第83話 再会、最後の鎖

ガギーンッ!ガギーンッ!

ライラの槍とクロウの二刀がぶつかり合う。


一撃一撃が凄まじい威力で、響き渡る金属音と巻き起こる風が辺りの石や砂を吹き飛ばす。


「さすが、レイヴァーのリーダーね!あのアーシェってやつもかなり厄介だけど、あんたの方が危険そうね!」

「そうか、高評価をもらえて嬉しいよ! 空の光ソラノヒカリ四式シシキ月光ゲッコウ!」


ガギーンッ!

ズザーッ!

2刀のジャンプ斬りで、ライラを後ずらせる。


「体に響き渡る重さね、その力どうやって身につけたのかしら?」

「どう思う?この世界を生きてたらこれくらい身につくんじゃねえか。」

「ふざけたことを、オールドタイプだからに決まってるでしょ!この世界の危険因子!」

「そうかよ!俺には、お前達の方がこの世界にとって危険な気がするけどな! 雨の音アメノオト四式シシキ叢雨ムラクモ!」


シュッ!

ギンッ!ギンッ!

折りたたみ式剣の突き刺しを、槍で上手くいなす。


「はっ!私たちがこの世界を平和に導いてやろうとしてるんだ!邪魔をするお前らは等しく危険因子なのさ!」

「モンスターを使ってゴーレムを作り出すことが、平和に向かう一歩だとでも言うのか!モンスターだって、この世界に生きる生命なんだぞ!」

「そんな甘いことを言っているから、この世界は衰退していくのだ!白き世界成就を理解できない可哀想なお前たちは、私たちの贄になりなさい!」


ガゴーンッ!

ズザーッ!

クロウを足蹴りで後ずらせる。


「贄だと?教えろ、ゴーレムはどうやって生まれる!何があいつには取り込まれてるんだ!」

「そんなことかい?お前なら分かっているだろ、


ドクンッ!

クロウの心臓が大きく響き渡る。


「不要な命……まさか、お前ら!」

「そうさ!ゴーレムの媒体は、この世界の囚人達さ!そして、モンスターの素材と配合することで新たな生命が誕生する!」

「……本気か、お前ら。そんなこと、許されると思ってるのか!!」

「許すも何も、私たちが正しいのさ!」


ガギーンッ!

再度、折りたたみ式剣と槍が鍔迫り合う。


「あいつらはこの世界を穢す、邪悪な存在!だったら、世界を浄化させるために命を使えることがどれだけ幸福か!」

「囚人達がそれを望むと思ってるのか!罪を償って、またアトランティスで生きていきたい奴らだっているはずだ!」

「そんな甘い幻想は捨てな!あいつらは、一度罪を犯したらまた繰り返す!そう簡単に変われないのさ、人族も、魔族も、エルフも、巨人族も!」

「なんで決めつけるんだ!罪を犯したやつにだって、希望は必要だ!


ガゴーンッ!

2人は再度距離を取る。


「それが甘いのさ!お前は知らない、罪を犯した者の心を、穢れ切った心の在り方を!」

「だからって、お前達がその命を自由に使っていいわけじゃないだろ!みんな、生きてるんだぞ!」

「ゴーレムだって生きているわ、新しい姿となって世界を変えると言う責務を全うするためにね!邪魔をするあんた達は、私自ら排除してあげるわ!」


スッ!

今までのどのスピードよりも早く、スナイパーの弾丸のようにクロウの目の前に迫る。


「そうか、なら、俺も抗ってやるよ。お前達の計画を、俺がぶち壊す!」


シュイーンッ!

クロウの周りに力が溜まり、風が静かに巻き上がる。


「っ!?まったく、厄介な存在だよ、あんたは!」

快楽の鎖プレジャーチェーン解除リリース。」


パリーンッ!

シュッ!

クロウは最後の力を解放し、技術力を上げる力を解放した。


体をしなやかに曲げ、ライラの槍を1cmの距離で避ける。


「ちっ、クロウガルト!」

「はぁぁ!! 拳の響ケンノヒビキ三式サンシキ猛雷タケリイカヅチ!」


グルンッ!

バゴーンッ!

体を曲げて避けた勢いで、回し蹴りを頭に放つ。


「くっ、力が増してる。これがオールドタイプーー。」

「油断してたら、命が潰えるぞ! 拳の響ケンノヒビキ五式ゴシキ雷撃ライゲキ!」


ドゴーンッ!

バンッ!

両手の掌底突きが、ライラを吹き飛ばし岩に叩きつける。


「えほっ、えほっ。本当に厄介だね、あんた。」

「俺はお前を殺さない、けど、死ぬほど辛いことを経験してもらうぜ。命を弄ぶゲスども!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

拳と槍が激しくぶつかり合う。


一撃一撃がさらに威力を増し、岩ですら砕いていく。


「はぁ、はぁ、このままじゃ危険だね。」

「さあ、どうする。俺はお前を許すつもりはねえ、いくらでもやり合ってやるぜ!」

「流石に、今回は部が悪すぎるね。ここらでお暇させてもらうよ。」


スッ!

ボフッ!

ライラは地面に濃い紫色の煙を発生させ、視界から消える。


「逃すか! 獣の声ケモノノコエ六式ロクシキ冥犬の裂破ケルベロス!」


シュッ!


「またね、クロウガルト。あの子にもよろしく。」


カキーンッ!

大剣を槍投げの如く投げつけるが、そこにライラはもういなかった。


「ちっ、捕えられなかったか。蠢く会、お前達を俺は絶対許さねえ。待ってろよ、必ず捕まえてやる。」


バゴーンッ!

遠くから、ゴーレムとアーシェ、サリアが戦っている音が響く。



「アーシェ!サリア!」


ズザッ!

クロウは2人の応援に向かった。

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