第78話 魔族とその力
始めにクロウとノエルの戦い。
「ぐぉぉ!!」
ブンッ!ブンッ!
斧とハンマーを振り回しながら、アーマーゴーレムは突き進んでくる。
その風圧は地面の草を強く靡かせ、瓦礫を吹き飛ばす勢い。
「硬いのは確定だな、ノエル!何か作戦あるか!」
「いきなりかい!?まあ、外側が硬いとしても内側が脆い可能性はある。僕と君の戦い方なら勝機があるんじゃないかい?」
「OK、それじゃあまずは俺から叩き込んでやるよ!」
ズザッ!
地面を強く蹴り、アーマーゴーレムの右足に迫る。
ブワッ!
鉄球のような筋肉で覆われた右足が、クロウの顔面に向かってくる。
「危ねえ!」
ズザーッ!
スライディングして足蹴りを避け、立ち上がると同時に両手をアーマーゴーレムの左足に照準する。
「
ガゴーンッ!
両手の掌底突きが、左足を直撃し軸をぶらす。
ドスンッ!
左足を折り、片膝ついた体勢になる。
辺りに散らばせる砂埃が、その体の重さを現している。
「うがぁ!?」
「さすが、レイヴァーの戦闘担当は強いね!
ブンッ!
ドゴーンッ!
ノエルの竿のようにしならせた足蹴りが、顔面をとらえる。
しかし、
「がぁ?」
「嘘だろ、全く効いてない!?」
「避けろ!ノエル!」
ブンッ!
風を切り、岩のような大きな右手に持つハンマーがノエルに迫る。
「くそっーー。」
「
シューッ!
バギーンッ!
大剣を槍投げのように突き刺し、ハンマーのターゲットをずらす。
「いけるか!ノエル!」
「分かってるさ!
グルンッ!
ガゴーンッ!
空中で前回り、その勢いのままかかと落としを脳天に叩き込む。
「がぅ!」
ドンッ!
流石に耐えきれなかったアーマーゴーレムは、地面に叩き伏せられる。
「よしっ、一気に行くよ!」
「おう!」
ズザッ!
2人は頭を挟み込む形で位置取りをし、
「ノエル!合わせるぞ!」
「ああ、弾けろ!
ガゴーンッ!
2人のタイミングが完璧に合わさった正拳突きが、頭にクリーンヒット。
「がぉ!!」
「ちっ、効いてはいそうだけど。」
「そうだね、こいつはかなりタフだ。」
ブンッ!
ガギーンッ!
伏せた状態から、左手の斧を地面這わせ振り切る。
クロウは大剣でなんとか受け止める。
「うぐっ、重すぎんだろ、レイの武器じゃなかったら粉々になってるってのーー。」
「がぁぁ!」
「うおっ!?」
ヒュイーンッ!!
ザザーッ!
さらに力を増し、クロウを吹き飛ばす。
「えほっ、えほっ。なんだ、急に力が増幅した?」
「大丈夫か!クロウガルト!」
「ああ、けど気をつけろノエル!こいつは、何かおかしい!」
「がぉぉ!!」
バゴーンッ!バゴーンッ!
斧とハンマーをノエル目掛け振り回す。
スピードはそこまでないことが幸い、ノエルは素早い動きでかわしていく。
「もう何発か頭に入れられれば、倒せるとは思うけどーー。」
「ノエル!後ろ!」
「っ!?」
斧とハンマーに集中しすぎてしまい、足蹴りが迫ってることに気づくのが少し遅れた。
「ちっ!
ガギーンッ!
ノエルの右足蹴りと、アーマーゴーレムの左足蹴りがぶつかり合う。
「確かに重いけど、捌けないほどじゃーー。」
「がぁぁ!!」
シュイーンッ!
再度力が増幅されるのを感じ、ノエルが少しずつ押されていく。
「な、なんだ!?力が徐々に増していく、このままじゃ押し切られーー。」
「あと少し抑えとけ!
グルンッ!
ジャギーンッ!
折りたたみ式剣を構え、回転斬りでふくらはぎを切り裂く。
「うぎゃあ!」
ドスンッ!
左足の力が抜け、頭が下に降りてくる。
「次はこっちだ!
「がぁぁ!」
ガギーンッ!
2刀の振り下ろしが、斧で防がれる。
その隙を、ノエルは見逃さなかった。
「こっちは任せてくれ! 光刺せ!
シュインッ!
ガギーンッ!ガギーンッ!
顔面目掛け、光魔法で作られた剣が2本突き進む。
だが、トドメを差すまでには至らない。
「ぐぉぁ!!」
グルンッ!
体を1回転させ、2人を弾く。
「くそっ、タフってレベルか?」
「けど、着実に動きは遅くなってる。もう少しやれれば。」
「ノエル、お前も感じたよな?あの攻撃の違和感を。」
「ああ、100%の力で打ってきてるはずなのに、ぶつかった瞬間さらに増幅してるみたいだった。まるで、何かに無理やり増幅させられてるかのように。」
クロウとノエルはアーマーゴーレムに苦戦する。
ところ変わり、アーシェとサリア。
「サリー、言わなくても分かるわよね!」
「うん、この人たちは生かして捕らえる!」
「そう、話も聞きたいしちょうどいいわ!」
ズザッ!
2人は4人の魔族向け突き進む。
「たかが女2人だ!さっさと消してしまえ!」
ヒューンッ!!ヒューンッ!!
複数の火炎球が、2人を襲う。
「その程度じゃ、私たちは止められないわよ! 止まれ!
スサッ!スサッ!
ドーンッ!
火の玉を問題なく避け、雷を直線上に魔族向け放つ。
「ちっ!」
ガギーンッ!
目の前に魔法の盾が生まれ、雷を弾く。
「はっ!お前もその程度じゃ俺たちを倒せーー。」
「アーちゃんだけ見てたら、危ないよ?
シャキーンッ!
サリアのすり抜け様に斬りつけた一撃が、1体の魔族を捉える。
「ぐはっ、エルフと魔族がこうも連携取れるとは。」
バタンッ。
1体魔族をダウン。
「ちっ、アーマーゴーレムが来るまで持ち堪えろ!
「おう!」
「ブースター?何か怪しいわね、サリー!こっちも早く終わらせるわよ!」
「任せて!」
2人はさらにギアを上げ戦闘を加速させていった。
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