第3話 時は経ち、2人は動く

血のホワイトデイから10年後。



ここはアテナイのとある町、アルタ。


アルタには大きなギルドがあり、人族の中でも戦士達が多く集まる場所。


商いや交易も盛んで、毎日多くの者が出入りする。



「わぁい!早く遊びに行こうよ!」

「いいよ!今日こそ僕が先に火で的を焼いてやる!」


ダダダダダッ!

子供達は眩しい笑顔で賑やかに走る。



血のホワイトデイから10年が経過して、人族は当たり前に魔法を使っていた。


そして、国王は以前と変わらずラストが務めている。



なぜ彼が生きているのか、そもそも死にかけていたことすらアテナイの人間は知らない。



そして、ラストが血のホワイトデイの次の日にある宣言をした。







その名の通り、人族は常に進化し続けるべきだと国全体に宣言。

人族は、血のホワイトデイまでは優しさのある協調性を重視していた存在だったが、今は自分の成長のためなら何も躊躇わない存在となった。



そしてもう1つの疑問、なぜ魔法が使えることに人族は疑問を覚えないのか。



それは簡単、



ではなぜ、改竄されたことが分かるのか。



それは、彼が証明してくれる。



スタッ、スタッ、スタッ。

1人の青年が、大きな袋を持ちアルタを歩く。


「ふぅ、今日も予想以上に倒しちまったな、リィンに怒られなきゃいいけど。」

青年は、空を仰ぎ見る。



彼の名前は、

クロウガルト・シン・アレス 18歳


親しい者からは、クロウと呼ばれる。


グレーのシャツに右胸に黒いカラスのマーク、革でできた茶色のジャケットと黒いタイトなジーンズ。

黒メインで、白のラインが入ったショートブーツを履く。

この世界にはレアな黒髪に大きい青い目、毛先だけグレーのウルフヘアー。

左手に腕時計と指輪を嵌め、右手にはガントレット

右肩にカラスのマークが彫ってある。


携える武器は、背中に大剣、腰に2本の刀、ガントレットの中には折りたたみ式の剣、両手の甲には金属製のグローブを着けている。



そして、彼の特徴。


使


そう、元々の人族の姿なのである。




彼のような存在は、今はこう呼ばれる。



そして、今の大半の人族のことをと呼ぶ。



キィーッ。

クロウはギルドのドアを開ける。


「あ、クロウくん、お疲れさまです!」

「おぅ、リィン、これ査定頼む。」


ニコッ。

1人の女性が歯を見せ、笑顔で迎える。


彼女は、リィン・キヒ 18歳


クロウがアルタで暮らし始めて、最初にできた友達。

多少の戦闘技術はあり、腰に短い剣を持ち、ギルドの受付嬢をしている。

緑を基調とした制服に、白いスカート。

褐色肌がとても健康的である。


「はいはーい、って、またこんなに集めたんですか!?」

「いや、その、なんていうか、集まっちゃった、的な?」


目を逸らしながら、困り顔でクロウは答える。


「集まっちゃった、じゃないんですよ!」


グニーッ。

リィンに両手で頬をつねられる。


「わ、わるはっは、おへも、クエストとおひにやるすもりやったんだ。」


なんとか言葉を延びた口から捻り出す。


「その言葉何回聞いたと思ってるんですか!まあ、助かることに違いありませんが、これ以上無理するならクエストを発注できませんよ!」

「わかっら、わかっらからゆるしてふへ。」


パチッ。

クロウは解放される。

その両頬は赤く腫れている。


「痛ぇ。」

「もう!では、本来銀貨3枚ですが、素材も多いので6枚にしておきます。」

「ああ、ありがとうな、それじゃあ。」


スタッ、スタッ、スタッ。

クロウはギルドを出る。



「さてと、また調べるか、


クロウはアルタに住み始めてから、毎日のようにアテナイに何が起きたのか調べていた。


クロウは光に包まれたがオールドタイプのまま、見つからない父親と兄、彼は疑問に思うことを解決しようとしていた。





場所は変わり、スパルタの城の中。


「アーシアさん、ここの掃除もお願い。」

「分かったわ。」


キュッ、キュッ。

1人の魔族の女性が、窓を綺麗にしていく。


彼女は、

アーシェリーゼ・ヴァン・アフロディテ 19歳


前魔王ザインの娘で、スパルタの王城イアでメイドとして生活している。


二本の黒い角、片方は欠けている状態。右目が青、左目が赤で頭が良く、それなりの常識は持つ。

容姿端麗で、スタイルも良く周りからは高嶺の花扱い。

普段着は、濃紺のノースリーブ、黒のショートパンツに膝上までのグレーのロングソックス。

赤と白のブーツに、水色メインに白のラインのジャケットを。

ポニーテールにするための髪飾りを横髪につけており、銀色ロングヘアーと、首の下に薔薇が彫られている。


言葉遣いがきついこともあり、周りのメイドからは煙たがられている。



そして、彼女が今呼ばれた名前、



前魔王ザインの娘であることがバレないように、アーシアという偽名で活動している。



「あの子、仕事はできるんだけど、どうも絡みづらいのよね。」

「しょうがないわよ、あっちから寄り添いもしないし、ほうっておきましょ。」


(さあて、ここの掃除終わったら帰りましょ。)


スタッ、スタッ、スタッ。

仕事を終え、アーシェは部屋に戻る。


パタッ。

ベッドに腰掛け鏡を見る。

その顔は、目を細め何かを企む顔。


「あれからもう10年、お父様達の情報は一向に手に入らない。……けど、私は諦めない、必ずあなたの化けの皮を剥いでやるわ、ハデス。」


スパルタはハデスが新魔王となり、ザインが魔王だった時より、さらに上下社会が厳しくなった。


そんな世界を、アーシェはおかしいと感じている。



何が起きて、ザインは失墜したのか、どうやって復讐するか、それだけを考え生きてきた。



世界を知ろうとするクロウと、復讐を誓ったアーシェ。



2人は近い未来、巡り会うことになる。


そして、それは2人にとって大きな変化になるのであった。



プロローグ 完




◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


プロローグまで読んで頂きありがとうございました。


ここから、2人を主軸にした物語が始まります!


まずは、クロウ視点です!

厨二病早速出るよ! 戦いも始まります!

2人とも応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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