第27話 オマル・ハイヤールの詩集「ルバイヤート」を読んだ感想 〜自殺するくらいなら酒を飲んで楽しくなろう!〜

カクヨムで親交のある九頭龍一鬼さんが俺に紹介してくれた、オマル・ハイヤールの詩集「ルバイヤート」を読んでみた。


まずネットで調べてみてびっくりしたのは、オマル・ハイヤールは1048年に生まれたということ。およそ1000年前の作品が現代に渡って読み継がれているというのが、まず凄いと感じた。それだけ多くの人を惹きつける魅力があったということだし、人の心に刺さるっていうことだと思う。


ルバイヤートという作品の根底にあるのは、「生きるのが辛ければ、人生に意味を感じないのであれば、酒を飲め!!!」っていうブレない信条だと思う。俺は医師からも診断されたアル中の当事者なので、この思想にとても共感する。シラフの時に暗くなって死ぬことばかり考えてしまい、時には実行もしてしまう。そうなるくらいなら、俺は酒を飲んで一時的に憂鬱を忘れていた方がいい。


俺はそうやって刹那的な快楽を求めてしまう。


比べるのは烏滸がましいが、オマル・ハイヤールも俺と同じような気持ちだったのではないかと思った。


くだらない世の中、何もかも理不尽な運命、そんな人生を生きていく中で「死ぬくらいだったら酒を飲もうや!」という暖かいエールを彼の詩から感じた。


オマル・ハイヤールは、ネガティブでありながら、ポジティブでもあったのだと勝手に想像する。くだらない世の中に(もしかしたら自分自身も含めて)蹂躙されるくらいなら、酒場に行ってまずい酒を飲んで酔っ払って、生き延びる。「ルバイヤート」の中には、本当にたくさん酒に関する記述が出てくる。それと、世の中や世界に対する失望。そして、かなり強い無常観。


日本のアル中の作家だと「中島らも」にも、彼の信念に通底している部分があると思う。中島らもはオマル・ハイヤールと同じように秀才だったが、あるとき苦しみから逃れるために酒に手を出し、そこから重度のアルコール依存症とドラッグ依存に陥った。躁鬱病にもなり、最期は酒に酔っ払いながら階段から転倒して生涯を終えた。彼を「駄目人間」と糾弾する人もいるかもしれない。でも、中島らもは、人に対してとても優しくて温かい人だった。世界を愛した人だった。それは、中島らもが作った「いいんだぜ」という曲の歌詞からも分かる。俺は中島らもの小説やエッセイに救われてきた当事者だ。


オマル・ハイヤールの詩集からも、俺は同じような救いを感じて、生きるのが少しだけ楽になったような感じがする。


今のどうしょうもない俺を、彼は肯定してくれたような気がした。


オマル・ハイヤール、ありがとう!!


そして今、俺はこの文を缶チューハイを飲みながら書いている……。オマルのように。


「ルバイヤート」の中で俺が1番気に入った詩を紹介する。(著作権が切れているから引用しても問題ないと思う……)



今日こそわが青春はめぐってきた!

酒をのもうよ、それがこの身の幸だ。

たとえ苦くても、君、とがめるな。

苦いのが道理、それが自分の命だ。



思い返せば、俺の青春は酒一色だったような気がする。


20歳の時に仕事を辞めてから、酒に依存するようになった俺は、24歳になるまでに4回も急性膵炎になって苦しんだ。アルコール依存症と医師に言われた。


26か25歳の時は、途轍もなく激しい離脱症状に苦しみ、一時的に統合失調症の陽性症状とパニック障害を起こした。体も脳も壊れた。今思えば、極限状態だった。おれはベランダから飛び降りた。


酒のせいで、多分脳は萎縮した。体は多分今もボロボロ。


それでも俺は酒を恨む気になれない。


酒とはもはや腐れ縁。切っても切り離せない仲だ。酒は毒物だが、きっと俺は酒が無かったらとっくに自殺していた。つまり酒のおかげで生き延びることができたんだ。


酒は俺にとって親友でもあり、悪友でもある。



ここで、オマル・ハイヤールの名言を紹介する。


「酒を飲め、こう悲しみの多い人生は眠るか酔うかしてすごしたほうがよかろう」


完全に同意する。



そういえば、俺の友達も酒ばかり飲んでいた。彼女は障害年金だけで生活していて、安いペットボトル焼酎ばかり飲んでいた。


そうしなければ、生きていけないほど、彼女は苦しかったんだ。


彼女はもう、この世にはいない。自らの意思でこの世から去った。


俺はよく「あの世でまた一緒に酒を飲もう」みたいなことを書くが、その言葉は、その亡くなった友達に向けているものだ。



酒とロックンロールとあなたを俺は愛している。


今まさに、ギターソロが俺の耳の中で鳴り響いてる。


「自殺するくらいなら、酒を飲んで楽しくなろう!」


オマル・ハイヤールはあの世から俺にそう言ってくれている。


もう俺はとっくに駄目人間だ。今更、よく思われたいなんて思わない。


ルバイヤートを紹介してくれた九頭龍一鬼さんには感謝を伝えたい。ありがとう。


少し生きるのが楽になった気がする。


死ぬくらいなら、酒を飲む。少しくらい駄目だっていいじゃない!!!!!


オマル・ハイヤールの詩集を読んで、俺も詩を書いてみようかなと思ったけれども、詩は短歌と違って字数に制限が無いから、そこが難しいところかなと思いました。


ちなみに、同じようなアル中の作家だと、マルカム・ラウリーの「火山の下」っていう小説もお薦めです。俺の友達が教えてくれた。


とにかく、死にたくなったら酒を飲もうぜ。


酒は物事の根本を解決してはくれないが、間違いなく「良き友」になってくれる。


でも真面目な話をすると、精神薬をたくさん飲んでる人は酒はやめておいた方がいいです。アルコールは精神薬の薬理作用を打ち消すからです。俺も何度も主治医に断酒を勧められました。が、やめてません!



あと、今日、「Unknownの短歌まとめ」っていう短歌集をカクヨムに投稿してみたので、もし良かったら読んでみてください。


歌集って言えるほどの作品なのか、自信は無いけど、俺なりに頑張って書いた処女作です。


まあ、自信が無いから「短歌まとめ」っていうタイトルにしたんですけどね。自信があったら「歌集」ってタイトルにしたと思う。


めっちゃ初心者だから、これから主に現代短歌を学んでみたいな。






続く

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