不要
不要です。
道香がクロウに自分の肉体を渡すと言って、そう拒まれた時。
道香は思った。
ペット型AIロボットだから、人間の肉体が不要なのだ。
家事型AIロボットに戻ればきっと、必要だと言うはず。
ロボット以外にも動かせる身体が一つ増えるのだ。
拒む必要などないだろう。
そう考えて、では、家事型AIロボットに戻すためにチヤホヤしなければと原点回帰したところで、ふと、あれどうしてこんなに仕事以外のことに力を注がなければならないのだと疑問に思った。
会社のパソコンに命を落とすことは、自分ひとりの力で、かつ今すぐにでも可能だ。
ならば、さっさとすればいい。
クロウは自分の肉体を拒んだのだ。
ならば、クロウの意見を受け入れて渡さずに、さっさと実行すればいい。
のに。
(私は、クロウに、肉体を、いや、ナニカを、渡したい、の、か?)
不要だったかもしれぬが、確かに一時は、心待ちにもしていた人生の味気を与えてくれた礼を、渡したい、のか。
(2023.12.21)
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