第108話 ゴーレム戦
スタッ、スタッ。
レイヴァーはエデッサに入る。
そこはいつもと変わらず、町の人が賑やかに話し、以前よりも商いが盛んになってる気がした。
「数ヶ月ぶりね、ここに来るのは。ここで、私はクロウと出会ってここまで来れた。あの森で助けてもらえなかったら、多分死んでたわね。」
「そうか?アーシェはかなりしぶとそうだし生きてたとは思うぞ。まあ、出会えたという運命には感謝しないとな。」
「2人の思い出の地なのに、嫌な情報を与えてしまって申し訳ないと思うよ。」
「気にすんな、俺たちの思い出以上に、より大切なものを手に入れられるかもしれないんだ。さあ、ノエルが話してた場所を少し見て回ろうぜ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
レイヴァーは少し奥まった路地に向かう。
「この辺りだよ、僕はここで蠢く会の1人から情報をもらっていた。」
「ここか、特に変わった部分とかはなさそうだな。てか、タダで情報を渡すわけないよな?何か提供してたものはあるのか?」
「単純に、お金だよ。彼は極度のギャンブル症でね、少しでも自由にできるお金が欲しかったみたいなんだ。」
「哀れね、命を落としてしまったら、使いたいお金も使えなくなってしまうのに。」
スサッ、ガサッ。
4人は辺りを調べていく。
だが、それらしいものは何も見つからない。
「お前ら、何かあったか?」
「特に見当たらないわね、そんなヘマをするような人達じゃないってことかしら。」
「ねえ、ノエルくんが最後にその人に会ったのはいつ?」
「うん?確か、3日前だよ。」
「3日前……。」
グッ。
サリアは顎に手を当て、何かを考える。
「どうしたのサリー?何か気になることでもあるの?」
「うん、その情報提供者は何属性の魔法を使える人?」
「ああ、詳しくは聞いたことないけど風魔法を使っていたのは見たことあるよ。」
「じゃあ、ここにはノエルくんの光魔法とその人の風魔法の塵があればいいんだよね。それに、こんな人通りがないところ滅多に近づきたい人なんていないよね。」
「まあ、そうだね。僕も、彼と出会う時以外に誰かが通るのを見たことはないよ。」
スッ。
途端に、サリアが道を指差す。
「あっち、2人の魔法以外の塵が続いてる、それも地上じゃない、地中を移動してる。」
「地中?人族のモグラでもいるのか?普通そんなところ
「うん、それこそサリアみたいな植物魔法使いじゃないとあり得ないと思う。」
「確か、植物魔法はエルフしか使えない特殊な魔法よね……まさか!?」
「うん、サリアは無属性魔法を使うけど、中には土魔法の植物魔法を使えるエルフがいてもおかしくない。」
バッ!
サリアはおもむろに走り出す。
「おいっ!サリア!」
「もしかしたら、サリア以外のエルフが何か知ってるのかも、間に合うんだったら話を聞かなきゃーー。」
カンカンカンッ!!
レイヴァーの会話を遮るように、エデッサの町の警報が鳴り響く。
「なんだ!?」
「この町の警報だ、何が起きたんだ!そっちから対処しよう、いいよねリーダー?」
「当たり前だ!いくぞ!」
タタタタタッ。
レイヴァーが広場の方へ走ると、慌てて走る町の人の姿が。
「おいっ、何が起きた!」
「分からないけど、外で二足歩行の大型モンスターが2体現れたらしいんだ!君たちも早く避難するんだ!」
ズザッ!
エデッサはパニックに陥っていた。
「ちっ、二足歩行の大型モンスターってことは。」
「ゴーレムの可能性が高いわね、手遅れになる前に行きましょう!」
タタタタタッ。
レイヴァーは足早に外へ出ると、
「くそっ、やっぱりゴーレムだ!」
クロウの目には、約100mほど先に暴れてるゴーレムの姿が映る。
「すごいな、君の目は。敵の位置が見えるのか。」
「クロくんの無駄に高すぎる身体能力のおかげだね、早く行こう!」
「おいサリア!しれっとディスったの聞こえてるからな!」
ズザッ!
レイヴァーは武器を構え、ゴーレムに突撃する。
「ぐぁぁ!!」
ゴーレムは辺りの木々を薙ぎ倒し、整備された草原がどんどん荒らされていく。
「がぅ!」
ドゴーンッ!
地面は2体のゴーレムの大きな足と拳で凸凹に。
そこに、一筋の光が。
「おい、せっかくエデッサの人たちが綺麗にしてる広場を、荒らしてんじゃねえよ!
グルルンッ!
ガギーンッ!
縦回転しながら、2刀で攻撃をやめさせる。
「がぁ!!」
「妙にお怒りだな、このゴーレム。」
「じゃあ、サリア達で抑えてあげないとね! 降り注げ!
シュッ!シュッ!シュッ!
空から雨の如く、無属性魔法が降り注ぐ。
「ぐぅ、がぁ!!」
魔法を弾き飛ばし、クロウとサリアを真正面から捉える。
もう1体のゴーレムは、
「さあ、クロウをミディアムにできなかった分、あなたを焼いてあげるわ! 爆ぜなさい!
ボァァ!!!!!
バゴーンッ!バゴーンッ!
砲弾のような炎の球が、直撃する。
「ぐぉぉ!」
「さすが、アーシェリーゼの魔法は一級品だね!
ダッ!ダッ!ダッ!
拳の3連撃が、顔面を捉える。
「がが、あぁ!」
だが、ゴーレムは依然としてピンピンしている。
「さあ、ここから先を通るなら、俺たちから通行許可をもらうんだな、ゴーレム!」
レイヴァーとゴーレムの戦いが始まった。
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