第14話 空洞です

俺は再び無職に戻って、だらだらゲームしている。罪悪感は全く無い。精神障害者である俺にとって罪悪感は大敵だ。俺は、普通の人が当たり前にできる事ができない。罪悪感が強くなりすぎると鬱や希死念慮が悪化する。もっと人生は適当でいいじゃないか、と俺は俺に言い聞かす。


俺は病気や障害の影響で、安定して働く事が出来ないから、1日ずつやり過ごしていくしかない。どんな形でも1日ずつ生きていけば、いつか必ず死ねる。そして全ての面倒事から解放される。「生きにくさ」を感じる人にとっては、やっぱり死が最大の解放である。


生きてればいつか勝手に死ねる。そしたら悩みも痛みも完璧に消える。当たり前だけど。


記帳をしていないからはっきりした額は分からないが、今、俺の貯金はおそらく25万も無い。さっさと単発バイトしなきゃ。


俺は精神障害年金を受給しているが、年金は2ヶ月に13万くらい振り込まれる。アパートの家賃や公共料金やスマホ代や食費その他諸々の金を支払うと、手元に残る金はあまり無い。


正直、タバコと酒を完全にやめられれば、かなり金が浮くが、難しい。なので俺は食費を極限まで削ることでタバコ&酒代を日々捻出している。


その結果、だいぶ痩せた。



俺は何年も引きこもりニートで、親の庇護下で生きてきた。親の金で生きてきた。


現時点では一応、障害年金と俺が仕事で稼いだ金だけで生きているが、たまに親に金の無心をする。俺の口座に金を振り込んでもらっている。


生きてる以上、金の心配ばかりしないといけない。


障害年金を受給する事が出来ていなかったら、まず俺は一人暮らしなんて絶対やっていないし、年金には感謝している。日本の福祉制度と日本国民の税金が無ければ今の生活は無い。


ついでに俺は自立支援医療という制度も受けていて、精神科への通院費を1割しか払わなくて済む。更に、市の支援制度も使っているため、なんと俺は医療費を払わなくて済む。


無料で精神科への通院が出来ている形だ。


診察代と薬代は結構高いから、貧乏な俺にとってそれらを負担してくれる制度はかなり助かる。


全国の自治体によって様々な制度があるから、定期的に通院している人は何か自分が使える制度が無いか調べてみるのも良いかもしれない。


「人間は1人では生きられない」という言葉をよく聞くが、実際、俺のように疾患を抱えている人間にとっては全くその通りで、日本という国と日本国民がいなかったら俺の今の生活は成り立たない。


だから、というわけではないが、今回の能登半島の大地震のように誰かが苦しんでいる時は俺も微力ながら募金箱に小銭を入れている。会計の時に余った小銭を入れる程度の支援しか出来ないが、塵も積もれば山となる。


まだ地震の被害の全容は見えてこないらしい。一体何人の命が無くなってしまうのだろう。


俺が中学生の時に東日本大震災が起こって、その時の俺はガキだったから、何人死のうが心なんて痛まなかった。俺には無関係だと思っていた。


でも27歳になった今の俺は、地震のニュースや戦争のニュースに心を痛めるようになった。


俺はいい意味で、大人になったのだ。他人の痛みを想像する事が出来るようになった。感受性がガキの頃より豊かになった。自分自身も痛みを知る中で他人に優しい人間になれた。


だから歳を重ねるのは悪い事だけじゃない。


大人になって初めて分かる事も多い。


俺は決して独りぼっちで生きてるわけじゃない。むしろ、多くの人の手によって“生かされている”立場の人間だ。


これを読んでくれてる人々の存在も俺にとっては大きい。いつも感謝してる。



俺は生活の中で、よく虚しさに包まれる。


「自分は空っぽだ」とよく思う。


この空洞は何をしても埋まらないものであり、1人でいる時によく空っぽな感覚に陥る。


「自分を空っぽだと思う人の特徴」という記事を見つけたので、特徴を引用する。


・感情の起伏が少ない

・人付き合いが苦手

・自己肯定感が低い

・人生に意味を感じていない

・自分の強みが分かっていない


びっくりした。全て俺に当てはまっている!!!!!



余談だが、ゆらゆら帝国の「空洞です」というアルバムは名盤なので、暇な方は聴いてみてほしい。


自分が空洞に感じた時に聴くと、良い。


あとは、people in the boxの「真夜中」って曲も俺の空洞な心にブッ刺さる。





15話に続く

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