第51話 謎の手紙
3人が情報収集を始めて2日、大きな進展はないままであった。
その日の朝、ギルドにレイヴァー宛の手紙が来ていたことをリィンが知らせに来る
「皆さん!入りますね!」
キィーッ。
宿屋のドアが開かれると、そこにはレイヴァーの3人の姿が。
「どうした?そんなに急いで?」
「はぁ、はぁ、レイヴァーの皆さんに、朗報か悲報か知らない人から手紙が届けられてたんです。」
息を切らせながらリィンが話す。
「と、とりあえずお水飲んで!ほら!」
「あ、ありがとうございます、サリアさん。ンクッ、ンクッ、はあ。それで、これがその手紙なんですけど。」
「何が書いてあるの?」
アーシェが手紙を覗き込むと、
レイヴァーの皆さんへ。
最近のご活躍心から祝福致します。
皆様のおかげで多くの人が救われているでしょう。
そこで、あなた方には1つ行ってもらいたいところがございます。
ここから15分ほど離れた広場に、あるモンスターが現れる予定だ。そのモンスターをあなた方に倒してもらいたい。
報酬は討伐確認後、追ってお届けする。
不安かもしれないが、この手紙を信じてもらえることを切に願う。
N
と、書かれている。
丁寧な筆跡、言葉遣い、彼らには誰が出したものか見当もつかなかった。
そして、アーシェは読み終えある疑問を感じる。
「ねえ、なんでこの送り主はモンスターが現れることを知っているの?」
「確かにそうだな、現れたモンスターの討伐じゃなくて、これから現れる予定のモンスターの討伐だもんな。なんか変だ。」
「けど、ここから15分の近さだったらナウサに襲ってくる可能性も出てくるよね?無視するのも怖いよね。」
「そうね、どうする?クロウ?罠の可能性も捨てきれないけど。」
スッ。
クロウは腕を組み頭を悩ませる。
「まあ、行ってみようぜ。無駄足だったらそれで、安全って保証になるしな。」
「それもそうだね!サリア達で見に行こうか!それと、ごめんねクロくん……。」
「そうね、私もあなたに謝らないといけないわ。」
「え?」
アーシェとサリアは神妙な面持ちで立ち上がる。
「バカなあなたに、考えさせるようなこと聞いてしまって、反省しているわ。」
「下手に頭使ったら、知恵熱出ちゃうかもしれないもんね、サリアも気をつける。」
「そこまでバカじゃねえ!チンパンジーか俺は!」
「流石にチンパンジーよりは頭いいはず……ですよね?クロウさん。」
「疑問系にするな、リィン。ほら、早く行くぞ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
レイヴァーは手紙に記されていた場所に向かい始める。
「もしさ、サリア達にこの手紙を送ってきた人が本当のことを書いてたら、どこからその情報手に入れたと思う?」
「そうだな、かなりの情報屋か、もしかしたらーー。
」
「蠢く会メンバーの裏切りか、じゃないかしら?」
アーシェの言葉にサリアは慌てる。
「え、そんなことあるかな!?だって、サリア達蠢く会になんども邪魔されてるんだよ?」
「でも、大きいグループだからこそ、そういう小さな歪みに気づけないこともある。もしかしたら、この送り主は助けを求めてるのかもしれないわ。」
「まあ、俺たちの存在を知ってるやつなんだ、そのうち直接接触してくるかもなーー。」
バゴーンッ!
3人の会話に水を差すかの如く爆爆音が響く。
「おいおい、マジかよ!」
「ここから数百メートルもないところにいきなり魔力の反応も出たわ!やっぱり、呼び出されたのよ!」
「辺りの植物も怖がってる、相当のモンスターだよ!気をつけて行こう!」
タタタタタッ。
3人が走った先には、1体の巨大なモンスターが。
「シャァァ!!」
目の前のモンスターから威嚇の声が響き渡る。
「なんだあいつ!?また新種かよ!?」
「そうだね、あれは多分、元々はトレントだよ。ある一定の地域の植物や木を守る優しい存在、けれど、何か違う。」
「優しい……とは反対の殺意と獰猛さに溢れてるわ。」
トレント……1本の大木に手足が生えたようなモンスター。10m以上の高さを持ち、木の先端の方には大きな目と口がついており全身茶色の棘もついている。
だが、今回は特殊個体、両腕が槍のように尖っている。
「確かに、手紙の通りだったな。サリア、あいつの弱点は?」
「炎が弱点だよ、けど、改造されてるんだとしたら信用しすぎないほうがいいかも。」
「そうね、今回は3人での連携が試されるわ、クロウが先頭、私が後衛、サリーが適宜対応でいくわよ!」
「了解、レイヴァー!仕事開始だ!」
ズザッ!
トレント目掛け3人は突撃する。
「シャァァ!!」
ズンッ!ズンッ!
槍のような両手をしなやかに振り回す。
「
グルンッ!
ガギーンッ!
槍のような手を跳んだ避け、折りたたみ式剣の回転斬りを振るう。
しかし、その手を斬り落とすことはできない。
「しなやかさもだが、硬さも相当だぞ!」
「なら! 燃やせ!
ボァァ!!
バゴーンッ!バゴーンッ!
炎の玉が体ごと燃やしに迫る。
だが、痛がるそぶりすら見せない。
「予想通りね。弱点は炎じゃないみたいよ。」
「それに、全く怯んでない。クロくん、アーちゃん、気を付けて!」
レイヴァーとトレントの戦いが始まった。
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