第41話 悠真の初恋物語 その2


 明後日はマリアさん家でご飯! ……だけど妹さんも居るみたいだし、まあ何も起きないのは分かってるけどね。

 やっぱり高校生の俺なんて年の離れた弟位にしか思って無いんだなぁ……。あーでも、ドキドキが止まらないや!



 「…………真っ、ねぇ悠真ってば!」



 はっ! ……気がついたら家のリビングで晩御飯を食べてたよ。未来姉が心配そうな顔をしながら『シンジーっ、悠真おかしーよ!』とか言ってる。


 「ごめんごめんっ! 考え事してたよ!」


 「どーした悠真? 難しい顔してたかと思ったらデレデレして。せっかくの美味い飯なんだから味わって食えよ!」


 相変わらずシンちゃん、食べ物の時はサラッと褒めるんだな。


 「えへへ♡ シンジおかわりは? ……って違うわっ! 悠真今日どこ行ってたのよ! 

 朱里紗ありさバイト初日なのに、悠真が顔出さないからずっとソワソワしてたんだからねー!」


 未来姉はシンちゃんを見てデレッとしたかと思えば、今度は俺に向かってプンスカ怒り出した。


 「しょーがないだろっ! マリアさんトコ行ってたんだから!」


 そしたらシンちゃん、口いっぱいに入ったご飯を味噌汁で流し込んで、


 「なんだ悠真っ! お前彼女居たのかっ?」


 ブフゥーッ!!


 思わずお茶を吹き出しちゃったよ!


 「違うよシンちゃん! マリアさんは俺のドラムを見てくれてる人だよっ! 彼女だなんてそっ、そんな訳ないだろっ!!」


 シンちゃんは何かを察したのか、ふふんと目を細めてイヤらしい顔つきになり、


 「ふーん、だからお前あんな楽しそうにレッスン行ってたんだな! ……それじゃあの子はどーすんだよ? ありゃどー見てもお前に惚れてるふうじゃねーか!」


 「何言ってんの? 高樹さんはお姉さんと二人暮らしで生活大変だからバイトしてんの! それに高樹さんみたいな『学年一の美女』とか言われてる子が俺に気がある訳ないじゃん!」


 ……あれ? シンちゃんと未来姉が顔を見合わせて『やれやれ』ってポーズしてるよ?


 「もぉーっ、とにかく明日朱里紗が来たら様子見に来るのよ! わかった?」


 未来姉は人差し指をピッと立てて『絶対だよーっ!』なんて言ってた。別に俺なんて居ても居なくても関係なくない?



 ※



 ー次の日ー


 今日はライブがあるからどっちにしろ俺もバイトなんだよねー、高樹さんとはフロアは違うけど一緒になる事もあるよね。


 高樹さん、どうやら今日はオープンから通しで働くみたいだ。ライブのある日はどんな感じなのか一日働いてみたいって! そんな最初から飛ばして大丈夫なのかな? 


 そんな俺は午後三時から仕事だ。十分前になったから部屋を出て玄関の鍵をかける。そしてそのままステッカーやポスターの張り巡らされている階段を降りていく。通勤時間ゼロ(笑)



 入り口の扉を開けると受付があり、お客さんはチケットを見せてそこでドリンクチケットを貰う。その先にはコインロッカーが並び、更に歩いていくとカフェスペースがある。


 店員さん達は注文を聞いたり運んだりと大忙しだ。……高樹さん大丈夫かな? やっぱりライブのある日はいつもより客が多いな。


 「あっ、悠真くんっ!」


 聞き覚えのある声の方に顔を向けると、そこには……っ! 


 いつもの赤眼鏡に黒髪ストレートではなく、ちょっとウェーブの掛かった低い位置でのツインテール、更には🐘ゾウさんのプリントのチビTにデニムのショートパンツで生足、しかもヘソ出しっ!


 ……絶対コレ、未来姉が無理矢理着せたな! ホラ高樹さん顔赤いよ! 俺も目のやり場に困るけど……。


 「おはよ、高樹さん、今日通しなんだってね! 俺が言うのも何だけどあんまり無理しないでね!」


 そこへ未来姉がやって来て高樹さんに抱きついて、

 

 「見てー! 悠真ーっ! ほらっ私達姉妹みたいでしょーっ♪」


 未来姉は🐧ペンギンロゴのチビTにショートのデニム、……コレって制服なの? おまけに今日は赤眼鏡もかけてるし!


 「みっくさんに『制服だよ』とか言われて無理矢理着せられたんだけど、よく見たら私達しかこんな格好してないんだよー! ……悠真くん、どう、……かな? 似合ってる?」

 

 高樹さんは抱きついて来た未来姉をギュッと抱きしめながら恥ずかしそうに聞いてきた。身長差があるから未来姉、高樹さんの胸に顔が埋まってるよっ!! これじゃどっちが姉なのかわかったもんじゃない!


 「うん、……すっげー似合ってるよ! モデルさんみたいだ!」


 足がスラっと長くて、おまけにチビTだから胸も強調されてて……そりゃみんなの注目の的だよ!


 すると高樹さん、ぱぁっと満開の笑顔で更に未来姉を抱きしめる。『朱里紗っ、苦しいよー』って未来ジタバタしてるの気付いてないのかな?


 「でも、……これじゃナンパされまくりじゃない? 大丈夫なの?」

 

 すると店長のあかねさんがやって来て、


 「二人に声掛けて来た奴はみんな追い返すから心配しないでっ! ウチの看板娘達なんだからそんな簡単に手ぇ出させないわよっ!!」


 『ふんっ』と言いながら空手の型を作った。そーいや茜さん、見た目は綺麗系お姉さんだけど空手で全国大会とか出てたんだっけ、旦那さんともそれで知り合ったみたいだし。


 そして未来姉、高樹さんの胸から脱出して、


 「声掛けてくる奴が居たら『悠真の彼女だよー!』って言ってるからね! だから悠真っ、ちゃんと守ってあげるんだよー!」


 ……何、勝手な事言ってんだ? ホラ高樹さん走ってどっか行っちゃったよ!


 「出来る限り守ってあげたいけど未来姉、あんまり高樹さん困らせんなよ! 辞めたらどーすんだよっ!」


 未来姉は『Oh、No〜!』と溜息をついて高樹さんを追っかけていった。あーぁ、シンちゃんの変な英語混じりなのが伝染うつってるよ⤵︎




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 まんまとみっくに騙されてヘソ出しチビTを着させられた朱里紗です(笑)悠真、ドキドキしたかな?


 今日のおススメ


 CREAM/『クリームの素晴らしき世界』 (Wheels of Fire)


 伝説のスーパーバンド、3ピースと言えばまず名前が上がるのがクリームです。


 エリッククラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイガーのバカテク3人組、活動期間も短いんですが、当時の音源でも凄さが伝わります。あまり興味の無い人にはあまり響かないかも? ←初めて聴いた時はピンと来なかったんだけどね


 クロスロードならCMで流れてたっけ? 全然覚えてないけど


 https://youtu.be/7HfkSzsyh1E?si=NuHgaKh1E2_oRIw9


 ソロのエリック・クラプトンは『スローハンド』ってアルバムが私は好きです♪

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