第155話 情報収集
レイヴァーはサイレスホースの素材を回収し、町がどのような状態になっていたか、宿屋で話し合っていた。
「なるほどな、結局のところあのサイレスホースはこの辺りでは現れるのは考えにくいモンスターなんだな。」
「そうみたいよ、この近くでの目撃情報はあまり残ってなかったわ。けど、セレスからあまり離れていない町にまで現れてしまった。」
「そして、禁忌とされた魔力を溜め込んでおく池も生成されていた。ただ、何であんなところにあったんだろうか?」
「わからないことだらけだね、サリアがテーベにいる時には少なくとも魔力の溜池が作られたなんて聞いたことなかったよ。」
レイヴァーは頭を回転させながら今回の事件について話し合う。
「まあ、もう少し詳しく調べないと王国に伝えられないな、セレスで調べるチームと外で調べるチームに分けてもう少し時間かけようぜ。」
「なら、調べ物は得意だから僕は王国で探すよ。」
「なら、私もノエルランスについて行くわ。あなたの行ってた図書館とかも気になるし。」
「じゃあ、俺とサリアで他の町も回ってみようぜ。またサイレスホースみたいなやつが現れたら、今回は潔く逃げるってことで。」
「OK!」
スタッ、スタッ、スタッ。
4人は二つのチームに分かれ、各々行動を始める。
まずは、アーシェとノエルサイド。
2人は本や資料を頼りに、テーベのことについて調べていた。
「アーシェリーゼ、これ見てくれ。」
「なに?」
スッ。
ノエルが広げた資料には、
「これは、世界に存在する魔法の一覧ね。私が使うものや、ノエルランスの魔法も載ってるわね。」
「そうだね、まあ君と僕の魔法はジュールさんによって少し改良されてるとは思うけど。」
「あと載ってるのは……っ!?これって、魔法として存在していいの?」
「
「あの溜池は、これが原因かしら?」
2人は顔を見合わせる。
「あってる保証はないけど、揺さぶる材料にはなるだろうね、他にも探してみようか。」
「そうね。……さすがね、ノエルランスは。」
「何がだい?」
「正直いって、私はあなたを疑っていたの。もしかしたら、私たちに害になる存在なんじゃないかもって。」
「……まあ、そう思われても仕方ないよね、確かに僕は君たちを利用した過去があったからね。」
スッ。
ノエルは本を閉じる。
「でも、疑われ続けるのは心がとても辛いってことを、私も知ってる。だから、まず私はクロウを信じた、あなたを信じてるクロウを。」
「うん、おかげさまでレイヴァーに入れたよ。ありがとうーー。」
「でも、今はそれだけじゃないわ。私も、ノエルランスを信じるわ、あなたの活躍は私たちを何度も助けてくれてる、自分の命が危険な状況であっても。」
グッ。
心なしか、ノエルの拳に力がこもる。
その拳は、喜びというより戸惑いのように見えた。
「ありがとう、アーシェリーゼ。なら、その信用に違わない活躍をこれからもしていくよ。この身が朽ち果てるまでーー。」
「それは違うわ、ノエルランス。」
スッ。
アーシェは途端にノエルに近づく。
「どういうことだい?」
「簡単よ、クロウがよく言ってるように私たちは家族なのよ、あなたが朽ち果ててしまっては、私を含めてみんなが悲しむわ。だから、命は張らないで、もし命を張るなら必ず生き残ることを約束してからにしなさい、家族のために。頭に刻み込んだ?」
「……ああ、分かった。家族のために、一緒に戦い一緒に笑う、それが僕の幸せにもつながると思うから。改めてよろしく頼むよ、アーシェリーゼ。」
「ええ、さあもっと情報を集めるわよ、ノエルランス。」
スタッ、スタッ。
2人はさらに情報を探し始めた。
「そういえば、アーシェリーゼはいくつの魔法を使えるんだい?一般的な魔法使いは5個がセオリーだと思ってるんだが。」
「私は、あなたの使う光魔法以外なら各5個ずつ使えるわよ。あとは、その派生技を3つ、まあ、こっちはまだ使ったことないから、理論上ではってだけだけど。」
「やっぱりすごいね、それは魔王の娘だからってことなのかい?」
「それもあると思うわ、お父様はとても強い魔法使いだった。まあ、会えなくなって10年も経ってるから今はどうか分からないけど。」
「……変なことを聞いてすまない、けど、君の目は覚悟と希望を感じられる目をしている。諦めるつもりは、ないんだろ?」
スッ。
アーシェはノエルを見つめる。
「当たり前でしょ、お父様もお母様もまだ生きてる、だから、ここで力をつけて、みんなが力を貸してくれるなら、必ず助け出すわ。それが、私の生きる意味にもなる。」
「なら、僕も負けないくらいに鍛えとかないとね。……って、話が脱線してしまったね、まずはセレスのことを解決しないとだね。」
「そうね、あっちの方私探してくるわ。」
スタッ、スタッ。
アーシェは離れた書庫を見に行く。
「アーシェリーゼ、ありがとう。僕も、変わらなければならない。」
スタッ、スタッ。
ノエルもさらに本を探し始めた。
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