第102話 さらなる敵

タタタタタッ!

シャキンッ!

クロウ達の背後から、何者かが刃物を構え突撃して来る。


「っ!?クロウガルト!」

「なんだこいつ!? 雨の音アメノオト四式シシキ叢雨ムラクモ!」


スッ!

ガギーンッ!

折りたたみ式剣の突き攻撃で受け止める。


「へえ、さすがハーデン様がお認めになってるやつだ。その首、俺がもらうぞ!」

「なんだお前は!」


ガギーンッ!

ガゴンッ!

相手の薙刀を弾き返し、蹴り飛ばす。


「クロウ!ノエルランス!」

「こっちは大丈夫だ!アーシェ!サリア!先にナウサに戻れ!」

「だけど、敵が何人いるかもわからないよ!」

「数が多かったら、その時は俺たちも逃げるさ!無理はしない、それにその資料は必ずギルドに届けて欲しい!」

「でも、クロくんーー。」


ガシッ。

アーシェがサリアの手を掴み、


「行くわよ、サリー。」

「え、でも、アーちゃん!」

「クロウの強さは私たちがよく知ってる、ノエルだってそんなに貧弱な戦士じゃないわ。早く届けて、応援に戻りましょう。」

「……うん、分かった。早く戻って来るから、必ず生きてよ!」


スタタタタッ。

アーシェとサリアはナウサに向かう。


「ええ、女の子達は俺の相手をしてくれないのか。まあいっか、リーダーを潰せってのが命令だからな!」

「狙いは俺ってことか、いいぜ、やってやるよ。」

「僕も一緒にやらせてもらうよ、君には死んでもらうわけに行かないからね。」

「おう、行こうぜノエル!」

「ああ、任せてくれ!」


ズザッ!

クロウとノエルが男に突き進む。


「いいね、楽しくなってきたぜ!」


ズザッ!

ガギーンッ!

クロウとノエルの拳が薙刀とぶつかり合う。


「いやあ、あの女の子達が情報を待ってるんだな!早く殺して、渡してもらわないとな!」

「お前も狙いはゴーレム資料かよ、その見た目、蠢く会だろ!俺らが会った中じゃ、5人目だな、お前も戦闘狂か?」

「戦闘狂?ああ、キルシャスのことか。俺をあいつとは一緒にしないでくれよ。そう思うだろ?ノエル。」

「っ!?」


ガギーンッ!

お互い距離を取る。


「お前、ノエルを知ってるのか?」

「まさか、あんたは……。」

「そうだよ、ノエル!お前も知らないわけないだろ、をよ!」


バサッ!

フードを脱ぐと、そこには銀色の髪色の男が。


「兄貴って、どういうことだノエル?」

「あれは、僕の兄、アイアコス家長男のカイアスだ。」

「おいおい、こんな兄弟再会なんて最悪すぎんだろ。」

「そうでもないさ!アイアコス家から逃げ出した者同士、もっと仲良くやっていこうぜ!」


スッ!

カイアスが再度突撃して来る。


「くそっ、なんであんたが! ジン四の型ヨンノカタ豪弾マグナム!」


ガゴーンッ!

渾身の殴りが、薙刀と火花を散らす。


「それがお前の戦い方か!面白いな、武術を極めてたお前らしいな!」

「兄さんは、昔から習ってた薙刀みたいだね、なんでこんなことをする必要があるんだ!」

「お前も分かってるんだろ!もうすぐ、この世界は変わろうとしている!」

「どういう意味だ、兄さん達はゴーレムを使って何をするつもりなんだ!あんなものを作り出して、いったいどれだけの苦しみを生み出すつもりだ!」


バギーンッ!

ノエルの拳を弾き、薙刀で追い打ちをかける。


「ちっ!」

「知る必要はねえよ、ここで死ぬんだからな!」

「勝手に俺の仲間の死を決めてんじゃねえよ! 拳の響ケンノヒビキ三式サンシキ猛雷タケリイカヅチ!」


グルンッ!

バギーンッ!

回転蹴りがカイアスを襲う。


「へっ、最高に邪魔だな、クロウガルト!」

「お前、カイアスって言ったな。俺たちは今蠢く会の情報が欲しいところなんだよ、少し捕まってもらえねえかな!」


ガギーンッ!ガギーンッ!ガギーンッ!

拳と薙刀が目にも留まらぬ速さでぶつかり合う。


「悪いが、お前を殺すのは2番目の予定なんだ!まずはあのノエルを消さねえとな!」

「仲間外れにしないでくれよ、そんなことされたら妬いちゃうぜ? 拳の響ケンノヒビキ六式ロクシキ疾風迅雷シップウジンライ!」


ゴスッ!

高速の裏拳が顔面に入る。


「うはっ!たくよ、最近噂なだけあって強いじゃねえか、レイヴァー!」


シュッ!

シャキンッ!

誰が予測したか、薙刀が急に伸びクロウの顔面を掠った。


「おっと、なんだその武器、生きてるみたいな動きしやがる。」

「へえ、さすが鋭いな、この国トップクラスの戦士は。」

「どういうことだ?」

「それを知りたければ、俺をもっと楽しませろ!」

「なら僕らを倒すことだね!兄さん! ゴウ一の型イチノカタ竿ロッド!」


スッ!

ダーンッ!

竿のようにしならせた足蹴りが薙刀とぶつかる。


「いいぜいいぜ!上がってくるな!」


スッ!

瞬時にクロウがカイアスの背後に回る。


「上がったまま、空までいっちまうなよ! 空の光ソラノヒカリ三式サンシキ日輪ニチリン!」


ザッ!

ガギーンッ!

2刀の上段斬りを、逆手の防具で受ける。


「そうか、お前はたくさんの武器を使うんだったな、厄介だがそれが楽しいぜ!」

「僕たちは楽しくないよ、全くね!」


ズザッ!

クロウとノエルは距離を取り、


「クロウガルト!いくぞ!」


ズザッ!

2人は距離を一気に詰め、


「ノエル!合わせるぞ!」

「ああ、弾けろ!アギト!」


ガゴーンッ!

2人の正拳突きがカイアスを前後から完璧なタイミングで襲う。


共鳴術技リンクアーツの発動だ。


「げほっ。」


スッ。

ガクッ。

カイアスは片膝をつき、腹を抑える。


「兄さん、これ以上余計な傷を与えたくない、降伏してくれ。」

「はっ、もう勝った気でいるのか、甘いなお前は!」


シュイーンッ!

カイアスの体から緑色のオーラが生まれ、その体を覆う。


ピッ。

ピッ。

体に生まれた傷が、静かに塞がっていく。


「な、なんだよ、それ。」

「兄さん、何を!」

「これが、俺たちの力だ!」


3人の戦いはまだ続くようだ。

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