第82話 再調査
そして次の日、レイヴァーの3人はギルドに集まっていた。
もう一度ブリーフィングルームで、これからの行動を整理していた。
「まずは、皆さんにはゴーレムがいったいどんな生き物でどう生まれてるのか、情報を少しでも集めて来てもらいます。それが、アイギオにもう一度向かって頂く理由です。」
「分かった、あとはあの魔族が残した痕跡とかだな。あいつらも、蠢く会なのか別物なのかも知りたいところだ。」
「ええ、いつ戦闘になってもいいように準備はしときましょう。」
「仲間が様子見に来てたら、大人しく連行する。これくらいかな、サリア達がやれることは?」
「十分すぎます。危険は承知ですが、必ず無事に帰ってきてください。ご武運を。」
スタッ、スタッ、スタッ。
レイヴァーはギルドを後にして、アイギアへ歩き始めた。
「さあて、あたしも修行しよ!」
スッ。
リィンは槍を構え外に出た。
レイヴァーに正式加入するのも、そう遠くないのかもしれない。
道中、レイヴァーは昨日の違和感について話し合っていた。
「なあ、サリア。ゴーレムと戦う時何か違和感を感じなかったか?俺はあいつからいろんな血の匂いを感じたし、アーシェも複数の魔力を感じてたんだけどさ。」
「それだったら、周りの植物達がとても怖がっているみたいだった。モンスターの時は静観してるって感じなんだけど、ゴーレムの時は心底怯えてた……。」
「てことは、普段のモンスターとは違うってことよね。やっぱり、人工的に作られたモンスターの可能性が高いわね。」
「そんな技術、蠢く会はどこで手に入れるんだ?少なからず、俺が生まれてから今までそんな話は聞いたことなかった、急すぎる気もするな。」
レイヴァーの3人は話し合いながら、アイギオに辿り着く。
「まずは、情報収集よ。ゴーレムの情報が少な過ぎるから、なんでもいいから見つけたものを共有しましょう。」
「分かった、何か見つけたら言うぜ。」
「OK!」
スタッ、スタッ、スタッ。
3人はバラバラに情報を集めていく。
クロウはアーマーゴーレムと戦った地面を確かめ、何か痕跡はないか確認する。
サリアは、町全体に何か反応がないか植物を伝って確認する。
アーシェは、遠隔で撃ち抜かれた魔族達のいた場所へ向かった。
そこで、
「っ!?なんでないの!?」
「どうした!アーシェ!」
スタッ、スタッ。
離れていたクロウとサリアが集まってくる。
「魔族の体が、撃ち抜かれた死体が1体もないの!ここにあった魔力の塵は感じるんだけど。」
「魔族の仲間が回収したか、モンスターに食べられたか。」
「少なくともモンスターはなさそうだぜ、足跡は特にないし近くに潜んでる気配もない。鳥モンスターの仕業だとしても、痕跡がないのはおかしい。」
「けど、本当に魔族かしら?わざわざ狙撃した同族を回収するようにはあまり思えないわ。」
3人は考え込む。
「それか、蠢く会の奴らが回収したとか?」
「確かに、あの魔族達が蠢く会のメンバーでなければあり得るわね。それに、蠢く会は白き世界の成就って言ってたけど、あの魔族は
「アーちゃんの予想が正しかったら、かなり厄介だよね。1体いるだけで厄介なゴーレムが、2つの勢力に操られる、本格的な戦争が起きたらこの世界が滅びかねないよ。」
「そうだな、まあ、もっと情報を集めてみないとなんともーー。」
スッ!
クロウは勢いよく振り返り、拳を構える。
「誰だ、そこにいるのは!」
クロウの鋭い声が、目の前の岩に突き刺さる。
カツッ、カツッ。
そこからは、黒い服装の女性が静かに出てくる。
「さすが、オールドタイプの生き残りね。気配も魔力も全て消してたのにあたしの場所を掴むなんて。」
「悪いな、生き物ってのは臭いってのは消せないんだ。お前に気付けないほど俺の鼻は廃れてねえよ。」
「あなた、レッドパンサーが現れた時に一緒にいた!」
「覚えてくれてたのね、魔王の娘さん!いや、元魔王だったわね。」
チャキンッ。
槍を構え、女は威圧してくる。
そう、彼女はレッドパンサーが暴れた時にアーシェが戦ったライラであった。
「蠢く会がいるってことは、やっぱり魔族を調べに来たか。」
「ご名答、まあ、もう回収したからあたしは帰るところだけど。」
「そう簡単に帰れると思わないことね、今の状況、あなたに不利なのはよくわかるでしょ。」
「……まあ、そうね。今のままならね!」
シュッ!
ピカーンッ!
小さな石が光り、そこからメキメキと何かが姿を現す。
「ちっ、余計な戦闘はしたくねえのによ。」
ドスンッ!
目の前に、1度戦ったゴーレムが現れる。
「けど、アーマーゴーレムではないね、サリア達がこの前と同じくやれれば倒せる。」
「アーマーゴーレム?あなた達、新種のゴーレムについて知ってるみたいね。」
「だったらなんだ。」
「計画変更、あなた達も連行するわ!」
「やれるもんならやってみろ!」
チャキンッ!
ガギーンッ!
クロウは2刀を構え、ライラに突撃する。
「あら、あなたがあたしと戦ってくれるの?嬉しいわね!」
「エスコートしてやろうか?俺たちにどうやって捕まればいいか!」
クロウとライラは激しい攻防を繰り広げた。
「アーちゃん!」
「ええ、あっちはクロウに任せましょう。私たちの相手は。」
「ぐぉぉ!!」
ゴーレムの雄叫びが、辺り一面に響き渡る。
「こっちだよね!いくよ、アーちゃん!」
「ええ!私たちの力を見せるわよ!サリー!」
ズザッ!
2人もゴーレム向け走り出す。
レイヴァーの戦いが始まった。
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