第19話 町に迫るモンスター

「グォォ!!」


ドダダダダッ!!

大きな叫び声と共に、アルタの町にモンスターが迫ってくる。


「おい!戦闘態勢!衛兵は防衛ラインを築け!冒険者に応援を!」

「了解!」


カチャンッ。

衛兵達は剣を抜く。


「キシャァァ!!」

「ガルルッ!」

叫び声の中に、ドスフロッグやサーベルウルフ、他にも複数のモンスターが混じっている。


「モンスターの詳細はわかるか!!」

「隊長!おそらく、この近くの森からサーベルウルフにドスフロッグ、それとアサルトビーがいます!」

「数は!」

「おおよそ、40体!」


アサルトビー……体長60cmほどある黄色い蜂で、毒の染み込んだ針を放つことで敵を弱らせ栄養を摂る。羽が8枚あり、時速40kmは出ると言われている。



「何て数だ、なんとしても町に入れるな!」

「おおっ!」


ガギーンッ!

衛兵達がモンスター達を食い止める。


「くっ、何だこいつら、通常個体より力が強い!」

「陣形を乱すな、個ではなくチームで押し返せ!」

「イィ!」


ブーンッ!

複数体のアサルトビーが、アルタの町に侵入する。


「くそっ!誰か、アサルトビーをーー。」

「任せな! 空の光ソラノヒカリ二式ニシキ! 満月マンゲツ!」


グルンッ!

ジャギンッ!ジャギンッ!

2刀の縦回転斬りで、2体のアサルトビーを倒す。


「クロウ!前に出過ぎないで! 燃やせ!火炎弾ファイアーショット!」


ボァァ!!

ジュッ!ジュッ!ジュッ!

3体のアサルトビーが、アーシェの炎に焼き消される。


タタタタタッ。

クロウとアーシェが町の入り口まで加勢に来る。


「君たちは、冒険者か!」

「ああ、こいつらはいったい!!」

「俺たちにも分からん。だが、こんなまとまっての襲撃は今までなかった、明らかに戦力が足りん。」

「そこは、私とクロウが引き受けるわ!あなた達は万一に備えて、町の人たちの避難を!」

「わ、分かった!」


ダダダダダッ!

衛兵達は町の中に走っていく。


「グルルルルッ!」

「ゲゴッ!」

モンスター達は目の前で威嚇してくる。


「さあてアーシア、これ終わったら何が食いたい?」

「そうね、この町の料理全種類2皿ずつがいいわ。」

「マジかよ、まあ、そんくらいは許してもらえるかもな!今回も期待してるぜ、アーシア!」

「任せなさい、町には1匹たりとも入れさせない!」


ダッ!

クロウは2刀を逆手に構え、地を蹴る。


「吹き飛べ! 空の光ソラノヒカリ三式サンシキ! 日輪ニチリン!」


ズザッ!

ジャギーンッ!

空高く跳び、ジャンプ斬りがサーベルウルフを斬り裂く。


「グゴッ!」

「ちぃ!」


ヒュンッ!

ガギーンッ!

ドスフロッグの槍のような舌が、風にのりクロウを襲う。


何とか防いだクロウに、アサルトビーが追い討ちをかける。


「させないわ! 刈り取れ!風刃カッター!」


ヒュンッ!

ズシャン!ズシャン!

風の刃がアサルトビーを真っ二つ。


「数だけいても、俺たちは倒せないぜ! 雨の音アメノオト初式ショシキ! 時雨シグレ!」


スッ!

ズシャン!

2刀を納め、折りたたみ式の剣で居合斬りを叩き込む。


着実に数を減らしていく2人。




しかし、数の暴力は凄まじいものであった。



ブーンッ!

1体のアサルトビーが2人の背中を抜けていく。


「しまった!アーシア!」

「行かせないわ!ファイアーシーー。」

「はぁぁ!!」


ジャギンッ!ジャギンッ!

アサルトビーが、ナイフのようなもので斬り倒される。




そこにいたのは、


「お前、リィン!?」

「お待たせしました!微力ではありますが、あたしも援護します!」

「リィン、あなた冒険者なの?受付嬢をしていたんじゃ?」

「この町は常に人手不足ですから、あたしも多少は戦える術を身につけています!溢れた敵は、あたしに任せてください!」



ジャギンッ!

ガゴーンッ!

リィンの加勢もあり、モンスター達を徐々に押し返していく。



獣の声ケモノノコエ初式ショシキ! 番犬の迅牙オルトロス!」


ガゴーンッ!

ズシャン!

大剣の2段斬りがドスフロッグを倒す。



「はぁ、はぁ、あと何体だ!?」

「私の目に見えるのは、20体弱ってところよ!」

「くそっ、流石に疲れるな。」


ツターッ。

疲れによる汗が、クロウとアーシェの頬を流れる。


20体以上のモンスターをこの数分で倒してきたのだ、流石に疲れが出ている。



「リィン、こいつら一般的な個体より強くねえか?」

「確かに、クロウさんの言うとおりかもしれません。何か異変が起きてるのかも。」

「異変って?私たちでどうにかできるもの?」

「分かりません、ですが、ここ数年暴力的になってなかったモンスターがいきなりこんな襲撃は、不思議でしかありません。」


ズシャン!ズシャン!

ボァァ!!ボァァ!!

さらにクロウ達は連携してモンスターを倒していく。


「あと少しです!お2人とも、ラストスパート!」

「OK!」

「分かったわ! 止まれ!ボルーー。」




ドスンッ!ドスンッ!

突如として、地響きが大きくなる。

地震でも起きたのかと錯覚するほどの揺れである。


「今度はなに!?」

「クロウさん!何か見えませんか!」

「ちょっと待ってろ!」


ガゴーンッ!

ドスフロッグを蹴り飛ばし、辺りを凝視する。


(なんだ、確かに揺れは感じた。けど、何も見当たらない……空にもいないし、地上にもいないってことは!!)


クロウの中に1つのイメージが出来上がる。


「気をつけろ!この揺れの正体は、地面からくるぞ!」

「地面!?そんなーー。」


ドゴゴゴゴッ!

ガゴーンッ!

地面を割り、大きなサソリが出てくる。


「ピシャァ!!」

「何だよ、こいつーー。」

「避けなさい!クロウ!」


シュンッ!

ガゴーンッ!

サソリの尖った太い尻尾が、クロウを襲う。


ズザーッ!

何とか背後に跳び、態勢を整える。



「どうやら、この事態のボスみたいね。」

「はあ、キラーアントといい、新しいやつ出てきすぎなんだよ!!」

「お2人とも!」

「リィンは下がってて!ここは私たちがやるわ!」


ドスンッ!ドスンッ!

地面に足を刺しつつ、並ではない迫力を持ちクロウ達に迫る。


「くそっ、やるしかねえか。」



この戦闘は、さらに激化していくのであった。

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