プロローグ 世界最悪な1日
第1話 世界最悪の日(人族)
ここはとある異世界、アトランティス。
人族、魔族、エルフ族、巨人族が住む世界。
アトランティスは、
人族の国、アテナイ
魔族の国、スパルタ
エルフ族の国、テーベ
巨人族の国、エリュシオン
に分類され、各国を各種族が支配している。
そして、この世界に存在する
動物や、植物、はたまたモンスターから生み出されていると伝えられているが、実態は不明。
そんな
人族は魔力を感じ取ることができない。
もちろん、感じ取ることが出来ないから使う事もできない。
アトランティスでは、人族のみ魔法は使えず、他の種族は最低1つは魔法を使うことができる。
魔法の中にも、火、水、土、風、氷、雷、光、闇が存在し、使える種類が多い存在は重宝される。
ここからは種族の特徴。
人族はものを作ることに長ける存在、武器や防具、特殊なアクセサリーや道具などを作り上げ、自分を守るための力としてきた。
魔族は、力こそが正義。戦闘能力が1番高い種族で、家の出自や、過去の栄光など関係ない。今強い存在が、その世界を支配することができる。
エルフ族は、魔力に長けており多くの魔法を使う。そして、長寿な事もあり数百年は生きる存在。また、植物と話せる存在もいるそうな。
最後に巨人族は、大きな体を持ち力が桁外れに高い。自然豊かな土地に住み、自然を傷つけることを嫌う。
体には似合わず、あまり争いを好まない。
そして、アトランティスで起きた最悪の悲劇。
血のホワイトデイ
この日、人族と魔族に大きな変革が起きた。
これは、その一部始終。
ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!
「ほらいけ!攻めろ!」
ここは人族のとある城。
大きな地響きと共に、斧や剣、槍を持った魔族が城の中を走っていく。
魔族は動物から派生した存在が多い。
獅子や虎、馬や、羊などさまざま。
体は2m近くあり、戦闘力の高い魔族達は城の中を誰かを探しながら走る。
ザワザワザワッ。
人間は、予想外の出来事に慌てふためく。
「おい!逃げろ!早くしないと、奴らが来るぞ!」
「ですが、まだ逃げ遅れた人たちが!」
「そんなこと言ってる場合か!このままでは、俺たちも死んでしまーー。」
バゴーンッ!
ボァァ!!
扉が破られるとともに、炎の魔法が人間を包みこむ。
そこには、何も残らない。
扉からは、多くの魔族が。
「くそっ、ここもハズレか。早く人族の国王を探せ!」
「おう!」
ドスンッ!ドスンッ!
ガゴーンッ!バゴーンッ!
魔族は城を破壊しながら進んでいく。
辺りには悲鳴が響き、地獄を表したかのような姿。
城の奥には、魔族が探している王がいた。
「国王、裏道からお逃げください。ここは私たちが!」
「だが、皆を置いていくわけには。」
「国王がいなければ、この国は成り立ちません!早くお逃げを!」
「……すまぬ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
国王は裏道から抜け出していった。
ガゴーンッ!
王の間の扉が蹴り破られる。
「ここか!国王ラスト!」
「くそ!ここまで来たか!王をお守りしろ!何としても通すな!」
「人間が、俺たちに勝てると思うなよ!」
バゴーンッ!ガギーンッ!
大きな衝撃音が、逃げる国王の耳にも届く。
「くそっ、なぜこんなことに。まさか、魔族が攻めてくるなんて!」
ダダダダダッ!
国王ラストは、顔を真っ青にしながらもひたすらに走る。
ポタッ、ポタッ。
足から血を流すが、そんなことは関係ない。
「はぁ、はぁ、はぁ、ここから外へ出られる。早く、外の国に助けを呼びに行かなくてはーー。」
「その必要はありませんよ、ラスト国王。」
「っ!?お、お主は。」
スタッ、スタッ。
1人の魔族がラストに向け歩いてくる。
「スパルタ国のハデス。なぜここに!?」
「さあ、そんなこと考えてる余裕はないのでは?」
「何をっ!!」
スンッ!
グサッ。
国王の腹を、1本の闇の魔法が貫く。
「げほぅ!」
ポタッ、ポタッ。
口からも腹からも血が流れ、血の気がどんどん薄れていく。
「なぜだ、なぜお前がこんなことを、魔王ザインの仕業か……。」
「ザインはこの件には関係ない、これは、私の独断ですから!」
ザクッ!
さらに1本の闇の魔法が貫く。
「うぐっ、すまぬ、皆。」
バタンッ。
国王は倒れ込み、息をかすかに感じられる程度。
「ふぅ、これで目的の儀式が始められる。まだ死なれては困る、その体、借りるぞ。」
フワッ。
スーッ。
ハデスは魔法でラストを浮かせ、そのまま王の間に向かった。
「お待ちしておりました、ハデス様。」
「準備はできているか?」
「はい、こちらに。」
王の間には、何重にも重ねられた魔法陣が。
ドスンッ。
その真ん中にラストを落とす。
ハデスは両手を大きく開く。
「さあ、新時代の幕開けだ!この地で魔王ハデスの道が出来上がり、未来を我が物に!」
ピカーンッ!
眩い光が城の中を満たしていく。
同時刻、とある町。
ドダダダダッ!!
そこでは、3人の家族が逃げていた。
「おいっ、2人とも生きてるか!」
「はい、父上。」
「父さん、いったい何が起きてるの?」
3人の家族は魔族に襲われた町から、ひたすらに逃げていた。
ピカーンッ!
その家族の目に、城が白い光に包まれるのが見てとれた。
その姿を見た父さんと呼ばれる人の目が真ん丸になる。
「あの光は、まさか、ラスト国王様。」
「父上、このままでは……。」
「ああ、あれを決行するぞ、ベルリ。」
「何があったの?父さん!兄さん!」
グッ。
1番小さい子供に、父親らしき人が赤い石が埋め込まれた指輪を託す。
「クロウ、これを持て。そして、忘れるな、お前は俺たちの自慢の家族だ!」
「そうだ、フェルナンド父さんも、僕も、お前を誇りに思う。クロウ、未来を頼む。」
「どういうこと!?父さん、兄さん!」
シュイーンッ!
城を包んだ光が、家族のところにまで伸びてくる。
「クロウ!守りたいものは守れ、お前のその手で!」
「頼りなかった僕たちを許してくれ、クロウ。」
「待ってよ!父さん!兄さん!」
シューンッ。
その光はアテナイの国全てを覆い、数秒後には何もなかったかのように消えた。
スタッ、スタッ。
タタタタタッ。
1人の少女が倒れている男の子のところに走り寄る。
「お父さん!誰か倒れてるよ!」
「なに?傷だらけだな、何があった?」
「お父さん、助けられる?」
「ああ、任せろ。
シュイーンッ!
倒れてた男の子の傷が治っていく。
考えてみよう、なぜ治ったのか。
人族は、魔法を使えないはずの種族。
では、今の魔法は?
少年は、目を静かに開ける。
「とう、さん。にい、さん。」
スッ。
男の子は再度眠りにつく。
彼は、この物語の主人公、クロウ。
人族の統治するアテナイに何が起きたのか。
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