第125話 新種との邂逅
チュンッ、チュンッ。
外では小鳥が囀り、朝が来たことを告げる。
スタッ、スタッ。
レイヴァーは準備を終え、ギルドに向かっていた。
クロウは相変わらずの回復力、完治とまではいかないが、普通に活動できるほどには回復していた。
「クロウの体って本当にどうなってるのかしらね。傷の回復が異常すぎるわ。何かズルしてない?」
「ズルってなんだよ!確かに治りは早いかもだけど、しっかり痛むところはあるっての!」
「もしかしたら、クロくんの睡眠に何か秘訣が!?」
「いや、同じ部屋で寝てた僕としては、特に変わってなかったと思うよ。普通に寝て、何事もなく起きてた。」
「うーん、不思議ね。」
そんなこんなで、レイヴァーはギルドに辿り着く。
「そんじゃあ、まずは俺とノエルが教えてもらって、その後にアーシェとサリアでいいな?」
「OK!サリア達も、自分の魔法のことをもっと知ってからの方が良さそうだし!」
「アーシェリーゼの魔法が強くなったら、クロウガルトをもっと簡単に焼けそうだね。」
「そうね、1秒でウェルダンにできると思うわ。」
「もうやだ、俺に優しい仲間を増やしたい。」
キィーッ。
ドアを開けると、ジュールが席に座っていた。
「あ、来たね、こっちこっち!」
「おはようございます、ジュールさん。今日はよろしくお願いします。」
「うん、任せて。誰からスタートする?」
「まずはノエルを見てくれ。その後に、俺、アーシェ、サリアの順で頼む。」
「了解、それじゃあ近くの広場に行こうか。」
スタッ、スタッ。
5人はギルドを出て近くの広場に向かう。
「それじゃあ、ノエルくん。一つ技を出してみて。」
「分かりました、
スッ!
ブンッ!
振り抜いた風と、2段目の衝撃波が流れる。
「うん、確かにそれは騎士道の技だけど、少しアレンジを加えてるね。そうしたら、イメージを変えよう。」
「イメージを変えるですか?」
「そう、君も自分で言ってたように騎士道の技をアレンジしたってのが今の認識だ。だから、頭の中には基本の型が残ってしまってると思う。」
「確かに、ジュールさんの仰る通りです。」
スッ。
ジュールはノエルの拳に触れる。
「そこを変えるんだよ、これは何かを変えたものじゃない、もともと自分が生み出した技だって。」
「そう、そうすることで本来の型なら効果的な動きでも今の君の戦い方では無駄になってしまってる部分を取り除けると思うんだ。」
「なるほど、まずはイメージから変えるところからですね。」
「今の技を見た感じ、一撃目はフェイク、二撃目が本命だよね。そしたら、手の角度はこうで足をこう開いて。」
スタッ、カチャッ。
ノエルの体勢を微調整していく。
「この大勢で、自分のイメージ通りにやってみて。あくまで、これは自分の技だって。」
「分かりました、
スーッ。
ボフンッ!
先ほどと動きは同じに見える。
しかし、一撃目は音すら感じないほど静かで、二撃目は爆発がしたかのように風を切った。
「すごい、これが正しい使い方。」
「そうだね、君の中で1発で正解を導き出せた結果だよ。にしても、クロウくんもノエルくんもすごいね、一回教えただけでできちゃうなんて。」
「戦うセンスだけは鍛えてたからな、ここらで発揮できないと悲しいぜ。」
カチャッ。
スッ。
ドーンッ!
クロウとノエルは着実に技を洗練し、一つ上の段階に上がろうとしている。
その姿を、アーシェとサリアは見つめつつ自分の魔法を試していた。
「うーん、サリアの魔銃は魔力を銃口に溜めてから撃つから、その先のイメージを変えればいいのかな?」
「どっちでしょうね、溜める段階で魔力の量を調整する可能性もあると思うわ。」
「それもそうだよね、はぁ、難しい!」
「焦っても仕方ないわ、気長に待ちましょう。あの2人は着実に力をつけてる、もしもの時は助けて貰えばいいわ。」
「そうだね!」
そこから1時間ほど経過し、クロウとノエルは多くを学び続けていた。
「よしっ、じゃあ少し休憩にしようか。女性陣2人も何か掴めてるかもしれないし。」
「分かりました、2人を呼んできます。」
スタッ、スタッ。
ノエルがアーシェ達の方に歩き始めた途端、
カンカンカンッ!
町のベルが鳴り響いた。
「なんだ!?」
「これは、警報だ。近くにモンスターが現れたんだ!」
「そんな、なんでこのタイミングで。」
「文句言っても仕方ないわ、サリー。みんな、ギルドに戻りましょう。」
タタタタタッ。
5人が戻ると、
「うわぁ!!」
今まさに、町の中に侵入したアサルトビーが人を襲っていた。
「このっ、させるかーー。」
シュンッ!
ジュールの目の前を弾丸のようなスピードでクロウが翔る。
そして、
「
ゴスンッ!
一点に集中した掌底突きが、アサルトビーを吹き飛ばす。
「おい、大丈夫か!」
「あ、ありがとう。」
「早くギルドの中に行け!」
「あ、ああ!」
タタタタタッ。
男はギルドの中に入る。
「クロウ!」
「アーシェ、ここは二手に別れて敵を倒すぞ。」
「二手に別れる?なんでよ?」
「感じるんだ、この町の外にとんでもなく嫌な気配を。」
「だったら、比較的元気な私とノエルランスで。」
クイッ。
クロウは頭を横に振る。
「いや、俺とノエルで行く。」
「は??なんでクロウはまだ怪我がーー。」
「この町にも相当数モンスターが紛れ込んでるって考えたほうがいい。だから、俺の分身と思ってアーシェを置いて行きたいんだ。」
「なっ……はぁ、分かったわ。必ず帰ってきなさいよ!」
「おう!行くぞノエル!」
スタタタタッ。
2人は町を出て外に向かう。
「サリー、誰1人指一本触れさせないわよ!」
「任せて!」
「急にこんなことになるなんて、レイヴァーの力頼りにさせてもらうよ。」
3人は町に入り込んだモンスターを倒し始めた。
そしてクロウとノエルが数分走った先に、
「いやがった、あれが、この恐怖の正体。」
「禍々しい、ゴーレム。」
クロウ達が目にしたものとは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます