第91話 魔族の侵略
ガゴーンッ!ガゴーンッ!
クロウは着実にモンスターを倒していく。
「ちっ、なんだあの戦士は!」
「あの見た目、装備、間違いない!ギル将軍が苦戦したレイヴァーの奴だ!」
「は?あいつはここから10kmほど離れたギルドの戦士だろ、どうやってここまでこんな早くーー。」
「答え合わせするか?魔族!
ガギーンッ!ドゴーンッ!
体の調子が良いクロウの上段からの下段攻撃が、魔族を吹き飛ばす。
リヒターに整体治療してもらった体のおかげで、動きも軽そうに見える。
「たかが1人だ!気圧される必要はない!」
「確かに今の俺は1人だけど、猪が牙を磨ききった番犬に勝てるか!」
ガゴーンッ!
さらに勢いに乗ってモンスターと魔族を押していく。
「ならば、全てのモンスターをこいつにぶつければ!」
「だが、そんなことしたら俺たちが欲しい器が手に入らなくなるぞ!」
「そんなこと言ってる場合か!全滅した方が意味がない、いいから早く集めろ!」
ズザーッ!
モンスターが地面を揺らしながらクロウの方へ集まってくる。
「おい!少年!モンスターが君を狙っているぞ!退くんだ!」
「俺のところに集まる……そりゃ、ありがたいね!」
「はっ?君、何を言ってーー。」
「来たぜ、特急の第2陣!」
スサッ。
スサッ。
2つの足音が静かに迫り、クロウの近くで別れる。
そして、
「弾け飛べ!
「壊せ!
バゴーンッ!
ドゴッ!ドゴッ!
闇の衝撃波と、地面から突き出した根っこがクロウに向かう複数のモンスターを巻き込む。
「なんだ次は!」
「あなた達ね、この騒動を起こしてるのは!」
「あの角、あいつ魔族だぞ!なぜ我々に歯向かう!」
「簡単よ、あなた達のやり方が気に入らないからよ! 縛り上げろ!
バギーンッ!
ガシッ!
地面や周りの岩から石で出来た鎖が伸び、魔族2体を捕まえる。
「ナイス!アーシェ!」
「クロウ、あとで反省会よ!こんなに走った後じゃ、魔力を練るのはしんどいのよ!少しは気を使いなさい!」
「そうだそうだ!サリアだって、喉がカラカラだよ!」
「仕方ないだろ、少しでも早く着きたかったんだから!」
「こいつら仲が悪いのか?なら今のうちにーー。」
ガゴーンッ!
もう1人の魔族が、クロウの足蹴りで吹き飛ばされる。
「悪いな、魔族達。俺たちはこれがノーマルなんだ、安心できちまうくらいにな。」
「私は望んでこうなってるわけじゃないのよ!はぁ、消費したカロリーはクロウの出費で補ってもらうから。」
「賛成!サリアも疲れてるし、今回はクロくんが悪いと思います!」
「なんでだ!?人助けしただけなのに……。」
わちゃわちゃしながらも、レイヴァーの3人は圧倒していく。
「くそっ、おい!あいつを出せ!」
「まさか、アーマーゴーレムのことか?だが、あれは完成形ではないーー。」
「そんなことを言っている場合か!こいつらは予想以上に強い、あれがなくては敵わない!」
「ああ、分かったよ、責任は取らんからな!」
シュンッ!
ピキーンッ!
空高く投げられた石から、赤い光が辺りを包みその中から1体の化け物が。
ドスンッ!ドスンッ!
地面を凹ませ、両手に斧とハンマーを持っている。
「はぁ、出てきやがった。」
「予想通りじゃない、すでに戦った経験があるゴーレムよ、やるしかないわ!」
「周りの人族のみんなも守らないと、モンスターも倒しきらないとキルキスが危ないよ!」
「いいや、それはあいつに任せればいい!」
「あいつ?」
ガゴーンッ!
ドスンッ!
少し離れたところから、モンスターを弾き飛ばす豪風が。
「何あれ?」
「この感じ、彼が来たのね。」
「ああ、第3陣の到着だ!」
ズザッ!
1人の男が、クロウ達の前に現れる。
「よお、久しぶりだな、ノエル!」
「やはりレイヴァーか、この激しい戦い方は君らくらいしかいないと思っていたよ。」
「良かった、ノエルランスくんも無事そうだね。」
「まあ、いろいろ情報を集めてきたからあとで君たちにも報告するよ。それよりまずは……。」
「ああ、アーマーゴーレムは俺たちでやる!他のモンスターと戦士達の援護は任せていいか?」
ニコッ。
クロウは軽く微笑み、ノエルを見つめる。
「はぁ、分かったよ。こっちは僕がなんとかするから、そっちは任せていいんだね?」
「当たり前よ、私たちは同じ失敗を繰り返さない、アーマーゴーレムも魔族も捕えるわよ!」
「OK!アーちゃん、クロくん、アイギオの再チャレンジだね!」
「ああ、俺たちの力見せてやろうぜ、人族の町を侵略して来たこと、その身にしっかりと後悔させてやる!」
ドスンッ!ドスンッ!
「がぉぉ!!」
アーマーゴーレムの雄叫びが、辺りに響き渡る。
心なしか、アイギオで戦ったアーマーゴーレムよりもひと回り大きく見える。
「リヒターのおかげで、体の調子は良い。今なら、いつも以上に力を発揮できそうだ。」
「ええ、帰ったらまた整体治療をしてもらおうかしらね。」
「サリアもしてもらいたいけど、あのバギッ!って音怖いんだよね……。」
「君たち、もっと集中したらどうだい?」
「気にしないでくれ、ノエル。これが俺たちレイヴァーなんだ、しっかり仕事はこなしてくるさ!」
ズザッ!
クロウ、アーシェ、サリアの3人がアーマーゴーレムに突撃する。
「まぁ、余計な心配か。僕も自分の役割を果たすとするか。」
ノエルもモンスターに突撃する。
4人の戦士が、さらに町を守るために力を発揮していった。
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