第114話 3人の力

「ガルゥゥ!!」


バゴーンッ!

咆哮が、辺りの家や木を吹き飛ばす。


「ふざけやがって、これじゃエデッサが壊れちまう。」

「そんなことさせないわ、いくわよ、2人とも!」

「ああ!」


シュイーンッ!

3人の周りに力が溜め込まれる。




そして、


憤怒の鎖レイジチェーン解除リリース。」

始まりの力ファーストギア入力オン!」

力の解放パワーブースト!」


バゴーンッ!

3人は力を解放し、第二ラウンドが始まった。




ブンッ!

ガギーンッ!

さらに加速した拳を、ノエルが受け止める。


「うぐっ、さらに力を増してる、注意するんだ!」

「おう!ついでにその手、借りるぜ!」


スタタタタッ。

ノエルが抑え込んでる手を駆け上がり、クロウは顔面に突き進む。


「ガルァ!」


シュンッ!シュンッ!

風魔法を体の周りに生み出し、刃のように射出する。


「おいおい、まじかよ!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

2刀で魔法を弾き、さらに突き進む。


「ガルゥ!!」


ヒュイーンッ!!

風魔法が口に溜め込まれる。


「やばっ……なんて言うと思ったか!」

「あなたは私を信じすぎよ! 弾け飛べ!闇の波動ダークパニッシャー!」


スッ!

ドスンッ!

瞬時に顎に迫ったアーシェが、闇魔法の波動を打ち込む。


「ガァ!?」

「そして、 獣の声ケモノノコエ七式ナナシキ海人の舞セイレーン!」


グルンッ!

ガギーンッ!

大剣を勢いよく回転させ、顔面を切る。


チサッ。

大きめに木が崩れ、顔に痛みの表情が。


「ガァァ!!」

「うはっ!」


ブンッ!

ガギーンッ!

ラーゼの頭突きでクロウは弾き飛ばされる。


「まだ終わってないわよ! 炎の手となれ!豪炎鋭槍ボルケーノスピア!」


ブォォ!!

ジャギンッ!ジャギンッ!

炎の槍を生み出し、さらにダメージを入れていく。


「ガルゥゥ!!」

「くっ、押し負けるものですか!」

「さすがアーシェリーゼだ! ゴウ六の型ロクノカタホウ!」


ゴッ!ゴッ!ゴッ!

踵で連続蹴りを顔面に突き刺す。


ドスンッ。

ラーゼは態勢を崩し、膝をつく。


「よしっ、今なら!」

「いくわよ、ノエルランス!」


ズザッ!

さらに2人が追い打ちをかけると、


「ガルルルゥ!!」


ズザーッ!

大きな耳が急に伸び、2人を貫かんと迫る。


「嘘でしょ! 穿て!紫電ライトニング!」

「それは予想してなかったよ。 ゴウ三の型サンノカタサイス!」


バゴーンッ!

ガギーンッ!

雷の衝撃と、足技を振り抜いて耳を弾く。


だが、


ガクッ。

アーシェがふらつき、膝をつく。


「くっ、力を一気に使いすぎてる、魔力が足りない。」

「アーシェリーゼ!」


シュンッ!シュンッ!

風魔法の斬撃がアーシェに迫る。


ズザッ!

ノエルはアーシェを庇いながら、避けようとするが、


ピシャッ。

ノエルの右手に直撃し、深い傷から血が流れる。


スタッ。

ズザッ。

「ノエルランス!」


ノエルは地面に膝をつき、腕を庇う。


「くそっ、右手は使い物にならない。アーシェリーゼは平気かい?」

「え、ええ。おかげさまで。……一つ借りが出来たわね。」

「借りなんかじゃないよ、仲間というのは助けて助けられる存在だろ?」

「……本当、人族は理解できないことが多いわ。けど、尊敬はしてる。少し休んでなさい、あとは私と!」


スッ!

ラーゼの頭上に一つの影が。


「俺がやる! 拳の響ケンノヒビキ七式ナナシキ雷神ライジン!」


ドゴーッ!

ドスンッ!

重力に乗った一撃が、ラーゼの顔面をとらえる。


さらに、


「離れて! 審判よ!天罰ジャッジメント!」


ピカーンッ!

バゴーンッ!

空から大きな雷が降り注ぐ。


「ガルァ!?」


さらにダメージが重なっていく。


「ガルゥ!!」


ブンッ!ブンッ!

怒りを露わにしたラーゼは、さらに多くの風魔法の刃で2人を狙う。


スシャッ、スシャッ。

2人の体に傷がさらに増える。


「うぐっ、全て捌くことできない、でも今なら!」

「ああ、ここだろ、アーシェ!」


ズザッ!

2人は顔面目掛け迫る。


「ガルゥ!!」


(クロウ、あなたなら分かるわよね、私の考えてることが。信じるわよ、あなたという存在を!)

(さあ来いよ、アーシェ!お前が感じる俺を感じろ、俺はお前とならどこまでもいける!!)


シュンッ!

2人は攻撃を避けながら挟み込む形で、位置する。



そして、



「私が動きを止める!」

「俺は息の根も止める!十文字ジュウモンジ!」


ドスンッ。

ジャギーンッ!

闇魔法で抑え込み、耳の木の部分を一つ折りたたみ式剣で切り落とす。


共鳴術技リンクアーツの発動だ。


ドスンッ。

大きな耳は、地面に叩きつけられる。


ズザーッ!

2人は地面に降りる。


「はぁ、はぁ、ここまで打ち込んでも片耳が精一杯か。」

「けど、少しは効いてるみたいよ、私達ならやれる!」

「クロウガルト!アーシェリーゼ!離れろ!」

「ガルァァ!!」


バゴーンッ!

2人の周りに激しい風が巻き起こり、吹き飛ばす。


「うはっ!」

「えほっ、えほっ。なんなの、こいつは。スタミナは底無し?」

「かなりしんどいな、どうする2人とも。」

「くそっ、エリカリットの援護にも行きたいのに。」



ガギーンッ!ガギーンッ!

エリカリットとソーマのぶつかり合いはまだ続く。


「くっ、あんたラーゼを使ったんか!禁忌のモンスターを使ってまで、何をしたいんや!」

「何でもいいだろ!なぜって、ここであいつらとお前も死ぬんだからよ!」

「死んでやるもんかいな!サリアリットも、レイヴァーの3人もそうやわじゃないで!」


2人の戦いも終わりが近づいてきていた。

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