第2話 世界最悪の日(魔族)
ここは、魔族の町スパルタ。
町では、いろんな姿形をした魔族が生活をしている。
獅子や鳥、魚や鰐などさまざま。
スパルタの魔王ザインは、今のスパルタの制度について疑問を覚えていた。
今のスパルタは、完全なる実力主義。
力があるものは上にいき、どれだけ努力をしても報われないものは報われない。
果たして、それは正しいのか?
力があるものだけが上にいってしまっては、力がないものは誰が支えるのか?
生きる資格すらないのか?
この世界のあり方を考え、ザインは常日頃協議を重ねていた。
そのような世界を認めたくないという魔族も多数いた。
そのせいで、ここでも同じ事件が起きた。
血のホワイトデイである。
これも、スパルタで起きた一部始終。
「おらおらおら!ザインを出せ!」
「ここがどこか分かってるのか!魔王様の城だぞ!」
「そんなこと知ってるさ!だから、真正面から会いにきてるんだろうが!」
バゴーンッ!
「うわぁ!」
城の衛兵らしき魔族は、外から攻めてきた魔族に吹き飛ばされる。
「なぜだ、なぜこんなことをするーー。」
グサッ。
血を口から流し、槍でトドメを刺される。
「そんなの簡単だ、ザインの考えてることは生ぬるいんだよ。そんな国、俺たちは求めてない。」
パヒューンッ!
グサッ。
魔法だけでなく、多くの弓矢や剣を持った魔族が攻め入る。
「魔王様をお守りしろ!1人も入れるな!」
「ザインはこの先にいるぞ!ぶち抜け!!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
ドゴーンッ!ドゴーンッ!
魔族同士の戦いが勃発する。
その城の中で、2人の大人の魔族と1人の子供の魔族が話していた。
「あなた、この音は。」
「ああ、魔族達が攻め込んできてるんだろう。くそっ、誰がそそのかしたんだか。」
「お父様、お母様、何が起きているの?」
「アーシェ、これを持っててくれ。」
カチャッ。
少女は赤い石が嵌められたペンダントを受け取る。
「これは?」
「いいか、これを持ってここに隠れているんだ。」
「いい?誰かが来ても開けちゃダメ。もし開けられたら、怖くて隠れてたって言うのよ。」
「お父様とお母様は?」
少女は眉を下ろし、不安な瞳で見つめる。
「私たちは大丈夫、すぐに戻るから。」
「アーシェ、お前はこの国の、私たちの希望だ。その希望を、こんなところで費やすわけにいかん。」
スッ。
少女はクローゼットの中に入る。
「必ず戻るから、いい子で待っていなさい。」
「う、うん。」
バタンッ。
ダダダダダッ!
クローゼットを閉め、2人は廊下へ走る。
「あなた、私は入り口に向かいます。少しでも兵を助けないと。」
「任せるぞ、エウレア。私は、玉座の間に向かう、後で合流を。」
「お願いしますね、魔王ザイン様。」
ダダダダダッ!
周りの爆発音を聞きながら、魔王ザインは玉座の間を目指した。
「こんな大きな行動を起こせる奴は限られている、まさか、ハデスではないよな。」
「そんなにお急ぎでどちらへ?」
「なっ!?お、お前は。」
スタッ、スタッ、スタッ。
1人の魔族が目の前に現れる。
「なぜだ、なぜお前がこんなことをする!エレボス!」
「そうですね、私にも思うところがあるんですよ、ザイン様。」
「お前は争いが嫌いなはず!なぜ私に反抗するのだ!」
「それとこれとは意味が違うのです、そして、あなたはここで終わりです。」
シュンッ!
パキーンッ!
ザインの足元で四角い鉱石が光り輝く。
「なんだ!?」
「さあ、あなたの負けは確定しましたよ。」
「ふざけるでない!魔王をなめるな!」
バゴーンッ!
闇の巨大な槍の形をした魔法をザインが放つ。
スーッ。
パリンッ!
しかし、その魔法はエレボスにまで届かない。
「なんだ!?なぜ届かない!?」
「その石は、私たちにとっては禁忌。人族が作った、
「貴様、まさか人族とーー。」
ゴスッ!
目にも留まらぬ拳の一撃が、ザインの腹をさす。
「ぐほっ。」
「お眠りください、ザイン。あなたはもう、魔王ではありません。」
「エレボス、きさ、ま。」
バタンッ。
ザインは気を失い、地面に落ちるかのように倒れる。
「ふふふっ、はははっ!さあ、準備はできましたよ、新魔王ハデス様!この世界に、変革を起こしましょう!」
シュイーンッ!
ザインが倒れると同時に、アテナイを光が覆うのが見える。
ブルブルブルッ。
アーシェはクローゼットの中で震えていた。
(お父様、お母様、まだなの。)
キィーッ。
ドダッ、ドダッ、ドダッ。
多くの足音が部屋に入ってくる。
(誰かきた!?どうしよう。)
キィーッ。
クローゼットのドアが開けられると、そこには見たこともない魔族達が。
「おいお前、ここで何してる。」
「あ、あの、こ、怖くて、隠れてました。」
「……そうか、なら早く外に出ろ。ここは危険だ。」
「は、はい。」
スタッ、スタッ、スタッ。
アーシェは1人で外に向かう。
その道中、とんでもないことを耳にする。
「なあ、聞いたか?ザインは何もできなかったらしいぜ。」
「ああ、新魔王ハデス様ももうすぐ来られるみたいだし、これからは魔族の時代も安泰だな!」
「っ!?」
アーシェの心臓が大きく響き渡る。
「お父様、そんな。」
ギリッ。
アーシェの手に力が籠る。
彼女は、この物語のもう1人の主人公、アーシェ。
魔族にいったい何があったのか。
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