第113話 新種との激戦
拳と大剣の風圧が、辺りの木々を揺らす。
「ガルゥ!」
「んてバカ力だよ、こいつーー。」
ガギーンッ!
ズザーッ!
クロウを容易く弾き飛ばす。
「クロウ!」
「えほっ、えほっ。大丈夫だ、2人とも気をつけろ、今までのやつとは格が違うぞ!」
「分かってるわ! 爆ぜなさい!
ボァァ!!
バゴーンッ!バゴーンッ!
砲丸のような炎が、顔面にはいる。
「ガルァ?」
「嫌になる程頑丈ね、こいつ。」
「なら、内側からなら!
ドゴーンッ!
両手の掌底突きを、右足に打ち込む。
ズシンッ。
半歩ほど動いただけで、痛みすら感じさせない表情。
「耐性が高すぎる、こんなモンスター今まで見た事ないーー。」
「離れなさい!ノエルランス!」
ガゴーンッ!
足に弾かれ、家に叩きつけられる。
「うはっ、力も格が違う。なんなんだ、このモンスターは。」
「2人ともーー。」
「ガルゥゥ!!」
ヒュイーンッ!!
バゴーンッ!
風魔法が口に溜め込まれ、ビームのように射出される。
「くっ、氷つけ!
バキキキッ!
ドゴーンッ!
氷の射撃とぶつかり合い、爆発が起きる。
ズザーッ!
「痛っ、魔法もかなりのものね。」
「背中が空いてるぜ!
バキーンッ!
スシャッ。
体に少し傷が入る。
「この感覚、こいつの体は木でできてるのか?」
「距離を取れクロウガルト!くるぞ!」
「ちっーー。」
「加速しろ!
ヒュイーンッ!!
シュッ!
アーシェの風魔法の加護を受け、なんとか拳を避ける。
「ありがとうな、アーシェ。ぺちゃんこにならずに済んだぜ。」
「確かに、今まで見たことのないモンスターね。それに、新生モンスターのゴーレムみたいな違和感はない、ただただ強いモンスター。時間がかかりそうね。」
「2人とも!このラーゼとか言うモンスターの弱点を探すところからだ、闇雲にやってもスタミナ負けする、やるぞ!」
「そうだな、いくぜ!」
ズザッ!
クロウは左側面、ノエルは右側面、アーシェは正面から立ち向かう。
「ガルゥゥ!!」
「
「落ちろ!
「
グルンッ!
ガギーンッ!
回転しながらの2刀の攻撃を左手に、
ボスンッ!
大きな氷の塊を頭に、
ガゴーンッ!
前回転してからのかかと落としが右腕をとらえる。
3人の同時の衝撃は、少しラーゼを怯ませる。
「流石に3人同時ならきついか!
「けど、まだ弱点はわからないわ! 射貫け!
「少しでも動きが遅くなるなら、今がチャンスだ!
スッ!
ゴスンッ。
ノエルの右拳の正拳突き、
ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!
アーシェは辺りの石や岩を射出。
グルンッ!
ガギーンッ!
横回転しながらの2刀の攻撃。
さらに3人はタイミングを合わせてラーゼを少しずつ押していく。
そのまま複数回、全員は体全体に攻撃を与えていく。
「ガルゥゥ!!」
グルンッ!
ズザーッ!
ラーゼは1回転して3人を弾き飛ばす。
「はぁ、はぁ、流石に疲れてきたぜ。アーシェ、ラーゼはあと体力どのくらいあると思う?」
「はぁ、はぁ、そうね、あと7割くらいかしら。」
「冗談きついね、こっちはかなり疲労溜まってるんだけど。アーシェリーゼ、まだ魔法は使えるかい?」
「ええ、けどこのままじゃやっぱりスタミナ負けするわ。弱点も見つからない今じゃ、どうすれば。」
「1箇所だけ、攻撃できてないところがある。口の中だ。」
スッ。
アーシェとノエルはクロウの顔を見る。
「あなた、正気?風魔法を打ち込んでくる口を狙うの?」
「危険すぎる、最悪誰かが大怪我をしかねない。」
「ああ、俺たちが1人づつだったら無理だろうな。けど、こっちは3人だ、やれるさ。」
「その自信、本当に理解できないわ。……なんとか道を作るわ、クロウ、任せるわよ!」
「おう!」
ズザッ!
アーシェとノエルは接近する。
「ガルゥゥ!」
ブンッ!
大きな右手でノエルを弾こうと攻める。
「その手は、もう動かせないよ!
ズザッ!
ドスンッ!
右手の3本指を突き刺し、衝撃を打ち込む。
「ガル!?」
「さあ、こっちを見なさい! 呑み込め!
ザプーンッ!!
大きな水の波が、ラーゼを攻める。
「ガルゥゥ!!」
ヒュイーンッ!!
バゴーンッ!
風魔法を口から放ち、水魔法を受け止める。
「くっ、まだ水圧を上げていくわよ!はぁぁ!!」
ザブーンッ!
力負けせず、さらに押し込んでいく。
そして、
「ここならどうだ! 光刺せ!
ピカーンッ!
ズサンッ!
ノエルの唱えた光魔法の剣が、首をとらえる。
「ガルァ?」
ガクンッ。
口が空いたまま、顔を上げる。
そこに、
「さあ、ご飯の時間だぜ!
スッ!
ガゴーンッ!
空から大剣を逆手持ちし、口に突き刺す。
「よしっ!」
「やったわ!」
「へへっ、これで終わりーー。」
ピカーンッ!
バゴーンッ!
「うおわ!」
ドスンッ。
3人は地面や壁に叩きつけられる。
「な、何が起きた。」
「分からない……っ!?あれを見て!」
ピカーンッ!
今までは顔のような部分はあったが、目や口はなかった。
だが、今3人の前に立つラーゼには、
大きな赤い目玉が2つ、狼のような尖った口も生まれ、姿が変わっていた。
「まさか、これがこいつの本当の姿?」
「弱点を突かれそうになって、力を解放したってところかしらね。」
「じゃあ、僕らもやることは変わらないね。」
ズザッ。
3人は傷を受けた体に喝を入れ、立ち上がる。
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