第43話 悠真の初恋物語 その4


 はぁーっ、危なかった! あのままリビングに居たら根掘り葉掘り聞かれる所だったよ。


 俺は『待てコラー!』『悠真ーっ、お姉ちゃんに隠し事するのーっ?』なんて声を振り切り逃げる様に自分の部屋に駆け込んだ。


 別にやましい事なんか無いから喋っても良いんだけど、明日の事はなんか二人だけの秘密にしておきたかったんだ。



 ♪〜♪



 そんな中LIMEが。

 ……っ! マリアさんだ!


 『明日十七時に駅前集合ね!』

 『ピザかお寿司頼むけど、どっちがいい?』


 あーっ、本当にマリアさん家で食べるんだ! 思わず枕を抱きしめてベッドで悶えてしまった。

 

 『了解です! ピザでお願いしますっ🍕』


 送信した後、何度もメッセージを見返しちゃったよ。


 あーっ、もうっ、緊張してきたー! 初ライブの時よりドキドキ言ってるよ!


 当然今夜は眠れる訳もなく、マリアさんの事を思って……。


 

 ……寝ついたのは朝方だった。



 ※



 とは言え、朝のジョギングは欠かさない。体が資本だしね! 既に気温が三十度近くまで上がってる中、bpm150の曲を聞きながら近くの公園を汗だくで走る。


 走ってると頭の中がスッキリしてくる。昨日の夜のやましい考えなんてどっかに飛んでいったよ! そーいや妹さんも居るんだし今日は純粋に楽しもう!


 家に戻ってシャワーを浴びて出てきたら未来姉が目玉焼きを焼いていた。


 「おはよー悠真、トーストでいーよね?」


 「ありがとう! でも、未来姉夏休みなんだからゆっくり寝てれば良かったのに」


 頭をタオルで拭きながらテーブルに座る。やっぱり家は涼しくて良いなぁ、用がなきゃ暑くて外なんて出られないよ!


 トーストに目玉焼き、アイスコーヒー、それにヨーグルト。やっぱり朝はパンだね!


 「いただきまーす♪」


 手を合わせて焼きたてのトーストにピーナッツクリームをたっぷり塗ってかぶりつく。うまっ!


 「悠真エライねー、こんなに暑くても毎日ジョギング行くなんて凄いよー!」


 未来姉はトーストの上に目玉焼きを乗っけて大きな口を開けてはむっと食べた。あーあー、黄身がお皿に垂れてるよ!


 「ねぇ悠真ぁ、マリアさんもいいけど朱里紗ありさの事も少しは関心持ってくれてもいーんじゃない? せっかくあんな格好してんだからさー」


 あんな格好させてんのは未来姉だろ? それに関心無い訳じゃないよ、目のやり場に困るだけだよ!

 

 「二人の写真、店のミンスタにアップしたら凄い事になるんじゃない? そしたら忙しくなるぞー!」


 「あはは、そしたら時給上げて貰わなくっちゃねー♪ はむはむっ」


 未来姉っ、口のまわりが……子供かっ?

 

 ※



 それから俺は午前中の内に宿題を済ませ、午後は店で自主練をした。ライブハウスの方は今日は予定が入っていないから営業はカフェスペースだけだ。


 そしてまた汗だくになってシャワーを浴びる。夏はしょうがないよね、汗臭いの嫌だし。


 今の時刻は午後四時半、約束の時間まであとちょっと。Tシャツとハーフパンツで家を出る。下手にオシャレするのも変だしね、いつもと同じ格好でいーよね? 


 そーいや俺、マリアさん家知らないんだよな、リハビリ手伝ってたのも病院だったし。妹さんと住んでるならそこそこ広いのかな?


 そんな事を考えながら歩いてたら、あっという間に駅前に着いた。


 そしたら薄いピンクのオーバーサイズのTシャツにショートパンツ、白のキャップにサングラス姿のマリアさんが既に待っていた。やべっ!


 「すいませんっ、待たせちゃって!」

 

 慌てて駆け寄ると、

 

 「全然っ、まだ時間前じゃん! 私が早く降りて来ただけだから。……さっ、暑いから中入ろっ♪」


 顔を手でパタパタ仰いでマリアさんはエントランスに入って行った。……ん? 早く降りて来た? 中入ろって! ここ駅前のタワーマンションじゃん!


 「マリアさん、こんな所に住んでたんですかっ?」


 「あー、叔父さんがね、海外に仕事で行ってて戻って来る間だけ格安で住まわせてもらってるんだ♪ まぁ、あと二、三年したら帰って来るんだけどね」


 そう言ってカードキーをかざしてALを開けると涼しい風が入って来た。


 慌てて後を追いかけエレベーターに乗る。マリアさんが再びカードを翳すと三十まである数字の二十二のボタンが点灯した。


 「このマンション楽器大丈夫なんだけど、流石にドラムはダメだったよー! あははっ♪」


 そりゃそーだよ! この場合の楽器可は、多分ピアノだと思うんだよね。


 エレベーターを降り「2222」と表示されたドアを開ける。


 「さっ、入って♪」

 「おっ、お邪魔しまーす!」


 冷房の効いた室内、そしていい匂い! 

 リビングの扉が開かれると眺めの良い景色が一面に広がる。


 「すげぇー! 街が一望出来るよ!」

 「夜になるともっと綺麗よー!」



 ……夜になるとって! ダメだダメだっ!

 俺、意識し過ぎだよっ!!


 「適当に座ってー、もうすぐピザ届くから! コーラでいい?」


 マリアさんはグラスに氷を入れてコーラを注ぎ、自分用としてビールをグラスに注いでいた。


 座り心地の良いソファーに腰を下ろし、キョロキョロ辺りを見回してる俺を見て、


 「悠真ーっ、一応女の子の部屋なんだからねー! キョロキョロしないっ!」


 笑いながらコーラをテーブルに置いた。


 「えっと、あの、……妹さんは?」

 

 「あー、なんか夏休みになってバイト始めたんだよねー、今日は五時迄だって言ってたからそれに合わせてピザ頼んだんだけど、まだ帰って来ないわねぇ」



 このまま二人っきりって事、……ないよね?

 


 

 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 悠真ぁ……っ!

 お前、みっくとシンちゃんを差し置いて大人の階段駆け上がっていくのかっ?


 今の段階ではセルフレイティング性描写無しになってるけど、明日の朝には……?


 そんな事絶対させーん!!(笑)



 今日のおススメ

 Red Hot Chili Peppers/Blood Sugar Sex Magik


 はい、ここでも再三名前が出ているレッチリことレッドホットチリペッパーズの5枚目のアルバムです。このアルバムがレッチリを世界に知らしめたと言っても過言ではない! 現メンバーのギター、ジョン・フルシアンテとドラムのチャド・スミスが加入した最強アルバムです。


 YouTubeで『Give It Away』見た時の「ナニこの人達〜っ!!」の衝撃が今でも忘れません。そこからレッチリにどハマりするのでした。あー、東京ドーム2days行きたいなぁー!!

 

 『Give It Away』

 https://youtu.be/Mr_uHJPUlO8?si=0xWRkwvIXMl3A1A0



 

 


 


 

 

 

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