」
「うん、確かこの先の道を曲がったら。」
スタッ、スタッ。
2人は他の町にたどり着いた。
「よかった、この町はなんともないみたいだね!」
「ああ、活気も少しはある、けど何かに恐れてるように見えるな。俺たち以外の何かに。」
「確かに、視線はサリア達を捉えてるけど、殺意とか怒りとか負の感情じゃない、サリアたちが無害だってこと証明しないとね。」
「ああ、不安な思いをさせ続けることは本望じゃない。」
スタッ、スタッ。
2人は町を進み、町長の家に向かう。
トンッ、トンッ、トンッ。
ドアをノックすると、
「ほい、どちら様じゃい?」
「すみません、セレスから来ましたレイヴァーっていいます!この近くの町で起きてる事件のことで、お手伝いするために来ました!」
「事件……最近セレウシスやサラミスの近くで起きたことかい?」
「ああそうだ、俺たちは王国からその事件を解明するように言われてる。あんたがこの町の長って聞いたんだ、少し情報をもらえないか?」
少し間が開くと、
キィーッ。
木の扉が開かれ、1人の女性のエルフが顔を出す。
「おおっ、久しぶりにエルフ以外の存在を見たわい。あんたは、オールドタイプかい?」
「そうだよ、さすがに魔力がないのはすぐバレちまうみたいだな。俺たちはテーベに入ってから、まだ日が浅いんだ。テーベでいったい何が起きてるんだ?」
「……そうだね、私が知ってることはこれくらいじゃな。」
数百年前、エルフは魔法について調べる、おいては作り出すことに精を出している者がいた。
すでに魔法はたくさん作られていたが、元々発明したのは魔族が大半。
それを各国に輸入することで、自分の力として使うことはできていたが、やはり魔族に勝てるほどではない。
いつかは、魔族にテーベも奪われる日が来てもおかしくない、そうして対策のために始めたのが魔法の研究。
そこで辿り着いた魔法。
魔力を貯めておくことができ、もし魔力切れを起こしてしまった場合に、救急用として使えるようにした。
おかげで、魔族といざこざが起きた時の被害も少なくすることができた。
ただ、その研究者は気付いてしまった。
本来魔力は自然から生まれる、あるいは植物から生まれるなど諸説あった。
そして、当時の人族以外は体内に魔力を貯めている。
それを、抽出しようとしたのだ。
だが、そんなやり方を考えつくことは容易ではない。
そして、その研究者は急いでしまった。結果を得るために、少しでも自分の研究の成果を周りに見せびらかすために。
取り憑かれていたのだ、周りから承認されることに、自分が天才だと証明する楽しさに。
やったことは簡単、
捕らえた魔族を
すると、
体が徐々に溶け始め、苦しみもがく声が貯蔵庫内に響きながら、魔力となり姿を消してしまった。
これは使えると当時の王女に話したところ、危険すぎると判断した王女は封印することを命令した。
それを理解できなかった研究者は、城で暴れ出したところを取り押さえられ牢屋に入れられた。
それから今まで、魔力を貯めておく魔法は禁忌の魔法として知る人ぞ知るものとなっていた。
「これが、私がここに暮らしていて知っている情報じゃな。何百年も生きてるが、この禁忌を犯した者は聞いたことがない。」
「なるほどな、じゃあもしその
「あまり考えたくはないが、当時から魔法もかなり進歩している。それに、血のホワイトデイさらに環境が変わった。あの魔力があれば、国一つは滅ぼすこともできるじゃろうな。」
「一つ質問していい?その牢屋に入れられた人はどうなったの?今も牢屋にいるの?」
サリアが険しい顔で聞く。
「いいや、奴は処刑されたよ。国で、危険と判断したのだろう、処刑されたと言うニュースが国中に広まった。」
「それって、実際に死んだかどうかは国の奴以外分からないってことだよな?」
「ん?まあそうじゃが、そこで嘘をつく理由もなかろう。」
「……そうだよな、ありがとう。助かったよ。」
キィーッ。
スタッ、スタッ。
クロウとサリアは外に出て、町を出る。
「ねえ、クロくん。これは、サリアの考えすぎだったらいいんだけどさ。」
「ああ、俺も同じことを考えてると思うぜ。」
「じゃあ、やっぱりその投獄された人は!」
「生きてるって可能性があるな、それかそいつの血縁が。明日聞いてみようぜ、怪しまれない程度に、まあ、俺たちじゃ向いてないからノエルに任せるか。」
今回の事件、相当根が深そうだと2人は感じていた。
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