第79話 新たな計画

バゴーンッ!バゴーンッ!

辺りで魔法の爆発が巻き起こる。


「燃え上がれ!白炎花フローラム!」


ピカーンッ!

ドーンッ!

地面が白く光、そこから真っ赤な炎が魔族を覆う。


「くっ、この程度でーー。」

「私も、近接戦闘できるようになってるのよ。魔法だけではないわ!」


ズガッ!ゴスッ!

拳で顔面を捉え、さらに足払いをして地面に叩き伏せる。


アーシェはクロウの動きを何度も見たことにより、少しずつ技を吸収していた。


「こいつ、近接もできる魔法使いか!」

「確か、クロウはこうしてたわよね。」


ゴスンッ!

見よう見まねの正拳突きが、もう1体の魔族の腹をとらえる。


体の作りがクロウとは全く違うが、彼女の能力の高さが彼の技を盗んだようだ。


「くそっ、舐めやがってーー。」

「そこ、危ないわよ。 落ちろ!六水晶クリスタル!」


ピキキッ!

ドゴーンッ!

足払いされ倒れていた魔族が動き出す前に、氷の塊が押さえつける。


「クロウの見よう見まねでは、やはり使いこなせないわね。ていうか、こんな戦い方を常にしてるなんて彼の体はどうなってるのかしら。」

「姉ちゃん、よそ見厳禁だぜ!」


ズザッ!

アーシェの背後から、1体の魔族が斧を持ち突き進んでくる。


「残念ね、私の背中は!」

「サリアの領域だよ! 壊せ!根の侵攻ルーツバスター!」


バゴーンッ!

地面から根が勢い良く飛び出し、魔族を吹き飛ばす。


「ぐはっ、こいつらの連携どうなってやがる。」

「さあ、もう終わりよ。大人しく私たちに捕まりなさい。」

「ちっ、こうなりゃやけだ!おい!魔力機ブースターをフルオープンにしろ!」

「分かった、何も出来ずに捕まるよりマシだ!」


ピカーンッ!

1人の魔族がつけていた腕輪が真っ赤に光り、そこから光のようなものが上がりアーマーゴーレムに吸い取られていく。



「なんだ、何が起きてーー。」

「ぐぉぁ!!」


スッ!

ドーンッ!

片足を高く上げ、地面に勢い良く降ろす。


すると、


「おいおい、マジかよ!」

「地面が揺れてる、地震か!?」

「ノエル!離れるぞ!」


スッ!

バゴーンッ!

2人がアーマーゴーレムの近くから飛び去った瞬間、地面がひび割れ足場が崩れていく。


「こいつ正気かよ、いくら力自慢だからって地面壊す奴いるか!?」

「目の前にいるからこうなってるんだよ、クロウガルト!一旦2人と合流しよう!」

「ああ!」


スッ!スッ!

2人は軽やかなステップで距離を取り、アーシェ達の方へ向かう。


「クロウ!ノエルランス!急ぎなさい! 上がれ!岩壁ウォール!」


ドーンッ!

地面から岩の壁を作り出し、弾け飛んでくる瓦礫を防ぐ。


「助かったぜ、アーシェ。」

「何が起きたの?地面が揺れたみたいだけど。」

「アーマーゴーレムの足踏みで地震が起きたのさ、信じ難いことにね。」

「そんなことが可能なの?1体のモンスターだよね!?」


ドスンッ!ドスンッ!

一歩一歩アーマーゴーレムが近づいて来る。



「はははっ!これがゴーレムの力!最高だ!」


魔族の男が高らかに笑う。



4人は感じていた。


アーマーゴーレムの危険さ。


そして、異次元の力である事を。




「さあて、ここからどうする。真っ向からやり合ったら、俺たちも無事じゃ済まねえぞ。」

「そうね、私たちの力を解放してもいいけど、危険なのに変わりはないわ。」

「けど、野放しにも出来ないよ。サリア達がどうにかしないとーー。」

「ぎぃぁぁ!!」


ピカーンッ!

突如、アーマーゴーレムの体が赤く光り始める。




次の瞬間、


バゴーンッ!


アーマーゴーレムの体が弾け飛んだ。


そこには、何も残らない。




「何が起きた!?弾け飛んだぞ!?」

「それに何も素材を落とさない、それどころかこの前のゴーレムと同じような白い砂も残ってないわ。」

「そこの魔族、何をした?」


ノエルが倒れる魔族に話を聞く。



「くそ、予想外だ。あいつは器として足りない存在だったということか。」

「何を言っている、器?お前達はゴーレムに何をしたと聞いてるんだ!」

「簡単なこと聞くなよ、俺たちは力を得たんだ!ゴーレムを作り出し、モンスターも配合する力をな!」

「そんな力、僕たちのデータにはない。いったい何が目的だ!」


ニヤリッ。

魔族は奇妙な笑みを浮かべる。



「俺たちの計画は始まった!WC計画ワールドコンクエストは始まってるんだよ!」

WC計画ワールドコンクエスト?なんだそれは!」

「ははっ!聞いて驚くなよ、そりゃあーー。」



ピキーンッ!

クロウとアーシェは何かを感じとる。


「ノエル!伏せろ!」

「っ!?」


スッ!

咄嗟に伏せたノエルの頭上を、何かが貫き、


「っ!?」


ズドンッ!

その何かは、魔族の頭を貫く。



「全員、物陰に隠れなさい!」


ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!

3発の急速接近する何かが、他の3体の魔族も貫く。


パタンッ。

全ての魔族は、貫かれたことにより息絶えていた。




「アーシェ!位置はわかるか!」

「大体の位置はわかるけど、明らかに遠すぎるわ。何人かで組まれた狙撃魔法よ。」

「くそっ!」


バンッ!

ノエルは地面を強く殴る。


「ノエルランス、何か聞けたの。」

「……少しはね、WC計画ワールドコンクエストを、魔族は始動したと言っていた。聞いたことあるかい?」

「全くないわね、てことは、余計な事を言おうとしたこいつらは、排除されたってところかしら。」

「重要な証人だったのに、くそっ。」


(魔族にも蠢く会の力が出回ってる、誰がそんな事を。)



「一度戻ろうぜ、今起きた事を整理したほうが良さそうだ。」

「そうだね、サリア達の知らないことがたくさんすぎる。」


スタッ、スタッ、スタッ。

4人はアイギオの町を後にする。






ここは、アイギオからかなり離れた丘の上。


「おい、あいつらは排除できたか?」

「ええ、抜かりなく。データは取れたし、問題はないわね。」

「そうだな、戻るぞ。」


スタッ、スタッ。

3人の魔族はゆっくりとその場を離れる。


彼らはいったい。


第15章 完




◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第15章まで読んで頂きありがとうございました。


リィンの覚悟を知り、さらに力を増す機会ができたレイヴァー。

ノエルランスと共に魔族に破壊された町に向かうと、そこにはアーマーゴーレムが。

そして、WC計画ワールドコンクエストとは何なのか。


更なる激戦が!?

4人の本領発揮!?

レイヴァー応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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