第20話 進行してきた理由
「ピシャァ!!」
シュンッ!
強靭な大きい尻尾が串刺しにせんとクロウを襲う。
ガギーンッ!ガギーンッ!
何とか2刀で弾き返す。
一撃一撃が、クロウの体に響き渡る。
「ちっ!アーシア!こいつの弱点はわかるか!?」
「分からないわ、こんなやつ初めてよ! 貫け!
ビキキッ!
ガギーンッ!
地面から聳え立つ氷の柱が、サソリを襲う。
しかし、氷の柱が次の瞬間、砕かれていた。
「くっ、キラーアントと同じくらい硬いわ。」
「ならっ!」
ダダダダダッ!
クロウは低い姿勢で腹まで接近する。
「これならどうだ!
スッ!
ガゴーンッ!
両手で構えた掌底突きが、サソリの腹を抉る。
ドクンッ。
だが、少しサソリの中を響いただけで、特にダメージを負った気配はない。
「くそっ、なんて硬さーー。」
ガギーンッ!
ズザーッ!
サソリは、瞬時に尻尾で弾き飛ばそうとしてくる。
刀で弾こうとするが、力負けをしクロウは吹き飛ばされる。
「クロウ!」
「まだ大丈夫だ、げほっ、げほっ。」
「距離を取りなさい!私がやるわ! 跪け!
ドスンッ!
サソリに重力がさらにのしかかる。
「今ならいけるか!
ズンッ!
ガゴーンッ!
大剣を肩に乗せ、高く跳びジャンプ斬りをお見舞いする。
ピキッ。
少しヒビが入ったようだ。
「ピシャァ!!」
「くそが!」
ガギーンッ!
サソリの尻尾を使った横薙ぎ攻撃を、全身に力を込めて防ぐ。
クロウの体は悲鳴をあげている。
「うぐっ、アーシア!今だ!」
「ええ! 燃やせ!
ボァァ!!ボァァ!!
5発の炎の弾丸が、サソリの頭を捉える。
少しづつ体に傷ができていく。
「はぁ、はぁ、ここら辺の奴じゃねえのはよくわかる。体が1つじゃ足んねえよ。」
「あなた無理をしすぎよ!私が前線を交代するわ!」
「は?お前にそんなことができーー。」
「うるさい!あなたに死なれてはこっちが困るの!言うことを聞きなさい!」
「あ、ああ!」
ズザッ!
クロウは軽やかなステップで、アーシェの後方に退く。
「任せるぜ、アーシア!」
「ええ! 止まれ!
ビリリッ!
ビリリッ!
複数の紫色の雷が、一直線上にサソリを突き刺す。
ドスドスドスッ!
その雷をものともせず地面に穴を開けながら、突進してくる。
「訂正ね、キラーアントより数段強いわね、この! 上がれ!
ゴゴゴゴゴッ。
地面が壁の如く大きさと厚さで作り出される。
「キシャァァ!!」
バゴーンッ!
その強靭な尻尾で、土の壁を容易く貫く。
「くそ!せめて、あの尻尾だけでも落とせればーー。」
「ピシャァ!!」
ガゴーンッ!
地面に尻尾が突き刺さり、破片が弾丸のようにアーシェを襲う。
「頭も回る厄介なモンスターね。」
「アーシェ!避けろ!」
ブンッ!
大きな破片がアーシェに向かって飛んでくる。
「だめ、間に合わなーー。」
「
グルンッ!
ガゴーンッ!
飛んできた岩のような破片を2刀で砕き飛ばす。
「クロウ。」
「アーシェ、俺たちが1人ずつ戦うんじゃこいつには勝てねえ。」
「確かにそうだけど、なら、どうするつもり?」
「俺に考えがある、合わせてくれ!」
ダッ!
一瞬のアイコンタクトで、何をして欲しいかをアーシェに伝えた。
「は!?そんなことをいきなりやるの!?本当、あなたといると疲れるわ!」
「へっ、褒め言葉と受け取るぜ!」
「褒めてるわけないでしょ! 刈り取れ!
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
風の刃が複数の傷をつけていく。
「本当にできるの。……まあ、信じなきゃ始まらないわね!」
「俺は信じるぜ、いくぞ!アーシア!!」
「失敗しても責任取らないわよ!」
ズンッ!
クロウは高く跳び、大剣を構える。
その大きな隙を、サソリは見逃さない。
スンッ!
ガギーンッ!
弾丸のような尻尾攻撃を、なんとか大剣で弾き返す。
しかし、衝撃を完全には殺せず大剣を手から落としてしまう。
だが、これはクロウの作戦だった。
「今お前の尻尾は、俺の大剣で少しの時間動かせない。なら、背中がガラ空きだろ!」
「いくわよ!クロウ!」
「おう!いつでも来い!」
グッ!
クロウは右の拳を引き絞る。
すると、
ボォォォ!!!
右手に炎が纏われていく。
そう、クロウは魔法を使えないが、アーシェの魔法を纏わせることはできる。
そのまま、サソリの背中目掛け直滑降。
2人の攻撃が重なり、
「燃え尽きなさい!」
「
ボァァ!!
ガゴーンッ!
サソリの背中に、炎の拳がクリーンヒット。
ドスンッ!
「ピシャァ!!」
あまりの衝撃に、サソリは地面に伏せる。
「どうだ!これが俺たちの力だ!」
「全く、いきなり無茶な要求して!あとで反省会よ!」
「上手くいったんだからいいだろ!」
スタッ。
クロウとアーシェは2人の攻撃を重ねて、何とかサソリを止める。
この攻撃を、
2人がその場で生み出した、強敵に勝つための方法だ。
モンスターの襲撃は終わったようだ。
だが、不穏な空気は拭われない。
スタッ、スタッ、スタッ。
サソリの奥から数名の男が歩いてくる。
黒い服で覆われており、顔はよく見えない。
「おうおう、やってくれるな、邪魔者が!」
「あ?てめえらか、こいつを呼び寄せたのは……っ!?」
クロウの顔がひきつる。
恐怖というより、怒りが現れ始める。
「どうしたの?クロウ?」
「あの紋章……
新しい敵との対面である。
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