第92話 再会、希望
まずは、ノエルと冒険者サイド。
クロウ達のおかげで、50体を切ってはいたがやはりまだ数が多い。
数名負傷したこともあり、押されてはいる。
「くそっ、モンスターもまだかなり残ってる。リーダーは怪我をしてるし、どうすれば。」
ズザッ!
ノエルが冒険者の前に立ち話し始める。
「ここにいる冒険者!落ち着いて行動するんだ、敵は約50体、こちらは10人。先陣は僕が務める、他9人は3人1組で対応するんだ!」
「な、なんだお前は、いきなり指示をしてきてーー。」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ!……いや、これも使いようか。ふぅ、僕はノエルランス・アイアコス!王国から派遣されてきた騎士団の人間だ!さあ、キルキスを守る意思のある奴は僕に従え!」
ズザッ!
ノエルがモンスターに突撃する。
「グァァ!!」
「
ガゴーンッ!
1体のサーベルウルフを拳の2段攻撃で打ち抜く。
「ヒシャァァ!!」
ドタッ、ドタッ。
さらにグリーンドラコが攻めてくる。
「ふぅ、
シュンッ!
ガゴーンッ!
足を鎌のように振り抜き、ダメージを与える。
ザワザワザワッ。
ノエルの戦いを見て、他の冒険者は鼓舞されたようだ。
「ちっ、あんな男が騎士団か?アイアコス、確かに王国にいる名前ではあるけど……。」
「まずは信じるしかないだろ、俺たちもいくぞ!」
「おう!」
ガギーンッ!
ザシュンッ!
他の冒険者達も着実にモンスターを倒していく。
「さすが、キルキスの冒険者はかなり強いな、
ブンッ!
ジャギンッ!
拳から斬撃を放ち、グリーンドラコを倒す。
ズザッ!
ノエルの勢いを削ぐべく、最後の1人の魔族が攻めてくる。
「くそが、人族がいい気になるな!」
「来たな、魔族!こんなことを……器探しなんてしてる下衆なやつら!」
「お前がこの冒険者の頭か、最初に消すしかねえな!」
「頭と思ってもらえるのは嬉しいよ、けど、見た目以上に意外と僕強いよ?
ドゴーンッ!
全力の右の拳が、魔族に直撃。
ズザーッ!
なんとか倒れずに踏みとどまるが、胸に拳の痕が残っている。
「ぐはっ、なんだこいつ、動きが読めない。」
今の攻撃、魔族の目にはスピードに特化した一撃が来るように見えていた。
しかし、実際に来たのはパワー重視の一撃。
「それはそうだろうね、僕のは自己流だから。ほら、早く本気出してくれて構わないよ。」
「舐めるなよ!
ボァァ!!
シュッ!シュッ!シュッ!
大きな炎を打ち上げ、空からノエルを攻める。
「そんな大振りの技じゃ、僕は捉えられないよ!」
シュッ!シュッ!
ドゴーンッ!ドゴーンッ!
炎攻撃を華麗に避け、ノエルは魔族に近づく。
「くっ、早いな、だが!」
ピカーンッ!
ドゴーンッ!
踏み込んできたノエルの足元が黄色く光り、雷が降り注ぐ。
「はっ、俺を舐めたことが仇になったな!さあて、次はどいつをーー。」
「何が仇になったって?」
「っ!?」
魔族の背後に、ノエルは静かに立つ。
「嘘だろ、完全に虚をついたはず!」
「それは僕が撒いておいたエサだよ、釣られてくれてごちそうさま!
ドスンッ。
ガゴーンッ!
蹴り上げからの、振り下ろしで魔族は地面に叩きつけられる。
「ぐはっ、なんで、こんな奴もいるんだよ。」
「世界は広いんだよ、その目で確かめられて良かったね。」
「俺を殺すのか、お前は。」
ギリッ。
ノエルは鋭い眼光で睨みつける。
「……まあ、個人的には苦しめてから殺してやりたいよ。けど、僕が信じてみたいリーダーは、不殺の掟っていうものを守っててね、君は眠らせるだけにしておくよ。」
「はっ!殺さないだと!そんなこと、出来ると思うのか!力で相手を分からせることでしか、従わせる事はできない!」
「まあ、君の意見も正しいとは思うよ、けど、君が不可能と感じてることを、クロウガルトは成し遂げようとしてる。僕も、少し夢を見ていいだろ?」
ゴスッ。
首へのチョップで、魔族は気絶する。
「ふぅ、こっちもスパートってところか。彼らに疑われないように、最善は尽くそう。」
ズザッ!
ドゴーンッ!ガスッ!
着実にノエルはモンスターを減らしていく。
「あのガキが大半を蹴散らしてくれてる、一気に終わらせるぞ!」
「おおっ!」
ドダダダダッ!!
3人1組で冒険者もモンスターを倒していく。
「キシャァァ!」
「これで最後!
ブンッ!
ガゴーンッ!
竿のようにしならせた足技が、最後のサーベルウルフを倒し100体のモンスターを殲滅する。
「ふぅ、なんとかなったか。」
「なあ、お前!」
「僕ですか?」
「ああ、お前すごいな!アイアコス家って事は、かなりのエリートだろ!そいつがただのボンボンじゃなくてこんなに強いなんて思わなかったぜ!」
「……まあ、僕は特殊ですが。それより、怪我人の治療を。1人も欠けることは、彼が許さないので。」
スタッ。
ササッ。
ノエルを含めた冒険者が怪我人を治療していく。
「さて、あとはアーマーゴーレムか。頼んだよ、レイヴァー。」
ノエルは轟音が響く方角を向いて呟いた。
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